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【書籍化】ハズレジョブ持ち令嬢?いいえ、磨けば光るチートな魔導具師です!  作者: 沙夜
第二章

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新商品を開発しよう2

「でしょー?カワイイわよねー冒険者ギルドでも売る?」


「ああ、売りたい」


意外なアイザックさんの返答に、私とグレンさんが目をぱちくりさせる。


まぁ女性の冒険者には売れるかもしれないが、だからと言ってこんなに食い気味で言われるほどの人気が出るとは思わない。


すると、アイザックさんが意外なことを口にした。


「石が小さいから、効果はそれほど高くないだろう。だが、石が大きくなればそれに比例して効果も上がる、違うか?」


「えと……そうですね、そのはずです」


ちらりとルナを見ると、うんと頷かれた。


チャームを開発する際の、宝石の鑑定内容を思い出す。


確かにそこには、石の体積によって元々持っているパワーも変わるし、付与する魔法の効果も高まると書かれていた。


それが何だろう?とアイザックさんを見つめると、ふうっとため息をつかれた。


「いいか?確かに今作っているチャームの効果は、恋愛運や金運アップなど、一般人の好むようなものばかりだ。だが、石や付与する内容を変えれば?例えば、集中力や自己治癒力、ああ全体運上昇はそのままでも十分使えそうだな」


「「あ」」


その説明でグレンさんも私も理解した。


そうか、冒険者に求められるような効果を付与して、“お守り玉”みたいな感じにすると良いのかも。


「まあ十分な効果を付与するなら、それなりの石のサイズが必要になるから値段は高くなるだろうがな。しかし、命には代えられんからな。需要はあると思うぞ」


「グレンさん、今って……」


「石ねっ!結構な大きさのものもいくつかあるわよ!」


私がみなまで言う前に、グレンさんが立ち上がって取りに行ってくれた。


その間に私はさっと髪を纏めて、リナさんにエプロンを貸してほしいとお願いしておく。


「お、おい。ひょっとして……」


「思い立ったが吉日です。試作品、作ってみましょう!」


「結局今日も仕事なのね……」


ルナがそうボヤいたが、これは仕方ない。


せっかく作れる環境にあるんだもの、やるしかないでしょ!






「……んで、出来ちまったわけね」


「えーっと、そうですね。思ってた以上に効果が高くなってしまいましたけど……」


「そりゃこんな良い石にティアが魔法付与したら、こうなるわよね」


一時間後。


出来上がった試作品たちを鑑定してみると、とんでもない代物であることが分かってしまった。


まあビー玉くらいの大きさの、かなり大きめな石だから効果は高いんだろうなと思っていたけれど……。


もう驚かねーぞと目が据わったアイザックさんと、呆れた様子のルナの視線から逃れようと、グレンさんに助けを求めた。


……のだが、これはアタシも予想以上すぎだわと苦笑されてしまった。


そんな風に全員が呆気にとられた、在庫であったルビー、オニキス、アクアマリンで作ったお守り玉の鑑定結果が以下の通りである。


************

ルビーの守り玉


製作者:セレスティア・エーレンシュタイン(ティアと偽名を使っている)

効果:攻撃力十倍、火属性魔法攻撃力十倍


************

オニキスの守り玉


製作者:セレスティア・エーレンシュタイン(ティアと偽名を使っている)

効果:闇属性魔法攻撃力十倍、状態異常の無効化


************

アクアマリンの守り玉


製作者:セレスティア・エーレンシュタイン(ティアと偽名を使っている)

効果:HP自然回復力十倍、飲料水製造


************


相変わらず私に関する情報に、少しだけ悪意を感じる。


「いやいや、気にするのはそこじゃないから」


ルナからのつっこみが入ったが、効果がチートすぎて反応し辛いんだもの!


十倍とか無効化とか、こんなの普通にあって良いものなの?


「十倍ねぇ……今まで見たことある最上のもので、三倍だったわよ」


「アイテム扱ってる俺でさえ五倍のものしか見たことねぇよ……。それに無効化なんて、国宝レベルじゃねぇの?」


グレンさんとアイザックさんの会話からも、普通じゃないことが判明した。


ふたりは元冒険者なんだし、そういうアイテムのことをよく知っているはずだから、やはりこれはチートアイテムだということなのだろう。


「……とりあえず、ショップで売る用のやつは、もう少し小さめの石にするか」


「……そぉね、相応の大きさのものを仕入れておく。張り切って良いのを持って来ちゃったアタシも悪かったわね。でも、ティアちゃんも手加減してね?」


だそうですよ精霊さん達?


ルナにお願いして、周りにいるだろう精霊さん達に念押しをしてもらった。


なぜだか私を気に入ってくれている精霊さん達は、忖度しすぎて力を貸してくれすぎな傾向にある。


こういう時は抑えめで良いんです、抑えめで。


心の中で呟いていると、肩に乗っていたルナが、じっとアクアマリンの守り玉を見つめていた。


どうかしたのかとこっそり聞くと、ルナは眉を下ろして口を開いた。


「ね、飲料水製造って……」


「飲料水製造?」


私が聞き返すと、俺も気になったとアイザックさんが反応した。


グレンさんにもよく分からないわねと言われたので、もう一度守り玉に鑑定をかけて、“飲料水製造”の部分をタップしてみた。


詳しく知りたい部分は、こうしてタップすることで違うウィンドウが開くのだ。


そしてそこには、こう書かれていた。


************

アクアマリンの守り玉

*飲料水製造*


コップ一杯の水から川・湖の水まで、この守り玉を入れておけば人間が飲料可能な水に変化する。

水の量によって製造完了の時間が変わる。

※1000ccで一秒

************


「「「…………」」」


「この間言ってた蒸留器、簡単に作れちゃいそうね……」


ルナの言葉に、こんなにタイミング良いことってある?と心の中で返したのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 まさに「やり過ぎは宜しくない、ハッキリわかんだね」ってやつですね。効果ヤバ過ぎィ!? そういえばファンタジー系のゲームで良く目にする『めちゃデカい宝石を埋め込んだ武具…
[一言]  とりあえず、状態異常無効は王家へ納品案件だな。状態異常に毒も含まれるなら、即刻納品だ。
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