勧め! 逆紫の上計画
魔族と人間が争っている世界で、とある国に勇者の素質を持つものが生まれた。
焦った魔族側は、未だ卵で眠る魔王を目覚めるまでの代理として魔王の素質を持つものを召喚することにする。
そして召喚されたのは干物女の主人公。寝間着でいきなり呼び出された彼女は周囲に桁外れの美形ばかりいることに凹む。魔王の側近から事情を聞いて「無理」と即答。本人も人間なので、人間滅ぼすためには協力できません。魔族側は「なら殺すか」と剣を取り出すと「魔王代理やります!やりたいな!」って言う。死にたくないし。
まずは最初に卵の魔王様にご挨拶。すると主人公の手から黒い靄が卵へ吸い込まれていく。驚く側近たち。
黒い靄は魔王の餌みたいなもので、どうやら主人公は魔王代理というより魔王の乳母。その日からずっと卵を抱えることになりました。そしたら排泄とかそういうのが全部ないことに気づいて呆然。摂取エネルギーは魔力になって魔王様行き。
卵と生活すること半月、人間側の情勢を勉強していると主人公はなんだか体の奥から、じわじわと何かが渦巻いている状態に。それを側近に言うとすぐに卵を出しなさいといわれ、卵を布を載せたテーブルの上に。すると卵の殻がぱりんと音を立てて割れはじめる。側近全員が卵を囲んでwktk。
主人公はその場からぽいってされて離れた場所で勉強の続き。ちょっと悲しい。
卵が完全に割れて中から黒髪に金と赤のオッドアイをした赤ん坊。魔王は代々黒髪で金か赤の瞳を持って生まれてくるが、すべての色を持って生まれたのは初代のみ。赤子なのに感じる魔力は桁外れ。
同時刻、人間側の神官がそれを察知して恐れおののいた。側近が赤子魔王様を抱き上げたけど、大泣き。テレパシーで「触るな、ボケ」って言われて側近ショック。別の側近も却下。最終的にテレパシーで主人公の名前連呼。主人公、ずっと聞こえてたけど側近怖いからスルーしてた。でも名前呼ばれたから側にいって顔見せると飛んで突撃された。それから離れない。
魔王様曰く、主人公の魔力は無尽蔵でなおかつ魔王の魔力だけを増幅させる。この調子なら五年もしないうちに成人するだろうって言うから魔族は大喜び。またしても主人公は赤子魔王様のお世話係。でもトイレとかないから楽だよねって思う。食事も基本的に黒い靄なので。側近は赤子でも美形で魔力もあるので、よほど主人公の影響が強かったとのこと。靄の持つエネルギーで卵内で育ったので、影響を受けやすい。つまり主人公の持つ妄想力が栄養なので、魔王は主人公好みに育ちやすい。それを聞いた主人公、「何その逆紫の上みたいなの!?」って驚くと同時に赤子魔王様を見て外見は自分好みに育つといいなとか考えちゃう。
二年くらい過ごしてると赤子から十歳くらいの姿になる魔王様。育った魔王様はとても美少年なので、主人公は目の保養だなとか思いながら日々を過ごしてると、魔王様が近付いてきていきなりちゅー。それもでぃーぷ。あたふたするけど同時に「え、何この舌使い」とか思う。主人公へろへろ。魔王様「ふむ。やはり直接の摂取のほうが美味いな」とか言っちゃう。さらに魔王様は主人公に名前で呼べとか命令。そこで気づく、魔王様の名前知らないよ。教えてもらった名前を呼ぶと、ぴりっと胸に痛みが走る。魔王様うれしそうな笑みを浮かべて、主人公のシャツ裂いて胸を見る。左胸に複雑怪奇な紋章。魔王様、そこにキスをする。さらに、主人公に自分の胸の紋章にキスするように命令。逆らえない主人公。主人公がキスすると、薄かった紋章が色濃くなった。「これで残す契約は一つだけだな」ってにんまり。
さらに三年後、魔王様は外見二十代半ばくらいの細マッチョに育ち、超絶美形と言われるほどの美形に育ちました。完全主人公好みの顔と体で、逆紫の上計画成功っ!て喜ぶ。
