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17、姉なんてロクなもんじゃない

 町を歩く俺と井宮。

 なんだかいつもよりも視線を感じるが気のせいだろうか?

 まぁ今日は井宮が一緒だしな……みんな井宮を見ているのだろう。

 そして俺の事をきっと「なんだあの不細工、全然釣り合ってねぇな、そこ代われよ」とか思ってんだろうな……はぁ……。


「はぁ……」


「何ため息なんて吐いてるのよ」


「いや、やっぱり見た目が良いって特なんだと思って」


「えっと……それは自慢なの? それとも自虐なの?」


 休日という事もあってか、町には人が多かった。

 買い物をしている家族連れも居れば、カップルでデートをしている人も居る。

 休日をほとんど家で過ごす俺にとって、休日の外出は久しぶりだったりする。


「あのさ、あんたに一個聞きたいことがあるんだけどさ」


「なんだ?」


「なんであんた自分の事を不細工って言うの? なんか事あるごとに言ってるわよね?」


「まぁ……事実だからな」


「いや、あんただって鏡くらい見るでしょ? それとも美的感覚がズレてるの?」


「そんな事は無いと思うぞ、ちゃんとお前を可愛いと思うしな」


「そ、そう言う事は言わなくて良いから……」


 ん?

 なんでだ?

 学校中の皆が可愛いと思っている井宮を俺も普通に可愛いと思うし、別に美的感覚がズレては居ないと思うが……。


「まぁ、中学の頃に言われたからな……」


「なんて?」


「女子から不細工って」


「いや、その話は前に聞いたわよ。とりあえずあんたが悪いわ」


「なんでだよ」


 俺たちはそんな話をしながらゲームショップに向かった。

 歩いて数分ほどで目的のゲームショップに着くと、井宮は水を得た魚のように目をキラキラさせゲーム機の並ぶショーケースの前に張り付いた。


「はぁ~やっぱり新しいハードを買うってテンション上がるわ~」


「わかる、その気持ちはわかるぞ! しかもバージョンアップしたPro版の購入ともなればテンションが上がって当たり前だ!」


 今回井宮が買うのは、Pro版と言って性能が通常モデルよりも数段アップした物だ。

 井宮は既に通常版を持っていたが、最近内部の記憶容量の問題からPro版の購入を検討していたらしく、今回思い切って購入に踏み切ったらしい。


「色はどれがいいかしら? スキンシールも欲しいわね」


「無難に白なんてどうだ? この木目スキンなんて渋くて良いじゃないか」


「えぇ~私は可愛い奴が良いなぁ~あの大人気の森のゲームのとか」


「あぁ、あれ人気だよな。特に女子とかに」


 下らない話をしながら俺たちは買い物を楽しむ。

 

「うーむ」


「それで、何のソフトにするの?」


「FPSも良いが、RPGも良いな……あ、ギャルゲーでも良いか」


「あんた、女子の前で良くギャルゲー選べるわね」


「エロゲーでないだけ良いだろ?」


「そもそも高校生はエロゲー買えないでしょ! もう、一応私女なんだけど? わかってる?」


「む、このエロゲー良いな、ネットで買おう」


「人の話を聞け!」


「あでっ!」


 エロゲーを見ていると俺は井宮にそう言われて小突かれてしまった。

 まったく暴力的な奴だ。

 もっと穏便に出来ないのか。

 結局俺は無難にアクションRPGのゲームを選び、井宮と一緒に購入した。

 

「はぁ~家に帰って開けるのが楽しみ~」


「俺も早くプレイしたいぜ、それじゃあ俺はこの辺で……」


「あ、ご飯くらい一緒に食べて行かない? まぁいつものファミレスだけど」


「え? 良いのか? 早く帰って開けたいだろ?」


「どうせご飯は食べなきゃいけないし、それに少し聞きたいこともあるから、良いでしょ?」


「まぁ……別に良いけど……」


 正直早く帰ってこのゲームをやりたいがまぁ良いだろう。

 井宮と居るのは気兼ねしなくて楽で良いし。

 俺たちはいつものファミレスに入り、それぞれメニューを選び注文をした。


「ねぇ、あんたお姉さん居るって言ってたけど、どんな人?」


「え? 姉貴? あぁ、今は高三で女子高に通ってるんだ。紅葉恋って高校」


「へぇ~そうなんだ、お姉さんってセンス良いのねあんたの服とか見てるとそう思うわ」


「まぁ姉貴はモデルだしな……」


「そうなんだ……ってモデル!?」


「あぁ、俺と違って顔が良いからな。事務所に入って学業に支障が出ない程度にモデルしてる」


「え、ちょっと待って! 名前は!?」


前橋知与まえはし ちよだけど?」


「ち、知与さん!? こ、この人!?」


 そう言いながら井宮はスマホで俺に画像を見せて来る。


「あぁ、そうだよ」


「ま、マジで……アンタのお姉さんって知与さんだったの……」


「なんだ? 姉貴ってそんなに有名なのか?」


「有名なんてもんじゃないわよ! 女子高生の間では憧れの人よ! スタイルも良くて綺麗で! しかも頭も良いっていう完璧な人よ!」


「完璧……ねぇ……」


 俺の知っている姉の姿と少し違うな……。

 まぁあんな姿を他人に見せるわけがないけど。

 

「うーん……」


「な、なんだよ」


 井宮はそう言いながら俺の顔をジーっと見てきた。


「確かに面影があるわね」


「まぁ、姉弟だからな、姉貴は母さん似だし」


「じゃ、じゃぁお母さんも美人なの?」


「いや、ただのババァだと思う」


 姉貴の話になってからかなり食いついて来るな井宮の奴……まぁこいつも化粧とか服装とかいろいろ気にしてるみたいだし、姉貴の乗ってる雑誌とかも知ってたから、興味があるんだろうな。


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