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【書籍化】ハズレジョブ持ち令嬢?いいえ、磨けば光るチートな魔導具師です!  作者: 沙夜
第二章

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魔物討伐4

そして巨大蜘蛛は素早く口から糸を吐き出し、私達を襲った。


「くっ……!硬い……!」


先程と同じく、クリスさんの剣には暗い炎が纏われている。


だが、ポイズンスパイダーの糸は問題なく斬れていたのに、この巨大蜘蛛の糸は全く斬れず、弾くのみだ。


ということは、炎に弱いというわけではないのだろうか?


「こんな魔物は初めて見たな……。おいクリス、俺も混ぜろ」


「ティアは僕が預かりますから、隊長は戦闘に集中して下さい。アイテムはしっかり残っていますから、思う存分暴れて頂いて大丈夫ですよ」


そこへ辺境伯とセシルさんが援軍に来てくれた。


そっとクリスさんが私を押し出したので、ぱっとセシルさんの元へと駆け寄った。


そしてじりじりと後ずさり、巨大蜘蛛から距離をとる。


辺境伯が見たことないって言うんだもの、きっと珍しい魔物なのだろう。


「“鑑定”」


************

ジャイアントスパイダー

Sランク

HP:9550//9580

MP:257//257

蜘蛛型の魔物の中でも、最も耐久性の高い糸を使う。

猛毒の霧や火を吐く。

耐性:闇、火

弱点:光、水、氷

************


やはり、先程のポイズンスパイダーとは違う性質の魔物のようだ。


しかもSランク……。


「ふたりとも、気を付けて下さい!そいつはSランクの魔物です!」


そう大きな声で忠告し、ふたりに耐性や弱点など、鑑定の結果を伝えていく。


するとクリスさんが眉間に皺を寄せた。


「……俺の剣とは相性が悪いかもしれないな。魔法での攻撃を中心にするべきか」


「俺も得意なのは火属性だしなぁ。この剣に、少しでも水や光の魔法が付与されていれば良かったんだが」


辺境伯も苦笑いをしているところを見るに、さすがのふたりも、この巨大蜘蛛の相手は手こずりそうだと判断したようだ。


「僕もここから水魔法で援護します。“水の矢(ウォーター・アロー)”」


そこへ私の隣にいたセシルさんが魔法を唱えると、無数の水の矢が巨大蜘蛛の糸を切っていった。


すごい、やっぱり水属性に弱いのね。


あとは氷と光だけど……。


氷魔法は、水属性魔法のレベルが五以上になると使える。


「“氷柱(アイス・ニードル)”」


どうやらクリスさんは剣ではなく、氷魔法に切り替えたようだ。


先の尖った鋭い氷が巨大蜘蛛を襲うと、かなり粒を避けていたはずなのに、魔物はひどく苦しみ動きが鈍くなった気がする。


この蜘蛛、ひょっとして……。


しかし、すぐに目を光らせて勢いよく糸を撒き散らし始めた。


「属性がどうこう考えるのは、任せたぞ。Sランクの魔物と戦うのは久しぶりだ。腕がなるな!」


糸を巧みに利用して攻撃をさせまいとする巨大蜘蛛に、辺境伯が糸を避けながら楽しそうにそう言い放った。


……先程は倒すのが難しそうだと思ったが、気持ちを切り替えたらしい辺境伯のこの様子は、すごく頼もしい。


だけど、油断は禁物。


巨大蜘蛛が、その大きな顎を使ってクリスさんや辺境伯を食い千切ろうと、ふたりに狙いを定めているのが分かる。


「……私も、お手伝いさせて下さい」


「ティア?」


戸惑うセシルさんよりも、一歩前に出る。


光属性魔法はまだまだだけど、水属性魔法は氷系も使える程のまあまあのレベルなのだ。


正直、攻撃魔法はあまり使ったことがない。


でも、魔法はイメージが大切。


前世で飽きるほど見てきた、弟たちがやっていたゲームの魔法攻撃を思い出して。


「“氷嵐(アイス・ストーム)”」


クリスさんのものよりも小さな硬い氷の粒の嵐を、巨大蜘蛛の周りに起こした。


すると、巨大蜘蛛は動きが止まり、糸を吐く勢いも弱まった。


その様子を見逃さず、立て続けに詠唱に入る。


「“星屑の氷霧(スターダスト・ミスト)”」


今度は巨大蜘蛛を凍らせるつもりで、できるだけ温度の低い霧を発生させる。


私の予想が当たっているならば、あの巨大蜘蛛は寒さに弱い。


ただ攻撃を受けるだけじゃなく、氷に囲まれたでけでも動きが鈍くなったもの。


そして思った通り、凍るまではいかなくとも、巨大蜘蛛の身体には霜が降り、その深い緑の目が暗くなっていき、静止状態に陥った。


「今です!」


そう合図を出せば、辺境伯がとても良い笑顔をして剣を構えた。


「嬢ちゃん、やるな!」


そして、突きの姿勢で巨大蜘蛛の目を狙って思い切り足を蹴った。


「グオォォォ!!」


五つあるうちのひとつに見事に突き刺さり、巨大蜘蛛が悲鳴を上げる。


やった、かなりのダメージを与えたに違いない。


でも、これで終わりじゃない。


「!クリスさん、危ない!」


咄嗟にそう叫ぶと、怒った巨大蜘蛛がその大きな口を開き、糸ではなく火を吐いた。


「ブレス攻撃までするのか……。くっ、そしてこの高温で自分の凍った身体を温めたのか」


綺麗に避けたクリスさんの言葉に巨大蜘蛛を見ると、確かに霜で白くなっていた身体はすっかり元に戻っていた。


「持久戦になりそうですね」


「そうですね……。みなさん!氷魔法が使えるレベルの者は、出し惜しみせずに使いましょう。その他の者は、剣で辺境伯とクリス隊長を援護する、できますね?」


「「「はい!」」」


セシルさんの声に応えるように、他の騎士たちが連携を取りながら氷魔法を放ったり、剣でフォローに回ったりし始めた。


よし、これでかなりふたりが楽になったはずだ。


後は、巨大蜘蛛に決定的な攻撃を与えることができれば……。


クリスさんの剣は既に闇属性が付与されている。


ならば、かけるならこちらだろう。


「辺境伯様、先に謝ります!勝手にすみません!」


「うん?一体何を……って、おおっ!?」


一度間合いを取って巨大蜘蛛の様子を窺っていた辺境伯に向かってそう叫ぶと、手のひらに魔力を集中させる。


こういう使い方をちゃんとしたことはない。


でも、できるはずだ。


「“氷結の剣(アイス・ソード)”」


私の詠唱に応えるように、辺境伯の持つ剣が冷気を纏っていった。

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