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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 弩級戦艦 2号 強奪編 ~

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第35話 作戦明かしていい?

赤毛猫海賊団には噂大好き大臣が5人もいる。

彼女達は井戸端や店先、酒場、バーゲンセール会場、貴族御用達の商店、あらゆるところでミネに頼まれた噂を面白おかしく広めた。


1か月もしない内にその効果は抜群であり、赤毛猫海賊団のコルベットを見ただけで、伯爵の艦隊が貴重な戦力を奪われることを恐れて逃げ出すという面白い現象が起きるようになった。


また宝の噂に惹かれた海賊団から命を狙われる回数も増えた。もちろんそいつらを返り討ちにして、新メンバーの練度向上や、戦利品によるコルベット隊の戦力増強に充てることが出来た。


もはやこの辺りの星系では赤毛猫海賊団のことを知らないものが居なくなった。


「ちょ~!!!ちょっと!!!これ見て!!これ!!!」


カタリナが昼間から大騒ぎでアジトを駆けまわってる。


「どうしたの?おねーちゃん。」


ミネと一緒にお茶を飲んでいたサクラモカが、義理で反応してあげる。


「これ!!これよこれ!!今日街で見かけたから破って持ってきた!!」


赤毛猫海賊団の手配書のようだ。


挿絵(By みてみん)


面白がってサクラモカが感想を述べる。


「うへー、全然似てないね。私もっと可愛いのに。

 ミネってば、私の情報と混ざってるんじゃない?

 おねーちゃんくらいか、そっくりなの。」


「ま  て  !!」


カタリナは自分の似顔絵を指で激しく突いて、涙ながらに熱弁した。


「どこが似てるんだよ!!!次のターゲットを決めました!!

 この手配書描いた奴ですぅ!!死刑です、死刑!

 似てないのは仕方ないとして、なんで私がこんなブスに!?

 なんかお前らだけちょっと可愛いのがムカつくし!」


「おねーちゃん、泣いてる?!」


挿絵(By みてみん)


「うっさい!悪いか、このぉ!」


やれやれ……と言いたげな顔をしたミネだったが落ち着いてサクラモカに語り掛けた。


「そろそろ頃合いですね。

 私達は実際、そこまで目立つ活躍をしていない海賊でありながら、こんなに手配書が出回るのは、影響力も注目も実力以上に認められた証拠です。」


「あぁ、ミネ?!私達が本当はよわっちぃみたいな言い方だな!!」


「では、サクラモカ様……。」


「おい、ミネ!人を無視するのはいじめっ子がすることだぞ!

 こら!私はお前をそんな性悪に育てた覚えはないっ!」


「私はカタリナ様に育てられた覚えはありません……っというかウザイですね。

 おっと失礼。お鬱陶しゅうございます。」


「もういい。そのギャグ!」


冷静にサクラモカがこの場を収めた。


「で、ミネ、何? おねーちゃんは黙ってて。」


「はい、頃合いです。作戦を皆様に披露します。幹部を大広間に集合させてください。」


カタリナもサクラモカも一度目を見開いたあと、力強く頷いた。


・・・

・・


大広間に幹部たちが集まる。かつてコタが弩級戦艦強奪に向けて反物質ミサイルの作戦会議を開いた時のことを思い出す。


コタ不在の中で、コルベット艦隊で、もう一隻弩級戦艦を盗み出すという、2回目の奇跡を起こす必要がある。誰もがその可能性に疑問を持っていた。


ミネがゆっくりと説明を開始した。


「私達の次のターゲットはヴァルモン・デ・グレイ侯爵の私設艦隊、ディラマです。

 ディラマはド・ラ・ヴァル侯爵の私設艦隊イリブラとほぼ同等規模の艦隊戦力を保持しています。

 つまり60隻近くからなる非常にバランスの取れた準主力艦隊級の戦力です。

 前回は重力井戸投射機グラヴィ・スパイクで弩級戦艦を除く60隻を全て座礁させました。

 だからこそ弩級戦艦を強奪できたとも言えます。」


団員達は重力井戸投射機グラヴィ・スパイクに代わる超秘密兵器が飛び出すのではないかと固唾を飲んで見守った。


「ですが、今回はあんなアーティファクトは用意していません。」


その一言を聞いて幹部団員全員が落胆と不安をあからさまに示した。


「では、どうするか?もっとシンプルな方法で行きます。

 今回、私達はコルベット艦隊を引き連れていきません。

 弩級戦艦『ポンコツ見かけ倒しネコパンチ号』単騎で決戦に挑みます。」


サクラモカが思わず叫んだ。


「無茶だ!あの弩級戦艦は”おねーちゃんのせいで”、コルベット並みに弱い!!」


”おねーちゃんのせい”を強調したせいでカタリナは縮こまっている。


「はい、その通り、”カタリナ様のせいで”、本当にポンコツです!」


さらにカタリナが小さくなった。


「ですが、心配は要りません。

 私達は『ポンコツ見かけ倒しネコパンチ号』で艦隊戦をやる気はありませんから!

