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笑わない少女と勇者と高速馬車……

6月23日(木)の投稿になります。

さて、魔王の復活時期だがそれはあっさりと判明した。

スバルの、勇者ブレイバーの能力の一つであるシステムメニュー内にあったのだ。

魔王が復活するまでの時間を示すものが。


それによると、封印が解けるまでの時間はおよそ2年。

それがタイムリミットだ。

そしてその2年の間、ヤツラは街を破壊し続けるのだ。


人造勇者イミテブレイバーが再現出来なかった勇者ブレイバーの力。

これが女神ル・シャラの力の一端であるのか。

そして、人造勇者イミテブレイバーが再現出来なかった能力はまだあるが、今回の魔王戦において重要な戦力増加になるであろう物がある。


それが女神の福引(ル・シャラズラッフル)である。



女神の福引(ル・シャラズラッフル)。 それは強大な力を持つ神話武装ゴッズウェポンを生み出す能力。

魔物モンスターを倒す、善行を積む、弱者の救済(ヘルプクエスト)などにより女神ポイントが加算され一定の数値になれば、福引ラッフルが引け、様々な武装やアイテムと交換出来る。

その能力が、今も使用出来る事はスバルに確認済みだ。


私達のレベルは才能限界カンストしている。 つまりこれ以上の強さを得る事は出来ないだろう。

ならばどうするか?


戦術、戦略面を鍛えるという手もあるにはあるが、それもどこまで魔物ベスティア達に有効か分からない。

手っ取り早い手段として、やはり装備品の強化は必要だろう。

超希少(UR)神話武装ゴッズウェポンが手に入れば一番いいのだが、兎に角ある程度の数は欲しい。

魔王復活までにどれがけポイントを貯めれるか? そこが肝となるだろう。


もう一つ、これはポイントを貯めながら行える方法だが、迷宮ダンジョンに潜る手もある。

神話時代(E2O)より残る迷宮(ダンジョン)は各地に幾つかある。

現状一般に知られているだけでも4つ。

その内、今だ攻略されていない迷宮(ダンジョン)は3つ。

その最奥には神話武装(ゴッズウェポン)か、それに類する物が眠っているはずだ。

そしてそんな神話時代(E2O)迷宮(ダンジョン)に入るためには冒険者ギルドによって厳しい制限がある。

最低、ゴールドランク以上。 それが迷宮(ダンジョン)に入る条件になっている。


「つまりどうあっても冒険者ランクは上げる必要があるのか」

私の説明にスバルは感心したよな声を上げウンウン頷いていた。

まったく緊張感のない顔だが、やるべきことは分かっているようで女神の福引(ル・シャラズラッフル)の事を詳しく説明してくる。


「まず福引が引く為のポイントは300。 モンスターを倒す。っていっても普通のじゃポイントは入らなくて、ボスか専用のダンジョンにいるモンスターを倒すかでポイントがたまるんだ」


「次に善行を積むだけど、これはストーリークエストをクリアする必要があるから今は無理だろうね。弱者の救済(ヘルプクエスト)もそうだと思う」


ル・シャラがいない今では、魔物モンスターを倒す以外の方法がないらしい。

ならば早くレシュトーラナ王国に行ってランクアップしないといけないわね。



ーーー 俺様を忘れんなよ ---



誰かにそう声を掛けられた気がした。


懐かしい誰かに……





スタッドの街からレシュトーラナ王国の首都ラル=ハランへは馬車で一週間ほど掛かる。 もちろんどこにも寄らないなら、だが。


馬車はベンソンギルド長が出してくれることになった。

ギルド保有の高速馬車である。

これで行程を少し縮められるだろう。


ラル=ハランへ向かうため、北の街門に馬車を用意してあるそうだが……

門の側に遺失機関ロストエンジン特有の金属で出来た箱のような外見の馬車が見えた。


馬車、と言う割には馬はおらず、車輪が六つ付いている全長7メートル、高さ3メートルほどの金属の箱としか形容出来ない物があった。


「うお! 六輪装甲車!!」

スバルはそれを見て歓声を上げるが、ソウコウシャとはなんであろうか?

スバルの声が聞こえたのか、馬車の扉が開き中から一人の女性が出て来た。


それは、デスデモーナだった。


「遅い。早く乗る」

相も変わらずしかめっ面で私達をせかすと馬車に押し込む。


「えーと、デスデモーナさんがこの車、いや馬車を運転するの?」

オズオズといった感じでスバルがデスデモーナに問うと当然といったように頷く。

デスデモーナは前、御者台に相当する所に座るとこちらに声を掛ける。


「しっかり捕まる」


そう言い終えるとデスデモーナが全面にある持ち手、後でスバルに聞いた所、ハンドルと言うそうだが、を掴むと足元にあるアクセルペダルを踏み込むと馬車が急に走り出した。

いきなりの加速に頭が後ろに引っ張られ、首がイヤな音を立てる。

なんて加速なの。


高速馬車の名に恥じない加速に驚きながらデスデモーナを見やる。


後ろから見る彼女の顔には初めて見る満面の笑顔が見えるのだった。


「うおおおおおおお!? まさかのスピード狂ぉぉぉぉぉぉぉ!!??」

「3日で送り届ける。任せるといい」



そんな声を置き去りにして馬車は走り出していった。

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