74:氷の大陸(北) 遺跡散策① ~グレン・イザ
ちょっぴり下ネタもどきが入りますが笑い飛ばしていただければと思います。
それでも苦手な方はすっ飛ばして下さいませ(;´Д`)
*** *** グレン目線 *** ***
今日は早速遺跡の散策をする事にした。
シカ・ボブ・ジークは夫婦なので一緒に行動して貰うとして、それ以外はくじ引きで3人一組になる事になった。
結果・・・
イザ・カズラ・フィン
ライカ・アリアン・デュラハン
儂・スライザー・ゲイザー
何故かゲイザーまでがしれーっと参加していた。
それは良いとしても、スライザーとゲイザーって、なんか儂だけ異色組?
ゲイ「楽シミダネ!」
ズラ「いいかシカ、絶対にボブとジークの手を放すんじゃねぇぞ」
シカ「解ってるよぅ」
なんとなく不安だけど、ジークもいるし大丈夫だと信じたい。
遺跡の中はやっぱりとでも言うべきか。
ゲームのダンジョンのように迷路チックになっている。
広さもそれなりにありそうなので3人一組で別れる事にしたのだ。
夕飯までには戻る事。 時々連絡を入れ合う事。
そう決めて各々出発だ。
散策と言うか・・・犬の散歩?
ゲイザーくんはあの紐が気に入ったようで、今日も着けている。
スライザーまでが着けてくれと言うので、犬を2匹連れているような状態な訳だ。
別れ道なんかは二匹で相談してどっちに行くか決めているので儂は着いて行くだけになっている。
どっちかってと儂が散歩に連れていかれてる?
まあ二匹が楽しそうだからいいか。
遺跡内は暗かったけど、ゲイザーくんがライトで光ってくれ
スライザーが温石を体内に取り込んで周囲をほんのりと温めてくれているのですこぶる快適な環境でもある。
所々に樹や草花を模ったレリーフぽい物も見られる。
それらを眺めながらのんびりと進む。
ちょっとした美術館に来た気分だ。
このレリーフから察するに以前はここも氷に覆われて無くて自然豊かな場所だったのだろう。
と、急にゲイザーくんが立ち止まった。
少し広くなった空間。
なんだろう?広間とかそんな感じかな?
とよく見れば三方の壁は巨大なレリーフになっている。
3枚のレリーフに枝葉を広げているこの大樹は世界樹を模しているのだろうか?
カリンバで見た世界樹よりも大きい気がする。
大樹の元には精霊や妖精、様々な種族の人々も描かれている。
まさに神話で見かけるような世界観がそこにあった。
うわぁ・・・
圧巻の声が漏れてしまう。
これは是非皆にも見てもらいたいものだ。
そうだ、連絡しておこう。
グレ「こちらグレン。凄く素敵なレリーフの広間発見。」
ズラ「マジか、こっちは今アナに落ちたとこだ」
ライ「こちらは滝をみつけた」
ボブ「僕達はおやつ休憩中だよ!」
((( おやつ休憩早くね?)))
グレ「おぉー、滝もいいね。探してみよう」
で、気が付いた。
場所の説明をどうした物か・・・
当然地図なんて物は無い。
もっと言えばシカさんと儂は方向音痴だ・・・
グレ「レリーフ広間の場所なんだけど、1階のどっか・・・」
ズラ「穴もどこか・・・」
ライ「滝は2階の・・・どこかだ」
ボブ「・・・モグモグ」
結局皆 はっきりした場所の把握はできていなかった(苦笑)
まあこれはこれで楽しいからいいか。
しかし見事な物だな。
レリーフになっているくらいだから、この世界のどこかに存在していたのだろうか。
それとも今現在も存在しているのだろうか。
存在しているのなら見て見たい気もするが
人目に触れずにそっと存在し続けるのもいいかもしれないとも思った。
しばしこのレリーフを眺めていたいと思い、ここの隅で昼食を取る事にした。
なんか目の前とか申し訳ないような気が・・・なんとなくね?