 艦隊同士が射程に入るギリギリで敵に宣戦布告します。

 その際、カタリナ様は重力井戸投射機グラヴィ・スパイクの使用を大声で命じてください。」


「え?あ、うん。でも、もう持ってないじゃん。」


「はったりです。カタリナ様の最も得意とするところでしょう?」


「ま……まぁ、得意ではあるけど最もじゃないよ、私の最も得意とするのは有言実行!」


ミネはスンっと無視して次に続けた。

カタリナは目を点にして反論しかけるがさすがに空気を読んだ。


「カタリナ様がグラヴィ・スパイクと叫んだ場合どうなると思いますか?」


サクラモカが代表して答えた。


「あれだけグラヴィ・スパイクの威力と使い方を噂として流したんだから最大限に警戒するでしょうね。

 例えば各艦を数10km離れるくらい散開するとか。」


「はい、その通りです。おそらく散開します。

 彼らが慌てて散開している最中に今度はカタリナ様がAI干渉弾オルゴール・コードの使用を命令してください。

 そうするとどうなると思いますか?」


またもサクラモカが答えた。


「またオルゴール・コードで人工知能がスタンされるぐらいなら、おそらく事前に自動モードを解除して手動モードに切り替えると思う。その方が混乱が少ない。」


「はい、まさにその通りだと思います。

 旗艦を遮るものがなくなり、敵が人工知能によって反抗できない状況を作った上で、『ポンコツ見かけ倒しネコパンチ号』は最大船速で突進、敵弩級戦艦に隣接して強制接続、ハッチをこじ開けます。

 そして全員で突入するのです。白兵戦です!」


カタリナが目を輝かせた。


そこへ思わず、ブリガンド号船長 戦術大臣 リヴィアが思わず口をはさんだ。


「副団長、大変失礼ですが、それは無茶かと。

 前回はグラヴィ・スパイクで回りは完全に座礁していました。

 ですが、今回は健在のまま数十km散開しただけです。

 すぐに戻ってきて取り囲まれます。

 仮に強奪に成功したとしても逃げ切ることは・・・・。」


皆、そう思っていたみたいで、頷く者が多数現れた。

カタリナは、それよりも早く奪っちまえばいいじゃん!と底抜けにお気楽なことを叫んでいたが誰一人相手にしてあげなかった…………そして拗ねた。


ミネは想定通りの反応と言わんばかりに、この作戦の肝を語り始めた。


「その心配はごもっともです。なので、ここからが本番です。

 この方法を行わない限り、私達はすぐに包囲されて終わりです。

 それを打開する方法とは………。」


ミネはこの作戦の秘策部分を語り切った。

誰もが目を見開いて言葉を発することが出来なかった。


サクラモカがようやく反応する。


「ミネ………。よく思いついたわね、そんな作戦………。

 いけるかもしれない……。いや行ける!」


カタリナは猛反発している。


「そんな作戦やだやだやだやだ!」


そして無視………拗ねる。


ストラタジェム号船長 戦略立案大臣 クラリスやプルーデント号船長 情報分析大臣 ナナもサクラモカと同じような顔つきで熱く語った。


「それは……」 紙面の都合で早送り

「まさに……」 紙面の都合で早送り


「ああぁぁぁぁぁぁ・・・・数少ない出番なのに早送りすんな!!!」


二人とカタリナが拗ねているのを無視して、ミネが満足そうにサクラモカに問いかける。


「モカ様、いかがでしょうか?」


「えぇ!その作戦で行く!セレス、ナナ!!

 ディラマの情報を探って!チャンスは1回きりよ!」


「はいっ!!任せてください!!」


二人は目を輝かせて返事した。


「みんな、ミネの作戦が私達にとっての最後のチャンスよ、みんなお願い、私達に力を貸して!」


「はいっ!」


何十人という団員が一斉に返事した。

サクラモカが満足そうにうなずいた。


「じゃあ、みんな…よろ…いや、おねーちゃん、ごめん。最後はおねーちゃんが!」


いじけていたカタリナが立ち上がる。


「これで弩級戦艦が手に入る?」


「えぇ!必ず!」


「よし、みんな、気合入れろ!!赤毛猫海賊団に不可能はなーいっっっ!!!!」


「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


大広間が熱気に満ちる中、ミネはゆっくりと目を閉じた。


「お父さん、見ていてください。私のサプライズ、必ず全宇宙の度肝を抜きます!」


挿絵(By みてみん)

…ここまでお読みいただき、ありがとうございます。副団長のサクラモカです。


今回は、久しぶりにみんなが集まって、作戦会議を開きました。

ミネの口から「弩級戦艦をもう一度奪う」と聞いたとき、正直、私は信じられませんでした。前回は、コタの遺産である「グラヴィ・スパイク」があったからこそ成功したようなもの。それがなければ、ただの無謀な挑戦でしかありません。

ましてや、”おねーちゃんのせいで”ポンコツになった、あの船でなんて…。


でも、違いました。

ミネは、そのポンコツを最大限に利用する、とんでもない作戦を練り上げていたんです。

あのとき、大広間にいたみんなの表情が忘れられません。誰もが言葉を失い、ミネの天才的な発想に息をのんでいました。

私も最初は、そんなバカな、と思いましたが、彼女の言葉が続くにつれて、その作戦が絵空事ではなく、本当に成功するかもしれないと確信に変わっていったんです。


コタが「運命すら操る虚構の物語を紡ぐ」と言っていたけど、まさか、ミネがそれを実践するなんて。

…私も、まだまだ未熟ですね。

彼女の才能を信じてよかったと、心から思っています。


ちなみにこの作戦のもっとも大事な点は***です。あ、紙面の関係上で早送りになってしまいました。


次の戦いは、私たちの全てを賭けた、最後のチャンスです。

必ず、成功させてみせます。


…このあとがきを読んで、少しでも私たちのことを応援したいと思ってくださったなら、ぜひ感想をお願いします!

ミネの作戦の真髄、推理できましたか?もしよろしければ感想等で教えてください。


では、また次話でお会いしましょう。

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