主人公は五年の間にすっかり魔族に溶け込み、人間側をどうするか考えちゃうようになった。基本的に人間の数が増え、魔族の住む土地を奪おうとするところから軋轢は始まった。魔界と呼ばれる魔族の土地は基本肥沃な土地。さらに魔族が魔力を使っていろいろと作物を育てたりしているのし、四季もある気候。ぶっちゃけかなり住みやすい土地になっている。主人公の目から見ても、かなり居心地がいい。緑も水も豊潤。人間側が狙うのは無理もない。
魔族は基本的に発情期にしか子供が出来ないので、あまり人口は増えない。魔族が人間を襲うのも、人口削減のため。決して食べるためではない。別に人間食べなくても何の影響もない。主人公はそれらを聞いて、この魔族側の大陸と人間側の大陸を遮断、断絶したらどうかと提案してみる。人間が入り込めない結界を張ってみるとか。しかし、人間側に絶望して移住してきた人間や、魔族にほれ込んだ人間もいるのでそれも難しい。ならば、勝手に移住や連れてきたりするのはダメで、許可制にすればいいという。そんなに数も多くないので、それは可能だった。魔王が正式に魔王に就任した際に結界と許可制を採用することに。
五年経っても主人公は自分に変化がないことを気づく。髪の毛も爪も伸びない。これも魔王の餌だった影響かと思ったが、すでに靄を食べていない状況なのにおかしいと思ってたずねると、魔王や側近の魔力の影響を受けているので、老化が遅い状態。それはそれでうれしいかもしれない主人公。
魔王が正式に魔王として就任し、結界と許可制を取り出して二年後。魔王最初の発情期が訪れ、側近達は誰を当てるか話し合う。しかしそれらを一蹴して魔王は主人公を部屋に連れ込んだ。側近は予想してたけど、改めて実感。魔族の歴史の中で、餌である黒い靄を持つ者は魔神の御子、つまり魔王の伴侶であり魔王の母。主人公はまさに魔神の御子で、魔王の母であり妻になれる資格を持っていた。これらは魔界中に広がっており、誰もが魔王の発情を待ち構えていたという……
一週間後、部屋から出てきた魔王様は機嫌がよく麗しの笑顔。主人公は一週間魔王の精を受け続けたことで魔族に変化し、肉体変化が起きていた。髪が腰まで伸び、黒い眼は魔王と同じ色の瞳を持つ。これは完全に御子と魔王が心身共に結ばれた証。側近達はお祝いと共に、主人公へ特別調合の栄養剤を渡しましたとさ。主人公はベッドの上でぐったりしてます。この一週間、主人公はいつ腹上死してもおかしくないとか思っていた。何度も何度もイかされて後半はもう人様には口に出して言えないようなこともされた。実は初めてだった主人公。御子が純潔を捧げたので魔王自身の力も倍増。結界の力も強まり、どうにか破ろうとしていた人間側は結界がさらに強くなって手も足も出なくなりました。
魔王と同じ不老長寿になった主人公は、魔王に溺愛され次の発情期で妊娠。次代の魔王を産み落とします。黒髪に赤い瞳を持つ子でした。こうなると、魔界中で次々に子供が生まれるようになる。子供が生まれないことに悩んでいた種族も嘘のように跡継ぎが生まれ大喜び。魔界は平和です。
十年後、魔界に移住者が。それは勇者で、彼は幼い頃から勇者勇者といわれてスパルタ訓練されてきた鬱憤が爆発しました。しかも実は勇者は主人公と同じ世界からの転生者でした。仲良くなる主人公と勇者。勇者、完全に魔界に永住決める。魔界のほうがのびのびと自由に過ごせて幸せです。
現代では農家だったので、作物育てるの大好き。自然大好き。魔王城の一角の畑で作物育てる生活。勇者の育てた野菜はとても美味しくて大人気。魔王も気に入ったので、「お前人間やめて魔族になんね?」「え、マジ?じゃあ魔族になったら他の野菜育ててもいい?」「いいぜ。なんならあの畑お前にやるよ。好きにしろ」「よっしゃ!魔族でもなんでもなるわー」って軽い感じで勇者は魔族になりました。魔王の血を飲むことで魔族に変換。でも神の加護を持つ勇者なだけに、魔王の血が馴染むまでが大変。寝込みました。その間に勇者の面倒を見ていたのが主人公のお世話係のメイドさんで、側近の妹。以後、勇者とメイドさんの間にフラグが立ちました。数年後結婚です。




