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89:ボブの故郷オアシス ~ボブ・イザ~

*** *** ボブ目線 *** ***



オアシスが見えて来た・・・んだけど、あれ?

なんかすごく大きくなってないかな?

あ、あそこに居るのはバジかな?


「おーい! バジ?」


名前を呼んでみると、うわあ ものすごい勢いでこっちに走って来るよ!

待って待って、その勢いだとぶつかるんじゃないのかな?


「バジ?! 待って!スピード落として!危ないよ!」


ズザザザザザザザッ ドンッ 


ゲフッ


「バジ・・・痛いよ?」


僕の訴えは聞こえてないのか、お腹にスリスリ顔を埋めてくる。

うん、別れてから凄く大きくなったね。力も強くなってるよね。

そろそろ落ち着いて欲しいかな、お腹が痛いよ?


ダダダダダダッ ポーンッ ドスッ


「ぐぅげぇ・・・」


これは・・・サラかな?なんで上から落ちてくるかなあ。重いよ?

取り合えず、退いて欲しいかなあ、重いよ・・・


「ボブ 生きてるか?・・・」

いひてふお(いきてるよ)・・・」

「ほら、バジもサラも退いてやれ・・・

 嬉しいのは判るが、ボブがつぶれてるぞ・・・」


あ、この声は棟梁さんかな?

モソモソッ

ふう・・・

バジもサラも元気そうで良かった! 元気すぎるけど!


「あ、棟梁さん。ただいま!」

「ああ、ボブ。良く戻ったな」

「えへへ。皆を紹介するね!」


オアシスの中央へ行くと大きな広場が出来ていた。

凄いな、これもう立派な集落みたいになってるよ!

人も凄く増えてるなあ。

あ、あそこから走って来るのはガブかな?

隊長さんも一緒だ!


「やあボブ、無事で何よりだ。

 話は聞いているよ、大変だったみたいだな。」

「え?・・・」

「アリアンと言ったかな。レイスの女性だった」

「「「 !!! 」」」


アリアンが居るの?!


「今は居ないよ。

 3ヵ月ほど前だったかな。

 ガルドで異変が起きた事。

 君達が此処へ向かっている事。

 そして君達を宜しく頼むと言い残して消えていったよ」


そっか・・・

居ないんだ・・・

3ヵ月前・・・僕達がポス草原へ入ったあの頃だよね・・・


「他には何か言ってなかった?・・・」

「時がくれば水晶が応えてくれる。

 とも言っていたよ」


水晶?・・・

ああ、確かイザが渡されたって持っていたっけ。

色々試してみたけど、なんの反応も無かったんだよね。


「イザ、何か反応ある?」


イザは水晶を手の平に転がして見ていたけど、反応は無さそうだった。

なんだろう? なにか反応するのにオアシス以外の条件でもあるのかなあ。


「まずは君達の家へ案内しよう」


そうだよね。

ずっとここに居てもね。って家があるの?


「ハハハ、さすがに全員分とはいかないがある程度の家は用意してある。

 足りない分はこれから作る。完成するまでは簡易宿泊所で我慢してくれ」


用意されていた家は8軒もあった!

まずは集落の人達から住んでもらう事にした。

7世帯かあ、じゃあ残りの1軒はどうしよう。


イザ「ボブ・シカ・ジークでいいんじゃないか?」

ライ「ああ、そうだな。3人以外は独身だしな」(笑)


え?・・・でもそれじゃあなんだか悪いような。


ズラ「シカがすぐ熱出したりするからな。そうしとけ」

シカ「そんな事ないよぉ!最近はたまにしか・・・」


そうだね、シカはすぐ熱だすもんね!

ここは甘えよう。皆の家も協力すればすぐに出来そう出しね!

僕も頑張るし!!

家が出来るまでの間、カズラはお父さん達と一緒に住む事になった。

伯父さんと妹さんは、いい機会だから2人で別の家に住むことになった。

あ、そう言えば結婚式!! 2人の結婚式まだだったよね?

少し落ち着いたら皆でお祝いしなきゃ!


次の日はゆっくりとオアシスの集落を見て回った。

なんていうか、凄かった。

畑とか牧場まであった!木も前より凄く増えてた!

隊長さんがまとめ役をやってくれてるんだって!

うわあ、お店まであるよ!


僕達が来た事で人数も200人近くになったの?!!

うーん、ここまで人が増えたら、変な人達まで来そうだよね・・・

今まではガフやサラやバジが中心になって警備みたいな事もしてたの?!

皆凄いね!!

