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【書籍化】ハズレジョブ持ち令嬢?いいえ、磨けば光るチートな魔導具師です!  作者: 沙夜
第一章

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20/92

初めてのプレゼント3

「あら、そういえばクリスを待っていたのよね?あの子、そろそろ食事を終える頃……あ、ほらお皿下げていったわ」


「え!?ケイトさん、ごめんなさい。後から洗うので置いておいて下さい」


ケイトさんの腕の中でのんびりしていたら、うっかり渡しそびれるところだったわ。


やっと渡す決心をしたのに、ここで渡せなかったらきっと、やっぱり止めようって思ってしまう。


危ない危ない。


教えてくれて助かった。


快く送り出してくれたケイトさんにお礼を言って、用意していた包みを握る。


ぱたぱたとクリスさんを追いかけるが、長身のクリスさんは歩くのも速い。


食堂を出て、廊下の曲がり角の手前でやっと姿が見えた。


「待って!クリスさん!」


姿が見えなくなる前にと、咄嗟に叫ぶ。


すると驚いたような顔をして、クリスさんが立ち止まってくれた。


はあはあと息を切らしながら追いつく。


うぅ……完全に運動不足だわ。


「……どうしたんだ?俺に何か用か?」


私の息が整うのを待って、控えめに聞いてくれた。


ごめんなさい、時間取らせました。


どうやって切り出そうかと色々考えていたのに、いざとなると何も思いつかない。


結局、ええいままよ!と包みをクリスさんに突き出した。


「……これは?」


そりゃそうだ。


突然思い当たることのない包みを差し出されても、説明しないと分かるわけがない。


「ええっと、この前アランから頼まれて、足首や手首につける飾り紐を作ったんです」


そこまで話すと、知っていると素っ気ない声が返ってきた。

あれ?ちょっと怒ってる?


でもここまできて怯むわけにはいかない。


顔を見ながらだと上手く話せないかもしれないと思い、やや俯きながら言葉を紡いでいく。


「作ろうとして、思ったんです。私がここでこうして生活できているのは、クリスさんのおかげだって。だから、お礼……という程のものではありませんが、まずはクリスさんのために何か作ってプレゼントしたいなって」


差し出したままの包みをぎゅっと握る。


通じたかな。


私、上手く話せた?


しばらく経っても反応がないのが怖くなって、恐る恐る視線を上げると、そこには目を見開きながらほんのり頬を染めるクリスさんがいた。


へ?


意外すぎる表情に呆気にとられていると、我に返ったクリスさんが、慌てて顔を逸らした。


「っ……それはつまり、俺のために作ってくれたということか?」


「え、あ、はい。大したものではありませんが、良かったら」


もう一度クリスさんに向かって、包みを持った手をおずおずと伸ばす。


するとクリスさんは、そっとそれを受け取り、まるで宝物かのように慎重に包みを開いた。


「これは……いや、紐、か?」


取り出した時に、クリスさんがはっとしたのは気になったけれど、聞き返すことはせず、質問に答える。


「?はい、剣の飾り紐なんです。初めてお会いした時、助けてもらった剣さばきがあまりに見事だったので」


すごく強いんだなって思った。


だから、その剣に、ちょっとだけ祈りを込めたお守りを。


少しだけ、剣が軽くなって持ち運びしやすくなると良いな。


少しだけ、剣の効果が上がると良いな。


そして、剣がクリスさんを守ってくれると良いな。


ちゃんと、無事に帰って来てくれるように。


そんな、ささやかな願いを込めて。


「……ありがとう、ティア」


あ。


久しぶりに名前、呼んでくれた。


それだけなのに、なんだかすごく嬉しい。


「早速付けたいのだが、もし良かったら、ティアが付けてくれるか?」


ふわっと優しく微笑んでくれたのも、久しぶり。


「もちろんです。私も剣に付けたところ、見たいですから!」


気に入らなかったら、適当にお礼だけ言って付けないっていう選択肢もある。


だけど、ちゃんと私の目を見てお礼を言って、その上、騎士の命とも言える剣にまで触れさせてくれるなんて。


――――嬉しい。

短くてすみません(T_T)

物足りない方のために?

短編の小説をアップしたので、興味のある方は是非読んで頂けたらと思います!

https://book1.adouzi.eu.org/n1634hj/

悪役令嬢モノ、よくある話です。

一度書いてみたくて、好きに書きなぐりました笑

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 剣の飾り紐…と聞いてちょっと携帯のストラップを連想してしまった。 ちょっとしたところを飾るのは騎士としての粋ですよね。
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