鞄から温かい薬草茶と棒状に固めたグラノーラを取り出す。
この薬草茶はシナモンを効かせた儂好みにしてある。
人によって好みが解れるシナモンだが、二匹は気に入ってくれている。
ん~、美味しいし体も温まる。
薬草茶を飲みながらしばしレリーフを堪能し、もう少し散策してみるかと広間を後にした。
そう言えば2階に滝が有るっていってたな。行ってみようか。
そう呟けばコッチコッチと二匹が先導してくれる。
頼もしい。案外この二匹と組んだのは当たりだったかもしれない。
二匹は問題なく二階への階段を見つけ、登って行った。
二階はちょっと雰囲気が変わって明り取りの空間らしきものが開いていた。
外から入り込む光が幻想的な雰囲気を醸し出している。
二階の所々にもレリーフっぽい物があった。
一階と違い二階のレリーフは人々の営み?
狩りをしている様子や収穫作業の様子などが描かれている。
時々魔獣や家畜?の可愛い姿も見られた。
と、一角に大きな蓮池を見つけた。
まぁ蓮かどうかはわからんけど、蓮っぽい花。
鑑定してみればいいのかもだけどせっかくの幻想的な雰囲気を壊したくないじゃん?
こうゆう雰囲気に現実を持ち込みたくなかった。
この蓮池にお釈迦様が座ってても全然違和感がないようなそんな雰囲気だったんだよ。
心洗われる風景ってこうゆう感じなのかもしれない。
ぽやぁ~
ゲイ「グレン?」
グレ「はっ、ごめんごめん」
時間の流れを忘れそうだったので、進むことにした。
次に足を止めたのは 坪庭のような場所だった。
紅葉もみじ?楓? 紅葉が美しかった。
どこか懐かしい、ああそうだ。
子供の頃見た九州にある有名渓谷の風景に似ているのか。
二匹は落ちている紅葉を1枚づつ拝借し、それぞれ頭に乗せている。
お互いに「似合う?」とでも言っているようだ。可愛いな。
持って帰るかと聞けばウンウンと頷くので、
坪庭の樹にむかって
すみませんお土産に2枚いただいていきますねと断りをいれておいた。
なんとなくそうしたかったから。
「さて、名残惜しいけどそろそろ帰ろうか。帰り道判るかな?」
と言えば二匹は任せろと言わんばかりに頷いた。
すこぶる優秀な二匹だった。
迷う事も無く、二匹に先導され拠点に戻った儂達は一番乗りだった!イェイ!
「ゲイザーくんもスライザーもお疲れ様。また行こうね」
二匹とも嬉しそうだった。
んじゃ簡単な夕飯でも準備しながら皆の帰りを待ちますかね。
*** *** イザ目線 *** ***
「「「 ・・・ 」」」
俺達三人は固まった。
遺跡に入り、まっすぐ奥まで進めば下り階段がポッカリと見えたのでそのまま降りた。
その先にはだだっ広い空間が広がり
一面に仏像のような彫刻が立ち並んでいたのだが・・・
その彫刻がミトゥナ像を連想させる物ばかりなのだ。
俺とカズラはまあ・・・まだしも?
フィンはどう反応していいのやらと言った感じで固まってしまっている。
正直どう声を掛けていいのかも判らない。
しらじらしくも「なんだこれは」とでも言ってみるか?
いや辞めておこう。きっと冷ややかなフィンの視線が飛んできそうだ・・・
「なんだこれは・・・」
ちょ・・・
カズラが言ってしまった・・・
ホラみろ。フィンの冷ややかな視線が痛い。
仕方がない。
「ここはどういった意味合いの空間なんだろうな。」
無難な言い方だったと思いたい。
「何か宗教的な意でもあったのでしょうか」
フィンの冷ややかな視線は避けられたようだ。
あまりマジマジと見つめるのも憚られるので、それとなく周囲を見回す。
「中央から全体を見て見るか」
カズラがそう言い皆で中央まで行ってみると。
ガタンッ
何かの音がして足元にポッカリと穴があいた。
「うぉっ」
「きゃぁ」
「ぬおぉ?!」
三様に叫んでそのまま落ちた。
どこだここは。いや穴に落ちたようなのだが。
出口はあるのだろうか。
「こちらグレン」
と連絡が入った。
レリーフの広間を見つけたようだった。
ライカ達は滝をみつけたらしい。
なのに俺達は・・・穴?
