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【書籍化】ハズレジョブ持ち令嬢?いいえ、磨けば光るチートな魔導具師です!  作者: 沙夜
第二章

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新商品を開発しよう3

……しかし、とにかくこれは喜ぶべき発見だ。


守り玉は石の大きさと魔法付与の加減さえ間違えなければギルドのショップにも並べられるし、蒸留器を作るのに一歩進んだ。


水筒程度なら水を綺麗にする魔法の付与は簡単にできるけど、蒸留器ってどんな風にしたら良いのかしらって思ってたのよね。


そういえば()()()()()()なんて名前の宝石なんだもの、よく考えれば水に関係するパワーがあるのは納得だ。


ルビーとオニキスもそうよね、勝利の石と魔除けの石って有名だし。


あ、そうだ。


「あの、グレンさん。ルビーにオニキスって、もう少し小振りなもの、あります?」


「あるわよ?それがどうかした?」


やった、今ふと思い付いたことだけど、せっかくだから作ってみよう。


「個人的に作りたくて。お金はお支払いしますので、譲って頂けますか?」


気に入ってもらえると良いんだけど。





「ただいま戻りました。遅くなってすみませんケイトさん」


「あらティアちゃん、おかえりなさい。ふふ、良いのよ。お料理はほとんど午前中のうちに作っておいてくれたから、こうして並べるだけだもの」


夕食時に独身寮に戻ると、ケイトさんが優しい笑顔で迎えてくれた。


「お、今日はご馳走だな。俺のためにありがとうな嬢ちゃん、ケイト嬢も!」


そう、実は辺境伯が王都に滞在するのは、今日で最後なのだ。


一ヶ月程だったけれど、とてもお世話になったし、楽しかった。


今日は、そんな辺境伯のお別れ会なのだ。


「あなたの好きなものも作ったから、たくさん食べて頂戴ね」


ケイトさん、笑顔だけどちょっぴり寂しそうかも。


辺境伯がいなくなってしまうと静かに感じるだろうし、寂しいだろうから、私も一緒に過ごす時間を増やそう。


「さあさあ、今日はお酒も解禁よ。みんな楽しんでね」


ケイトさんと寮の責任者であるカイルさんの許可も降りて、テーブルにお酒が並べられた。


そして普段禁酒している騎士達の目が、きらりと光った。


もちろん、辺境伯の目も。


「おっ、気が利くなアーレンスの坊っちゃん!おし、お前等今日は飲むぞー!」


「「「「おーーっ!!」」」」


……こりゃお別れ会って名前の、ただのどんちゃん騒ぎになりそうだ。






「ティア、まだ起きてて大丈夫か?」


「あ、アラン。ありがとう、大丈夫だよ」


会が始まってニ時間程経った頃、アランがそう言って声をかけてきた。


遠慮でも何でもなく、全然眠くはない。


体は子どもだが、光の精霊達のおかげで疲れ知らずなのだ。


でもそろそろ九時か……。


子どもは寝る時間よね、ここは大人しくお先に失礼した方が良いかも。


「今日はお酒飲んでない、よな?」


アランが私の顔色を確かめるように覗き込んできた。


そういえば少し前、アランがジュースと間違えて私にブドウ酒を飲ませてしまったことがあったっけ。


あの時は飲んだ後の記憶が曖昧で、クリスさんに迷惑をかけてしまったみたいなのだが、よく覚えていない。


前世と違って、この体はお酒に弱いのかもしれないわね。


あ、それとも体が子どもだから?


じゃあ元の姿に戻れば、少しくらいなら飲める口なのだろうか?


前世では時々嗜んでいたので、ちょっぴり試してみたい気持ちが湧いてきた。


そういえば最近セレスティアに戻っていなかったし、部屋に戻ったらルナと精霊王様にお願いして、元の姿になって飲んでみようかしら。


ずっとティアのままでいると、いざセレスティアに戻った時に体が感じる違和感が強くなってしまうので、時々元の姿に戻っておいた方が良いって言われたしね。


……というのは建前だけど。


「大丈夫、ジュースしか飲んでないよ。でも明日も早いし、そろそろ部屋に戻ろうかな」


思い付いてしまったら試したくなってしまい、善は急げだということで、アランとはそこでおやすみを言って別れる。


辺境伯やカイルさん、ケイトさん達にも挨拶して、こっそりブドウ酒を一瓶くすねると、食堂の扉をくぐる。


暗い廊下をひとりしばらく進むと、宴の喧騒が少しずつ小さくなっていく。


辺境伯が滞在したのは一ヶ月程だったけれど、随分仲良くなれた気がするし、楽しかったな。


そうだ、昼間作った()()、明日忘れずに渡さないと。


寂しくなるけど仕方ないよね、領地でのお仕事だってあるもの。


それに、奥様とはすごく仲が良いって言ってたし、きっと帰りを待っているだろう。


私の店でお土産も買ってくれたっけ、気に入ってもらえると良いなぁ。


そういえば食堂を出てくる時、クリスさんの姿がなかったけど、もう部屋に戻ったのかな?


ひょっとして、ああいう集まりの場が苦手なのかもしれない。


お父さん相手だしね、照れくさいのかも。


そんなことを考えていると自室に辿り着き、そっと扉を開けた。


あれ、珍しくルナがいない。


散歩にでも行ってるのかな?


ルナに連絡を取ってもらい、精霊王様に元の姿に戻してもらおうと思ったのになぁ……と思っていたら、頭の中に直接声が聞こえた。


『久しぶりね、セレスティア』


「精霊王様!?な、なんで……」


どうやら丁度私がどうしているだろうかと様子を窺っていたらしく、直接念話を飛ばしてくれたようだ。


騎士達は今日はまだまだ騒ぐだろうし、しばらくセレスティア姿に戻っていなかったので、この機会に少し戻っておきたいと精霊王様に告げる。


『お安い御用だわ、ちょっと待ってね』


その言葉の後、目線が少しずつ高くなっていく。


『はい、完了。どうかしら、変な感じはしない?』


「大丈夫です、ありがとうございます!」


いつものことながら何の違和感もなく、不思議なことに洋服までピッタリサイズに変化している。


久しぶりに鏡で見た本来の自分の姿、心なしか少し大人っぽくなった気がする。


『どういたしまして。戻りたい時は、心の中でティアの姿をイメージすれば戻れるからね』


おお、今回はセルフで戻れるようにしてくれたみたいだ。


精霊王様も忙しいはずだし、ずっと私にかかりきりになっているわけにはいかないものね。


もう一度お礼を言って、精霊王様との念話を終える。


「さて、では早速……」


ひとりになった部屋で、先程食堂からこっそり持って来たブドウ酒の栓を抜く。


グラスに少しだけ注いで、まず一口。


「〜んっ、これ飲みやすくて美味しい!」


それにこの前のようにすぐにお酒がまわる感じもない。


これなら少しくらい飲んだって、平気そう。






その油断が駄目だったのだ。


飲みやすいお酒はついつい飲みすぎてしまうもの。


そして意外と度数が高いなんてよくあること。


前世でも気を付けていたのに。


その時の私は、久しぶりのお酒に浮かれて、そんなことをすっかり忘れてしまっていたのだ。

アランが間違えてティアにお酒を飲ませてしまったお話は、番外編「黒の騎士のほろ酔い」をご覧下さい(*´∀`*)

一度ご覧になられた方も、復習されると良いかもです!

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