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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 弩級戦艦 強奪編 ~

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第29話 弩級戦艦 魔改造していい?

キュイラス号は海洋惑星クラーニャに、レティシアを解放するため一旦立ち寄った。

陸地に近い海上で停止してハッチを開いた。

カタリナにロープを引っ張られてハッチの際まで連れてこられたレティ。


「レティ、あんた泳げる?」


「ふん!当たり前だ。」


「1500mくらい平気?」


「余裕だ!!」


虚勢をはりつつ、回答するレティだったが、その目は不安で怯えていた。


「で……何よ?何する気?酷い事しないよね??」


カタリナはいつも通りのニコニコ顔で続ける。


「海賊映画でよくあるじゃん。

 人質を棒に立たせておいて海に蹴り落とす奴。

 あれ一回やりたかったんだよな!」


カタリナがいたずらそうに笑う。


「まっまっまて。本気??」


「本気!! 見える?

 あそこに陸があるからあっちまで泳げば大丈夫だよ。

 そのロープは水に溶けるらしいから。

 落ちたらすぐにあっちに泳ぎな。そうしたら助かるよ。

 あっそうだ。

 そういえば、この辺りの海は人食いざめの巣窟だからな。

 本気で泳がないとマジで死ぬよ。」


レティを蹴落とそうとするカタリナ。


「えぇええええええええええ?!!!!!! 

 おい!待て!ひとでなしー!!やめれーー!!」


どん!


どぼん!


海面に落下してもがくうちに本当にロープが解けた。

すぐに態勢を立て直して、陸地に向けて泳ぎだすレティ、死に物狂いで一心不乱に。


そして足がつくところにきて、そのまま、ざぱぁっと顔を上げて勢いよく立ちあがった。


「………。」


周りには海水浴客がひしめいていた。そして彼らはびっくりして、突然現れたレティを見つめた。

まるで怪物でも現れたかのような顔つきだった。


ずぶ濡れで、乱れまくった髪に、キャミソールもずれて、顔を覆うように絡まる海藻と絶壁ぽっつん、周りも何事か理解できていないようだった。


「へ………?きゃああ!!!」


慌ててしゃがみこんで体を隠すレティ。


「うそつきー!!

 どこが人食いざめの巣窟だよ!リゾート地じゃねーか!!!」


レティは慌ててタオルを持ってきたライフセーバーに助けられて、タオルにくるまれた状態で事務所まで、顔を真っ赤にして泣きながら歩いて行った。


「カタリナァァァァァァァ!!!

 絶対に地獄の底まで追いかけて捕まえてやるからなぁ!!!

 この私の手で縛り首にしてやる!!

