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216話「黒幕登場」



「一体なんだ。何が起こっている?」



 部屋の外へと飛び出した俺と魔王は、状況を確認するため周囲の様子を探る。だが、どうやら事が起こっていると思われる場所は城の外のようで、馬鹿みたいに広い回廊ではなかった。



「外に出よう。魔王は空は飛べるな」


「無論だ」



 魔王にそれを確認すると、そのまま俺は【フライレビテーション】を使って城の外へと飛び立った。すぐに城を見下ろせる位置まで移動し、現状の確認をする。すると、先ほどの地響きの震源地と思われる城のある一部分から煙が上がっている。近づいてみると、何やら大きな爆発が起こったような跡があり、そこから三つの人影が見えた。



「あれは?」


「サニヤと七魔将のグリゴリ。後は、サニヤの配下の隠者といったところだろう」



 人影の正体を一緒についてきた魔王が教えてくれたが、実のところ全員見知った顔だった。一人はさっきまで話していた相手だし、残りの二人は潜入している時に見ているのだから。



 しばらく観察していると、どうやら相手の方もこちらに気付いたようで、サニヤが魔王の姿を見とがめると、苦虫を噛みつぶしたような渋い顔をしているのが遠目でもわかった。おいおい、親に向かってその顔はないだろ。



 魔王自身に気にした様子はないが、随分と親愛が感じられない親子だ。サーラたちが自分たちの安否を魔王に伝えていなかったところを見るに、これが魔族の親子関係なのだろうか?



「あらあら、お父様じゃないですか。こんなところに何をしに来たのです?」


「これほどの騒ぎを起こして気付かない訳がなかろう。一応聞くが、サニヤよ。一体何をやっているのだ?」


「……」



 魔王の問いに、押し黙ったままサニヤは答えようとしない。それだけのことを仕出かしてしまっているという自覚があるのだろう。サニヤが問いに答えないと見るや、魔王は質問の内容を変え、さらにサニヤを追及する。



「では、この惨状はお前がやったのか?」


「……」


「沈黙は肯定と取るぞ。いくら魔王の娘とはいえ、これだけの騒ぎを起こしては捨て置けぬ。しばらくの間その身柄を拘束させてもらうぞ」



 魔王がそう言い放つと、まるで壊れたおもちゃのような高笑いをサニヤが上げる。そして、ひとしきり笑ったのち、まるで見下したような顔に豹変した彼女が口にする。



「お父様。お父様、お父様、お父様!! 今の貴方にそれができるでしょうか?」


「サニヤ」


「少々予定が狂いましたが、お父様にはここで死んでもらうとしましょう。食らいなさい! 【カオスティックカタストロフィ】!!」


「そ、その魔法は!? くっ、【ダークネスシールド】!!」



 サニヤが右手を突き出すとそこに魔力が集中し、何かの攻撃魔法が放たれる。その魔法を見た魔王が、咄嗟に漆黒魔法の防御系魔法を展開する。



 圧倒的な攻撃力を秘めたサニヤの魔法は、いとも簡単に魔王の魔法を打ち破る。その衝撃は凄まじいものがあったが、さすがの魔王を名乗るだけあってダメージはあるものの致命傷には程遠い。



 それでも口から血を流すほどのダメージはあり、サニヤの放った魔法の強さを物語っている。【カオスティックカタストロフィ】という中二病が全力で仕事をしそうな名前だがな。



「な、なぜお前がその魔法を使えるのだ!? その魔法は先代魔王の――」


「久しいな息子よ。お前とこうして口を利くのはあの忌々しい魔女との死闘以来か」



 魔王がサニヤに詰め寄る中、突如として今まで彼女が発していた女性の声から低い男の声に変化する。その声を聞いた瞬間、魔王が目を見開き驚愕の表情を浮かべた。



「そ、その声。ま、まさか父上」


「いかにも。我は先代魔王ヴェルフェゴールである」


「馬鹿な! 貴方は先の人間との戦争の最中、厄災の魔女に討たれたはずだ!」


「その通りだ。だが、我は最後の力を振り絞り、魂の一部を魔道具に封印することでこうして生き長らえることができたのだ。そして、お前の娘サニヤの体に憑依することで、我は完全に復活を遂げた!」



