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いつのまにか仲良し

「あ、そうだガスト、これ差し入れね。」



ハナが思い出したように差し入れたのは、水筒とオニギリの主食弁当だった。

オニギリはハナがよく孤児院で作ってくれていたもので、ガストにも馴染み深いものだった。



「お嬢、ありがとうございます。」



試合途中にお腹が空くことを見越しての差し入れにガストが感動していると、ハナが爆弾を落とす。



「おにぎり弁当は私だけど水筒はヘイ様からよ。」



「え、ヘイ様…??」



「あ、んとヘイリー様からなの。ハルシフォン家の。」



「は?!!!?」



ヘイリー・ハルシフォン…

ムキムキマッチョな武官ばかり出す、現副将軍のご令嬢の名にガストは固まった。

ハルシフォン家の奇跡と歌われる、可憐で美しいまるで妖精のようなご令嬢。

存在は知っていたし、先日鼻血を出して倒れた彼女を医務室まで運んだのはガストである。

接点はそれくらいで、それまではたまに訓練所を見ている姿をちらりと見られればラッキー的な雲の上の人であった。



「うえぇ?!なんでですか!?

俺なんかしました?!」



珍しくあわてふためくガストにハナはかける言葉もない。

正直言えば、ガストが…というかその体や実力がヘイリー様的にストライクゾーンど真ん中でロックオンされているからである。

さすがに、お前の事が好きだからだよ…とか言えない。


余談であるが、ガストの事を根掘り葉掘り聞かれるうちにヘイリーとハナは仲良しになった。

あだ名で呼んでほしい!とヘイリーたっての希望でヘイ様となった。

本人はヘイちゃん位に呼んで欲しかったものの、周囲との兼ね合いでハナは断固として様付けを死守したのだった。

ちなみに、ヘイリーはハーちゃんとハナを呼ぶ。



「あとこれメッセージカードね。」



混乱しているガストに追い討ちをかける直筆メッセージがハナから繰り出された。



メッセージは以下の通りである。


【ガストさんへ

先日は倒れた私を助けていただきありがとうございました。

ハーちゃんから今日出場するとお聞きしましたので、良ければこの前の御礼に我が家秘伝の回復ドリンクをお飲みください。

とてもお強いと聞きました。

試合観戦を楽しみにしております。

ヘイリーより】



「…今回、ハルシフォン家や分家の人間が在学中じゃなくて良かった…」



天を仰いでガストは呟く。

ハルシフォン家の至宝とも言われるヘイリーは溺愛されている。

そんなお嬢様に気にかけられ、なおかつ差し入れに直筆メッセージをいただいたとなれば下手すると血の雨が降るだろう。



「ヘイ様すごく楽しみにしてますよ、頑張れガスト!」



「お嬢…プレッシャーかけないでくださいよ…」



「私も楽しみだよ、ガスト。

思いきっていっちゃいなさいな。

最終学年なんだし、ね。

それにヘイ様のお父様や将軍も観戦するんだって。

どっちにしろ目をつけられるなら、悪い虫扱いだけじゃなく、見込みあるやつって思われた方がいいよ。

遠慮なんていらないですよ、思う存分暴れたらいいよ。」



深くため息をついてしゃがみこむガストの頭をワシャワシャと撫でてハナは笑う。



「お嬢…」



「うちの子が最強だと知らしめるんですよ!」



その笑顔は、孤児というだけで、道は細く狭く暗いと思っていたガスト達を救ってくれた時と同じで。

自分より年下なのにやけに老成したお嬢は、なんというか彼らにとっては母親のような存在でもあった。

面と向かっては恥ずかしくて言えはしないが…それでも、ハナがそう言うなら思う存分暴れられる気がしてきた。



「こうなりゃ優勝目指しちゃいましょうかね!!」



「その意気や良し!!いってらっしゃい!!」



笑顔のハナに見送られ、ガストもニヤリと笑みを返し、そうして試合会場へと向かっていった。





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