 覚悟しろぉぉぉぉぉ!!!」


・・・

・・


「ぎゃははははは!!!レティ、どんな顔したかな?」


カタリナが大笑いしている。

サクラモカが、少し呆れたように言った。


「意地悪しすぎだよ、お姉ちゃん。執拗に狙われちゃうよ?」


「いい、いい。あいつだったら狙われてもいい。

 あいつ面白いじゃん!」


やれやれと言った顔をした二人。

まさか、これから本当に執拗に狙われることになろうとは3人は思いもしなかった。



そのままキュイラス号は航空基地に立ち寄って、クラーニャの大気圏を離脱、星系要塞に向かった。


3人は無事アジトに帰還した。皆が大興奮で出迎えた。

それに応える3人。

ようやく赤毛猫海賊団の皆に勝利の実感がわいた。


その夜は大きな宴が開かれた。

カタリナやサクラモカはその中心で大騒ぎしている。


だが、ミネは参加していない。

ミネは日頃からこういう宴には参加していなかったため、特に誰も気には留めなかった。

そのミネはコタの部屋にいた。コタの部屋には変わった宝箱型の金庫がある。


これは面白グッズであり、複数の物が格納可能で、開けるパスコードによって中身が切り替わる。

パスコードは複数登録可能で中身ごとにパスコードを設定しておけば、オンラインでその中の一つだけ有効にすることができる。

つまりコタは任意のタイミングで任意のお宝を宝箱に設置できるわけだ。

場合によっては遠隔で中身を切り替えることもできる。


子供の頃、冒険ごっこを3人でよくやった。コタが仕掛けた謎を解き、パスコードを使って開くと、毎回違う宝を手に入れることが出来た。


ミネは黙ってパスコードを入力していく。

何度も間違えて、最後のパスコードを入力した。


宝箱が開いて、記憶型ホログラフ装置が格納されていた。

ミネはそれを握ると思い切り壁に叩きつけ、煙を吐いて使えなくなる。


ミネは大粒の涙を流して泣いていた。まるで子供のように。

宴の喧騒がなければ誰かに気づかれたかもしれない。

そのパスコードはコタが冗談で言っていた遺言コードだった。


『ミネ、ありえないことだが、私が任務中に死ぬようなことがあればこのコードを試しなさい。

 素敵な遺言をきかせてあげるよ。』


今まで一度たりともそのコードが有効になったことはなかった。

コタの笑顔がミネの脳裏で色あせていった。


「お父さん………」


一方、その頃、宴は盛り上がりを見せていた。


そして次の日、二日酔いの団員が多い中、ミネが大きな荷物をもってカタリナとサクラモカの元へ現れた。


「カタリナ様、モカ様、少しだけ私も地下に潜ります。

 お父さんが不在の間、調達が滞るのは問題です。

 私が直接、闇の住民たちとコンタクトを取って、りあってきます。」


「……。最後、変なこと言わなかった?」


「いえ、私がお父さんの正統な代理であることを伝えてくると申しました。」


その後、真剣な顔のミネが少しだけ表情を緩めた。


「私はお父さんと違って、1か月ほどで”必ず”戻りますから、それまで掃除を怠らず、Gを湧かせないようにしてくださいね。」


「なんか急だなあ…。」


二人はミネの行動に少しは違和感を感じつつも、ミネも根が変人なため、そこまで深追いするのはやめた。


ミネが去った後、今度はサクラモカは、引っ越しに向けて動き始める。

彼女は大きくなった組織をコタ抜きで最適化する責務があった。


取り残されたカタリナはやることがなく、ふと思いついた。


「あっそうだ!弩級戦艦を私の好みに改造しなきゃ!!」

挿絵(By みてみん)

はーい!カタリナです!第29話、読んでくれてありがとね!


ねぇねぇ、どうだった?レティとの別れ方、私って天才じゃない?

「人食いザメの巣窟」なんて言っちゃって、まさかあそこがリゾート地だったなんて!

あの子の真顔、想像しただけで笑えるわ!

ぎゃははは!いやー、ホント、あれは芸術だったわね。

もちろん、ちゃんと陸地まで泳げるか計算済みだから、誰も悪くない!…よね?

きっと、あの子も私に遊んでもらえて喜んでるはずよ!


アジトに帰って、みんなで大騒ぎ!

いやー、やっぱ、勝利の美酒は格別ね!

でも、ミネがなんか変だったなぁ。いつもは宴会に参加しないから別にいいんだけど、何か言いたげな顔してたなぁ。

まあ、あの子も変人だから、きっと大丈夫!

ミネがいない間、モカが指揮を執ってくれるみたいだし、私もやることがないから、ちょうどいいわ!


…だって、そうでしょう?

せっかくド級戦艦を奪ったんだから、私の好みに変身させなきゃ!

私ってば、本当に気が利くわね。

あの弩級戦艦、ダサかったもん!

モカは「無駄なことするな!」とか言いそうだけど、いーの!

誰もが振り返るような、美しくて強そうな、この世で一番カッコいい艦にしてみせるわ!


さあ、私の新しい芸術の始まりよ!


【天才団長カタリナより、緊急の協力依頼!】

私の天才的な魔改造計画を、みんなで一緒に盛り上げてよね!

ブックマークや評価、感想、どんどん送ってよね!


応援がいっぱい来たら、臨時で魔改造の様子を公開しちゃうかもよ! 最高のデザインアイデアは、私が採用してあげる!


それとね、 裏で頑張っているモカやミネ にも応援を届けてあげて! 団長がワガママ言えるのも、二人のおかげなんだから!


では、また次回!

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