新生活は意外な人との出会いから1
お久しぶりです。
お待たせいたしました(別に待ってない方もいらっしゃるかもしれませんが笑)、本日から続編を投稿していきたいと思います!
週に一、二回の更新になるかとは思いますが、長い目でお付き合い頂けると嬉しいです(*^^*)
とりあえず2話目は明日投稿予定です!
無事に完結させてあげられるか不安ではありますが……
またティア達をよろしくお願いします♡
「いらっしゃいませ!幸運の月へようこそ!」
お店の開業から一ヶ月。
この生活にもずいぶん慣れてきて、お店もなかなか順調だ。
今のところ、お店を開けるのは週に三日だけ。
それでもお客様のいない時間はほとんどない、と言えるくらいには繁盛している。
今日も若い女性を中心に、何人かのお客様が店を訪れ、商品を手に取ってくれている。
「ティアちゃん、これ新作?かわいいわね!」
「はい、ペンダントトップを猫をモチーフにして、何種類か作ってみたんです。気に入ったものがあれば、ぜひ」
そして馴染みのお客様は、こうして親しげに話しかけてくれるようになった。
店に並べているのは、主に女性向けの雑貨。
アクセサリーや小物、調理グッズやカトラリーなど、前世の雑貨屋さんをイメージして商品を揃えている。
中には絆創膏やシップ、ゴム手袋なんて実用的なものもいくつかあるが、これらもなかなか評判が良い。
かわいいアクセサリーや置物も良いが、生活がちょっと楽になるものも必要よね。
「ここのアクセサリーを身につけると、良いことが起きるって聞いたんですけど、本当ですか?」
初めて来店されたお客様が、おずおずと聞いてくるのに、私はにっこりと笑顔を返す。
「そうですねぇ……そうなるようにと想いを込めて作ってはいますが、私は、お客様自身の行いが幸せを呼ぶのだと思いますよ。小さなことでも、なにか良いことをしたり、努力をしていれば、きっと何かしら自分に返ってくるはずです。このアクセサリーは、あなたに力を貸してくれる、“御守り”です」
「そう、ですよね。――――うん、アクセサリーも買いますけど、自分でも頑張ります!」
先程は少し俯いて自信なさげな表情だったけれど、そのお客様はちょっぴり顔を上げて、それから笑った。
そしてお会計を済ませると、晴れやかな顔で店を出ていった。
うん、あのお客様にはきっと何か良いことが起きるだろう。
お店の商品には、少しだけ運気が上がるようにと魔法付与はしているが、本人の努力がなければ目に見えた効果は表れない。
便利すぎるものや都合の良すぎるものは、人を怠けさせてしまうからね。
魔法の効力もその程度にしているのだ。
「さっすがティアちゃん。いつも思うけど、本当に出来たお子様よね。最初はこんな小さい子が店長って大丈夫?と思ったけど」
「そうそう。見た目は幼い女の子なのに、話すとまるで年上のお姉さんみたいなんだもの。商品も文句なしに素敵なものばかりだし、今ではすっかりお気に入りのお店だけどね〜」
ねーっと常連の女の子たちが笑う。
「あはは……本当に八歳?ってたまに言われます……」
相変わらず私は年齢を疑われている。
まあ仕方ないよね、本当は十六歳だし、前世の三十代の記憶まであるんだから。
あ、そうそう。
つい先日誕生日を迎えて、めでたく成人しました。
だからって別に何も変わってはないけれど……。
でも独身寮のみんなにお祝いしてもらったのは嬉しかったな。
ちなみに、陛下からも目の眩むような宝石の類を贈られそうになったが、丁重にお断りした。
いったいいくらするんだろうと思ったし、そんなもの身につける機会もないから、宝の持ち腐れだもの。
それに、とポニーテールにまとめた髪に結んだリボンに触れる。
紺色のリボン、これはクリスさんがルナとお揃いでプレゼントしてくれたものだ。
リボンならそんなに高価なものじゃないし、ルナとお揃いで身につけられるのが嬉しくて、ありがたく頂いた。
私にはこれで十分。
そりゃいつかは元の姿に戻る時が来るだろうけど、普通の貴族令嬢にはならないだろう。
きらびやかなドレスに身を包むことがないなら、宝石なんて必要ない。
まあエーレンシュタイン令嬢やってた時も、そんな機会はなかったけどね。
「ティアちゃーん、これお会計お願ーい!」
「あ、はーい!」
先程の女の子たちに呼ばれて、ぱたぱたとレジへと向かう。
とりあえず今のところは順調と言える。
この調子で少しずつ自立していけるように、頑張らないとね!
お知らせです。
こちらの作品、前作と同じくスターツ出版ベリーズファンタジー様より5月に書籍発売予定です!
どうぞよろしくお願い致します(*´∀`*)