「さて出口はどこだろう」
ライトを少し広げてみたが出口らしきものが見当たらない。
「何かここに・・・突起のような物があるわね」
フィンが何かを見つけたようだ。
壁の割れ目に手を突っ込んでいる。
「なにかしらね、あら動くわ。掴み出せるかしら」
グイッとフィンが掴みだした物は・・・
「ヒィッ、何?いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そのままブンと放り投げられたソレはカズラの背中にスポッと入って行った。
「ちょ・・・
ぬおぉぉぉぉ。
うへっ。ふぉぉぉぉ。あへっ」
何とも表現しがたいような変な声を上げていた。
「イザ・・・取ってくれえぇぇぇぇ」
「えぇー、無理だろ。服脱いだ方が早くないか?」
温石を携帯しているお陰でそこまでは寒くない。
少しの間服を脱いでも大丈夫だろう。
服の中で動き回っているんだろうな、カズラは体をクネクネよじらせている。
躊躇しているカズラの代わりにフィンが服を脱がせ始めた。
「女は度胸~!」
「え?なんかそれ違うくね?」
「師匠がそう言ってたもの!」
あぁ、グレンならそう言うな・・・
チラとソレの尻尾が見えた。
ソレは遊んでいるかのように上へ下へと這いまわっている。
その度にカズラは変な声をだしている。
「あぁもう!カズラ動かないで!!」
「そうは言われてもだな・・・ウヒッ。ぅへぁ・・・」
だんだんとイラついたのか最初に悲鳴をあげたフィンはどこへやら。
じっと動きを観察し狙いを定めて素早くソレをムンズと掴む。
ムギュッ
「取り押さえたわよ!カズラさんこれで安・・心・・・」
「ゥグッ・・・」
「あれ?カズラさん?! しっかりして!」
「フィン、それ違うと思う。蛇じゃないと思う」
フィンがえ?と手元を見れば
蛇は涼しげな顔をしてニョロニョロと立ち去ろうとしている。
そしてカズラは気を失っている・・・
フィンは自分が掴んだ物が何か気付き ボンッと真っ赤になって口をパクパクさせた。
「え? あ、れ? え? いやぁぁぁぁぁっ」
「取り合えず離して差し上げて?」
変な言い回しになってしまった。
「だ・・・大丈夫ですか?カズラさん!!」
肩をガクンガクン揺すられてカズラは半分白目になっていた。
なんか・・・ご愁傷様?
俺は笑ってはいけないと思いつつ、こみ上げる笑いを押し殺した。
俺じゃなくてよかったとも思った。
だがこのお陰で?蛇が立ち去った方向に出口があるのでは?と見通しがついた。
カズラとフィンが落ち着いたところで、出口探しを再開した。
蛇が向かった方向には・・・伏流水?滝壺が突如姿を現した。
他に出口に繋がりそうな物はさなそうだ。
「どうする?飛び込んでみる?」
「他にそれらしき物はなさそうだよな」
「行きましょう!」
なんかヤケになってないか?フィン。
まぁ行くしかないよな。
せぇのっ!と飛び込んだ。
滝壺から流れる川は思ったよりも勢いがあって。
ブクブクブクッ ゴボゴボッ スポッ
このまま溺れるのではないかと思った瞬間、突如視界が開けた。
「「「 !!! 」」」
うわぁぁぁとそれぞれ叫びながら落ちた場所は遺跡に入る前の階段だった。
遠目にグレンの驚いた顔が見えた。そりゃ驚くよな・・・
俺達の散策はずぶ濡れで終わった。
疲れた・・・
後でグレンに話してやろう。きっと爆笑するだろうな。
グレン「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
カズラ「笑い事じゃないですよ姐さん」
グレン「すまん。けど想像すると・・・」
ブハッ(笑)
シカ「潰れなくてよかったね?」
カズラ「そうゆう問題じゃねぇよ! 男の股間ってもんが」
グレン「それを言うなら沽券では?」
カズラ「グハッ」
読んで下さりありがとうございます。