 そう高らかに宣言するサニヤの顔は、これまで以上に醜悪な笑みで歪んでおり、禍々しいという言葉以外の何物でもない。これが先の戦争で生きていたとされる先代魔王なのかと俺はサニヤの姿を値踏みする。



「ふははははは、復活を遂げた今もはやこれは我には無用の長物だ!!」



 ヴェルフェゴールがそう言うと、サニヤが胸元に身に着けていた首飾りを引きちぎる。おそらくは自身のステータスを隠蔽する例の魔道具を壊したようだ。それを見た俺は、すかさず【超解析】を使いヴェルフェゴールの能力を調べた。





【名前】:ヴェルフェゴール


【年齢】:三百六十八歳


【性別】:男


【種族】:魔族


【職業】:王族・先代魔王



体力:800000


魔力:930000


筋力:SSS


耐久力:SSS-


素早さ:SSS


器用さ:SSS-


精神力:SSS


抵抗力:SSS-


幸運:SSS



【スキル】



 超解析Lv5、闘気術Lv2、感覚操作Lv1、魔道の極意Lv3、共通魔法Lv2、自然魔法Lv2、漆黒魔法LvMAX、転換魔法Lv3、


 戦闘術Lv4、並列思考Lv4、全成長率上昇Lv4、超威圧Lv5、パラメータ上限突破Lv2、超魔人化2



【状態】



 憑依サニヤ




 ほう、かなりの強さだ。能力自体はほぼ俺と互角と言っていい。まさか、ここに来て俺に肉薄する能力を持った奴が現れるとはな……。



 ヴェルフェゴールのスキルで気になるのは、あの女魔族のオシボリが使った【魔人化】というスキルの上位版と思われる【超魔人化】だ。これを使うと一時的にすべてのパラメータがかなり向上することが予測される。



 魔族だけあって光魔法は覚えられないのか、闇の上位版の漆黒のみを除けば、他の属性はほぼすべて網羅しているようだ。それは俺にも言えることだがな。



 【状態】については、現状サニヤの体を借りている状態であるため、彼女に憑依する形で存在しているらしい。となってくれば、サニヤの体から奴を追い出すことができればオッケーということなのだろうか?



 ちなみにだが、今の俺のステータスは以下の通りとなっている。




【名前】:ロラン(ローランド)


【年齢】:十五歳


【性別】:男


【種族】:人間


【職業】:元領主の息子・冒険者・大賢者の弟子(キング狩り・Bランク)



体力:1160000


魔力:1820000


筋力:SSS+


耐久力:SSS+


素早さ:SSS+


器用さ:SSS+


精神力:SSS+


抵抗力:SSS+


幸運:SSS+



【スキル】



 超解析Lv7、闘気術Lv7、感覚操作Lv7、魔道の極意Lv7、共通魔法Lv6、自然魔法Lv5、混沌魔法Lv6、転換魔法Lv5、


 戦闘術Lv6、並列思考Lv5、全成長率上昇Lv6、分離解体・改Lv6、超威圧Lv5、無機生物創造Lv3、家事全般Lv8、


 錬金術・改Lv5、鍛冶・改Lv6、宝飾・改Lv6、パラメータ上限突破Lv2、限界突破Lv6



【状態】:なし




 こつこつと積み重ねた今までの日課が実を結んでおり、全パラメータがSSS+になっている。スキル関連も、統合スキルになった分スキルの数は減ってはいるものの、スキルの質自体が向上しているため、問題はない。



 ただ、一つの懸念は【全成長率上昇】のスキルがあるにもかかわらず、レベルの上昇が少ないということだ。地道に頑張るしかない。



「ふんっ」


「ぐはっ」



 相手の能力を確認していると、突如として体に衝撃が走った。どうやら、ヴェルフェゴールがこちらに突進してきていたようだ。



 身体強化の乗った攻撃は凄まじく、数十メートルも吹っ飛ばされ、その間にある建物や木々などの遮蔽物にぶつかりながらようやく停止する。久しぶりに感じる痛みに顔を歪めながら、ゆっくりと立ち上がる。



「くそ、あばらを二本持っていかれたか……。【エクスヒール】」



 すかさず治療魔法を使用し、折れたあばらを元に戻す。そして、再び飛行魔法を使って俺は元居た場所に戻った。

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