表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】ハズレジョブ持ち令嬢?いいえ、磨けば光るチートな魔導具師です!  作者: 沙夜
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/92

鍛冶師のはずが⁉1

また短め……すみません(T_T)

「なるほどね。タオル、私は良いと思うよ」


「そうだな!これから暑くなるしなー」


翌朝の食堂。


落ち着いてきた頃に、一緒にいたカイルさんとアランに昨日の話をすると、ふたりからも良い反応が返ってきた。


「あ、オレは靴にもそういうのがあると良いと思うな。ほら、夏場って蒸れるんだよなー」


アランがうんざりしたように呟いた。


そっか、騎士はサンダルなんて履かないもんね。


ショート丈とはいえ、夏にブーツなんて、前世じゃ考えられない。


「ああ、確かに。虫に侵されるヤツも多いからな」


「虫……ですか?」


なにかよく分からないけれど、気持ち悪いなぁと思いながらカイルさんの話を聞いていると、どうやら水虫のようだ。


ああなるほど……と嫌に納得してしまった。


そんなに詳しくないけど、原因は菌の繁殖だった気がする。


とりあえず通気性を良くすると良いんだよね?


靴を作るのは……無理。


さすがに無理。


なら中敷きとか?


水と風の魔法を付与して、冷感と通気性を良くする効果を付与すれば、履いているときも蒸れないし、脱いだ後も靴の中を乾かしてくれるようにして……。


「それ良いな!ほら雨の後とか、湿地に行くとなかなか靴が乾かないしさー」


お、アランの反応は良さそう。


カイルさんも作ってみると良いんじゃないかと言ってくれた。


この様子を見ると、ふたりは水虫ではないようだ。


でも意外と若い人にも多いって、前世でも聞いたしなぁ。


同じようにブーツを履くことの多い冒険者にも、需要があるかも。


「商品開発も良いが、バレないようにしろよ」


そこへ、食事を乗せたトレーを持って、クリスさんが現れた。


どうやら今の話を聞いていたらしい。


「そうだな。ではまず、試作品を作ってもらって、騎士団で使ってみよう。特殊な繊維を開発したことにしておくか」


確かにいきなりギルドで売るよりも、そっちの方が安全かも。


カイルさんに、分かりましたと返事をする。


「それにしても、ぽんぽんとよくもまあ、思いつくものだな。町でのお前の商品の評判も、かなり良いみたいだし」


アランの隣に座ったクリスさんが、フォークを手に取りながらそう言った。


あれ、そんなことまで知ってるなんて、ひょっとして気にかけてくれているのかな?


「考えるのは良いが、ちゃんと俺たちに相談はしろよ。自分で思っている以上に、お前のスキルは貴重なんだ」


そしてクリスさんは、私の作った玉子焼きをぱくっと口に入れて、美味いと言ってくれた。 


表情はそんなに変わらないけど、心配してくれているのが十分伝わる。


「はい、気を付けます。クリスさんたちの仕事が快適になるようなものも、たくさん考えますね!」


その気持ちが嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。


そしてそんな私につられたのか、クリスさんも少しだけど笑ってくれた。


そんな私とクリスさんの様子を見て、アランが両片思いのカップルみたいだなと言い出し、クリスさんに叩かれていた。


ちなみにカイルさんは爆笑。


両片思いなんて言葉、この世界にもあったんだなぁとぼんやり考えながら、まあまあとクリスさんを宥めたのだった。






その日の修行中、不思議なことが起きた。


このところ仕事にも慣れて来て、矢じりやナイフ、ショートソードに肘当てなど、様々な武具を作らせてもらっている。


グレンさんが作るところを見せてもらい、どんなところにポイントを置いているかも教えてもらっていた。


技術もさることながら、イメージが大切だからね。


作るもののことがちゃんと分かっていないと、壊れやすかったり、うまく機能しなかったりするのだ。


だから、打って打って打ちまくって覚えろ!みたいな体育会系・熱血な修行では意外とない。


そりゃ数をこなすのも大切だから、作っては分析、足りないところを見つけてまた作る、みたいに繰り返してはいる。


ただ、なかなか良くなってきたわよ〜♡ってグレンさんに褒められたから、多分進歩はしているのだと思う。


でも他の従業員さんに見せた時には、なぜ?ってぎょっとした顔をされているから、甘めな審査なのかもしれないけどね。


まあコツコツやるしかないわね。


全てが一朝一夕で上手くいくわけじゃないのだから。


そう思いながら、作っている肘当てにハンマーを入れ終わると、ピロリンッと、この世界では聞いたことのない、機械音のような音がした。


「?グレンさん、今なにか聞こえませんでした?」


「いいえ?なにも聞こえなかったわよぉ?」


他の人に聞いても首を振られるだけだったので、気のせいかと思うことにした。


それよりも肘当ての出来がどうなのか気になる。


そしてその機械音のことはすぐに忘れてしまった私は、その日の修行を終えて帰宅したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