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mission:10.小屋

森林地帯へと入って行ったδチーム本隊。

彼らを待ち受けていたのは、巨大な木と鳥達の鳴き声だった。

しかし獣や動物の声は聞こえず、ただ静かだった。

チームは沈黙に包まれながら、一歩一歩慎重に進んでいく。

時に後ろを警戒しながら。

以前のような事が無いように警戒を崩してはいけなかった。

いや、崩せなかった。

さっきみたいに少しでも油断を見せるといつ襲われるか分からない。

六人は慎重に、かつ素早く移動している。

そろそろ奥へとたどり着く頃だった。

銃を持つ手が痛い―。

アルヴォンの思考はそう思っていた。

長時間の銃の構えと緊張と警戒で苛立ちも増してきた。

さすがにそれは敵の思う壺だと思い、少しでも苛立ちをほぐすため、口を出した。

「さっきから何も出ないな…」

他の五人も疲れたらしく、返答してきた。

まずはデビットが、「もっともだ」と返す。

続いてジョージが「疲れたぞ…」とこぼす。

次にフォッズが「これだむけ静かだと逆に不気味だ」

と言う。

ジョセフは「そろそろ出てきてもいい頃なんですが…」

と皆と同じく疑問を抱く。

ルーズは何も言わず沈黙している。

よほど疲れているのだろう。

「小屋か何かを探そう。森林地帯なら狩人の小屋一軒くらいは見つかるだろう」

アルヴォンがそう言うと、皆が頷き、歩き出した。

だが、大体歩いたところでは、小屋など全く見つからなかった。

「ちきしょう、休む暇もねぇのか!?」

ジョージが叫ぶと、森林の木々がざわめき、鳥が羽ばたいていった。

「落ち着け、ジョージ。狩人は森林地帯には居る。つまり、この森林にも小屋はあるって事だ」

アルヴォンがそういってジョージを落ち着かせた。

その時、デビットは目を凝らして見ていた視界にある物を見つけた。

「ようよう、噂をすれば、だぜ」

その目線の先にあったのは紛れも無く小屋だった。

「助かったぜ!!これで休める…」

さっきまでイライラしていたジョージがまるで子供のようにはしゃぐ。

それも無理はなかった。

化け物どもと日中戦っていたら体力の限界が来てしまう。

そのため、休息も必要なのだ。

六人はその小屋へと向かい、走っていった。

「…危険は無さそうだな」

フォッズが言ってドアを開ける。

小屋の中は腐臭が漂っていた。

「うっわ、何だよ、この臭い」

ジョージが鼻を押さえた。

つられて皆も押さえた。

「……!人だ!人が死んでる…」

ルーズが叫ぶ。

それまで全く気づかなかったのだろう。

ルーズが驚き、飛び跳ねた。

「ひえっ…」

ジョージが驚きを見せた。

「くっ…」

足元に丁度あったのだった。

暗がりでよく見えなかったのだろう。

考えると外は霧だらけだ。

これでは窓も無い小屋では暗いに決まっている。

「びっくりした…」

ジョージは案の定、それを踏んでしまっていた。

厄日にならないように手を合わせて呟いた。

「アーメン…」

死体が足元に転がっているなんて考えれないだろう。

「狩人だろうな…気の毒に」

皆がその死体を奥へと移動させ、それぞれの休息場所をとった。

アルヴォンはイスに座って何かを考えている。

デビットは武器の調整をしている。

ルーズはその辺の物を物色している。

ジョージは興味津々に小屋の中を歩き回った。

フォッズは座ったままだ。

ジョセフはため息をついて考え込んでいる。

その時だった。

外でかすかに音がした。

「……!」

それにいち早く気づいたのはフォッズだった。

「誰か来る」

素早くそういったフォッズは武器を構えた。

足音は次第に大きくなり、早くなった。

汗が額を伝って頬に流れる。

足音は大きくなってきた。

しかし、それに連れて遅くなっていった。

「何だ…?人間なのか…ディモールか?」

足音は遂に小屋の前に来た。

その時、咆哮が聞こえた。

かなり甲高い雄叫びのせいで、六人全員耳が聞こえなくなった。

「ディモールだ!!みん…な…」

アルヴォンの声が次第に掠れていった。

いや違う。

全員の耳が聞こえなくなったのだ。

「……!!……!?」

必死に口を動かして何かを伝えようとするデビット。

咆哮はかなりでかく、甲高いので、響きが聞こえる。

「ち…しょう……なん…声…だ」

ジョージの声が聞こえてきた。

そこで咆哮は途絶えた。

と同時にでかい手が小屋を裂いた。

「な……だ!」

アルヴォンの声が聞こえた。

手は血管がぐちゃぐちゃに出ていて、見るもおぞましい光景だった。

血管が生き物のように周りくねっている。

「なんな…だ…コイツ…!」

小屋が崩壊しかかった。

それを感じたアルヴォンが指で出口を指した。

皆はそれを理解して、走った。

小屋は危機一髪で崩壊した。

手の主はそこに居た。

ギョロッとした目玉が顔に三つ胸に一つ。

その目玉全ての端から触手が出ている。

そいつは六人の方を向いた。

その後ろには大量のオルビスの影が見えた―。

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