触らぬ神に祟りなし。
生きてます。
更新できなかった…
生徒会室が修羅場になりかけている頃、リロイの愛しの姉君ことアリサとその夫は懐かしい顔と出会った。
「あら?
お久しぶりです。」
「やぁ、後輩諸君。満喫してるねぇ。」
二人の視線の先には銀髪の中性的美人な宰相ボリス・メルビーと、赤髪の美丈夫な将軍バルド・グルモワールがいた。
休憩スペースに座る二人の間にはキャラメルがたっぷりかかった焼菓子やらドーナツやら沢山の菓子がところせましと置かれ、両手にはクレープまで握られている。
美形が大量の甘い菓子を消費する姿はかなり目立ったが、みんな見ないフリをしているようであった。
ボリスもバルドも甘いものは大好物だったりする。
それは学園に通っていた頃から有名でもあった。
「そんなに食べて、胃もたれしませんの?
バルド様はともかくとして、ボリス様は太りますわよ?」
気持ちの良い食べっぷりだが、量が多すぎるというか尋常でない。
常日頃体を動かし、部下を無自覚に扱き自分の実力を高めることに妥協しないバルドはともかくとして、
デスクワークが基本のボリスが甘いものを食べ過ぎるのは良くないのでは…と、心配になったアリサはそう声を掛けたのだが、
「私は頭を使うので糖分とらないと逆に倒れます。
それに食べても太らない体質なので。」
と、にべもなくボリスに返された。
「ああ、そうでしたわね。
余計な気遣いでしたわね、ホホホ。」
青筋をたてながら無理矢理アリサが笑うのを見て、珍しく気を使ってバルドは言った。
「こいつが首閉めたくなるような体質なのはさておき、最近徹夜続きで甘いもの補給できずぶっ倒れたから許してやってくれ。
帰ったら外交問題に胃を痛める予定だから今のうちに食べさせておこうと思ってる。
という建前で食べまくっている。
うまいぞ、これ。」
「ははっ、建前なのかいバルド殿!
しかしボリス殿がそこまで疲弊するなんてねぇ!
ところでそんなに酷いのかい?
我が国の対外事情は…」
「シズ先輩に殿つけられるとか、気色悪ぃや。」
朗らかに笑って尋ねるアリサの夫ことシズの目は全く笑っていない。
「学園に通っていた頃ならいざ知らず…我々は一応庶民だからねぇ。
貴族の、ましてや嫡男様を昔のようには呼べないよ。
で?どうなんだい。」
笑顔で圧をかけるのが相変わらずうまいなぁ…とのんきに思うバルドに代わって、クレープを食べ終えたボリスが答えた。
「ウォルクラウン家の令嬢が生徒会室に殴り込みに来たとの知らせがあり、聞いた妹達二人がたまたま居合わせたウォルクラウン家の仮当主を引きずって向かいました。
血の雨が降るでしょう。なんちゃって。」
真顔で冗談風を装うか、装えてない。
ちなみに…
シンシアが襲撃しに来た時点で、できる男執事ゼベットはこっそり同席してた役員の一人にリロイ父を引っ張ってくるよう頼んでいたのである。
しかし間の悪い事に、挨拶という名の嫌味に近い応酬をリロイの両親としていたセレーナとラクーアに聞かれてしまったという訳だ。
内心キレた状態で遠ざかる妹達を追う事もなく、二人は周囲の菓子を買い漁り、実食を始めた次第である。
「あら、まぁ…
二人に会いたかったのにすれ違ってしまいましたのね。
全く…あの二人を怒らせなければ良いのだけと…あの子じゃ無理でしょうねぇ…」
「ああ、あのクソガ…いや、世間知らずの妹殿はやらかすよ。
ははっ、仮に戦になるならその前に別国に避難しようか、アリサ!」
「止めてくれないんですか?」
「止めてくれよ、二人とも。」
逃げる気満々の夫婦二人にバルドとボリスが軽く懇願するが、良い笑顔のまま首を振り否定するアリサ夫婦であった。
触らぬ神に祟り無しである。