って、これもぉさ村でもいいんじゃないかな?

あ、そうか。僕達これからどうするかも考えなくちゃ。

今まではオアシスに来るのが目標だったけど、そこから先は決まってなかったもんね。

うん、皆と相談しなきゃだね!


*** *** イザ目線 *** ***



オアシスに到着してから数日が過ぎ

立ち寄ったキャラバンから話を聞いて俺達は驚いた。


ガルドを覆い尽した深淵から人々を救い出し安住の地に導いた者たちが居る。

その者達は救世主と呼ばれ、エルフ・オーガ・ノーム・ヒューマン・獣人の7人組で

アチコチの大陸で討伐をして廻ったから深淵の影響も減りつつあるらしいと。


何故そのような噂になっているのか。

グレンの事が話題になっていないのもおかしいだろ。

俺達はカズラの集落の人々だけを連れて脱出しただけだしな。

ガルドに残り戦ったのはグレンじゃないか。

しかもまだ戦っている最中かもしれないじゃないか。

俺達は救世主と呼ばれるような事を何もしていないんだが・・・


ズラ「あー・・・、イザ。これってどうゆう事だと思う?」

イザ「解らん・・・」

ジー「だよなあ。そもそもガルドの異変は収まったのか?」

シカ「そこも判んないもんねぇ・・・」

ズラ「姐さんたちが現れてないって事はまだ続いてるんだろ・・・」

ボブ「姐さんでもまだ苦戦してるのかなぁ・・・」


皆で話してみてもさっぱり解らない。

そもそも、なんで俺達この世界に呼ばれたんだっけ?

深淵が溢れて増えた浸食シリーズの討伐だったけ?


ボブ「僕達この世界にさ、浸食を止める為に呼ばれたんだったけ?」

ズラ「あー・・・、なんかそんな事言われたような?」

イザ「でも特に討伐って感じではやってないよな?」

シカ「普通に素材集めとか冒険とかでダンジョン言ったくらいよねぇ?」

ライ「俺から見れば、十分討伐だったと思うのだが」

「「「 え? 」」」

ジー「我々とは感覚が違うのかもしれんが・・・」

フィ「この世界の冒険者と呼ばれる人でダンジョンの最深部とか行ける人は

   たぶん居ないわよ?・・・」

「「「 ええ? 」」」

イザ「ライカだって普通にソロでダンジョンクリアもしてただろ?」

ズラ「伯父だってクリアしてたしな」

シカ「フィン姉さんやジーク兄さんもしてたよね?」

ライ「俺の場合はほら、師匠が居たからな?」

フィ「私も師匠のお陰なのよね・・・」

ジー「俺の場合はフィンが師匠のようなものだったし」

イザ「それでもこの世界の冒険者では珍しいんじゃないのか?」

 「「「 確かに・・・ 」」」


考えてみればそうか・・・

浸食シリーズと闘うならそれなりに強さも必要だよな?

ん?・・・

それならそういう環境に居る人の元へ生まれるようにしてあったて事か?

出会いは偶然ではなく、そうなるように仕向けられてた?・・・

いやでもボブはどうだ?

オアシスで孤児として、自力で育ったよな?・・・

んん? 解んねえ・・・


あれ、待てよ?嫌な予感しかしないが・・・


イザ「もしかしてだけどさ・・・

   俺達が潜ったダンジョンとかも普通じゃなかったりする?」

ライ「そう言えば出没するハズないようなのまで居た事もあったな」

ジー「そう言われればそうだな」

フィ「確かに・・・旅の途中で入ったダンジョンも強いのが多かったわよね?」


あー、やっぱり。

なんとなくそうかなとは思ったけど。


シカ「じゃあさじゃあさ。私が穴に落ちたり攫われたりが多いのもさ」

 「「「 それはシカだから!! 」」」

シカ「ぅぐぅ・・・」

イザ「つまりさ・・・

   俺達は普通にダンジョン潜ってたけど

   それが浸食シリーズ討伐になってたって事か?」

ズラ「無意識でやってたって事か?」

ボブ「でもそんなにダンジョンとか行ってないよね?」

ジー「俺達の感覚からすれば多いと思うが?」


なるほど・・・

今思えば、レイド級とかじゃないのかってのも居たしな。


驚きすぎて今後の相談を忘れてしまったな・・・

それにしてもあんな噂が流れるのに

其の後のガルドの様子やグレン達の噂が流れて来ないのは何故だろう。

考えても仕方がないか。


明日こそは皆で今後を話し合おう。



読んで下さりありがとうございます。

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