87:ポス草原横断④ ~ボブ・シカ~
*** *** ボブ目線 *** ***
ムスペル砂漠との境目の川でダイルと再び会ったんだ。
そう、この川は僕がダイルと初めて会ったあの川だ。
「ダイル!!」
「よう、ボブ」
前に会った時はゆっくり話せなかったし
皆にもちゃんと紹介出来なかったから会えてよかったよ!
今度はちゃんと紹介したよ。
「ボブはな、水棲獣人を見て真っ赤になってたのさ」
「だってしかたがないじゃないか!あのお姉さん裸だったんだよ!」
「俺の魔法の火炎に巻き込まれてフフッ 髪の毛がクフッ ちりちりに」
「笑い事じゃないよダイル!大変だったんだから!」
「ボブのクシャミで・・・フハハハハ 頭が・・・クククッ」
「あれはボクもびっくりだっよね。まさかあんなになるなんてさ!」
「ケンタウロスやミノタウロスなんか、目を瞑って戦うとか言い出すし」
「服着てないんだからあわてたんだよ!目のやり場が無かったんだよ」
「勢いよく回って吐いたりもしたな。あれは大変そうだった・・・」
「うん、あれは最終手段でいいかなって思ったよ・・・」
僕とダイルで水中ダンジョンでの出来事を皆に聞かせたんだけど
皆大爆笑でさ。
でも、改めて思うとダイルとは短期間しか一緒に居なかったのに
すごく濃密な時間を過ごしたんじゃないかな?
お陰で良い関係を築けたし。
感謝しなくちゃだね!
「そう言えば・・・聞きたいのだが」
カズラが話を切り出した。
「ダイルはあのガルトとの境目の川で結界だと言ってましたが。
結界とはどういう事なんです?」
うん、僕もそれ気になってたから聞こうと思ってたんだ!
皆も気になってたらしい。
「ああ、知っている範囲での話になるが・・・」
世界の均衡が崩れた時、その原因となる場所を隔離するべく結界が現れる。
その結界は害意のある者を決して通さない。
いずれその原因が消え去り世界の均衡が再び保たれれば結界は消える。
と言う伝承があるのだと教えてくれた。
なるほど?・・・
うーん・・・
ボブ「でも誰が結界を発動させたんだろう?」
ダイ「俺が呼んだ古い記録にはそこまで書かれていなかったな」
ボブ「そっかあ」
イザ「世界の均衡が崩れるってのも気になるな」
ズラ「おそらくガルドを浸食している深淵なる闇が原因なのだろうな」
ダイ「どうやって結界が発動されたのかはわざと細かくは書いてないのかもな」
イザ「なるほど、発動した方法が解れば、解く方法も判る可能性があるって事か」
ジー「発動そのものを妨害する事も可能って事になるしな」
あー・なるほど。
カズラもイザもジークも皆凄いや。
あれ?・・・でも
ボブ「アリアン達はその事を知っていたのかな?
だから早く川を渡れって言ったのかな?」
イザ「知っていた可能性はあると思う」
ジー「オアシスに行けと言うのも何か意味があるのだろうか」
ズラ「単純に離れていて害が及ばないという可能性が高いかな」
ボブ「うーん。僕考えてもわかんないや!」
シカ「私も! 頭から煙出そうだよ」
ライ「まぁ考えても判らないしな・・・」
ズラ「そもそもがだな・・・」
「「「 めんどくせぇー!!! 」」」
イザ「あの状態になってるのはガルドだけか?」
ダイ「そう聞いている」
ズラ「結界で、ガルドからは出られないんだよな?」
フィ「そうみたいね」
ズラ「んじゃ俺達はこのままオアシス目指せばよくね?
姐さんにもそう言われたんだし」
イザ「そうだな」
ジー「俺達にどうこう出来る事でもないしな」
ライ「だよな。俺達が今出来る事だけやろう」
うん、そうだよね。
考えてもわかんないし。
今はあの集落の人達やカズラの家族の生活を守れるようにしなきゃだよね!
シカ「じゃあさ・・・
ご飯にしない?お腹すいちゃった・・・」
・・・
シカはマイペースだよね(笑)
でも確かにお腹は空いた気がするよ。
ぐぅぅーーーー
誰かのお腹がなった。
「すまん、俺の腹だ・・・」
カズラのお腹の音だったよ!クスッ
「僕久々に魚だ食べたい!」
ダイルが任せろと言って川に潜って行った。
ポンッ ポンッ ポイッ
次々と魚が投げられてくる。
あっと言う間に人数分以上の魚が集まってた。
さすがだねダイル。凄いや!
明日は川を入ってムスペルに入る。
ふふっ
アラクネのお姉さんは元気かな。
マミーの皆も元気かな。あ、包帯のお礼いわなきゃ。
包帯があったから鳥のお姉さん達も助かったんだしね。
スフィンクスはまだあそこに居るかな?
オアシスは今どうなっているんだろう。
隊長さんや棟梁さんも元気かな。
バジ一家とサラ一家は・・・なんだか大所帯になってそうだ。
あ、皆に僕も結婚したよ!って報告しなきゃ・・・
ふふっ 楽しみだな。
次の日、僕達はダイルと別れて川を渡りムスペル砂漠に入った。
*** *** シカ目線 *** ***
ムスぺルはほぼ砂漠の大陸で・・・暑かった。
私も暑さには弱いけど、イザっちとライカはもっと弱かったよね。
まぁ毛皮に覆われてるしね・・・
そんな二人の様子を見かねたボブがダンジョンではない普通の洞窟があるからそこでの休憩を提案してくれた。
まぁどれがダンジョンで、どれが洞窟か判らないから1つづつ確認していくしかないんだけどね(汗)
何個か目の洞窟で皆立ち止まった。
「これは・・・」
「マミーさんの家?」
「このイラストって、姐さんのイラストだよね?」
私達はよくゲームの鯖メンテの間にお題を決めてPCのペント機能でイラストを描いて遊んでいた。
まぁカズラとイザとボブ・・・男性陣三人は画伯だったんだけども。
ぷぷぷっ
このミイラのイラストが以前姐さんが描いたのと同じ。
だから間違いなく姐さんが描いたんだと思う。
って事は姐さんがここに来たって事だよね。
マミーさんに聞いてみよう。
「あのー、すみませーん」
「はーい、いらっしゃいませ?」
「この壁の絵はどなだが?」
「ああ、数年前にここへ立ち寄ったダークエルフの方が描かれたんですよ。
こうしておけば驚かれないですむからと」
可愛いですよね、と微笑んでいた。
そっかあ、姐さんもここの立ち寄ったんだぁ。
姐さんの痕跡を見つけてちょっと嬉しくなった。
マミーさんはイザたとライカを見て
『獣人さん達には暑さが厳しいでしょ、どうぞ』
と飲み物をご馳走してくれた。
ボブはこの洞窟のマミーさんではないけど、マミー印の包帯に助けられたことがあるんだ!とお礼を言っていた。
ボブに包帯をくれたマミーさんはここのマミーさんの親戚なんだって。
ボブの事を伝えておいてくれるって。
ボブは嬉しそうだった。
読んで下さりありがとうございます。




