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7:フライングで闇の領域へ⑦



*** *** まだデュラハン目線 *** *** 


「僕ガ行ヨ」


?!

ゲイザーが小声で語りかけて来た。


「僕ナラ飛ベルヨ」


確かにゲイザーであれば飛ぶ事も出来る。

だが・・・


「心配イラナイヨ ボク消エル ケド 消エナイヨ

 ボク同胞ト意識共有出来ル ダカラボク消エル ケド 消エナイヨ」


確かにゲイザーを始めとする幾つかの種は意識共有が可能だ。

だがなゲイザーよ、其方と言う個体は消えてしまうのだと理解しておるのか。


「解ッテルヨ 僕グレン助ケタイ ダカラ行クネ

 気付カレタラ キットグレン泣イチャウカラ 

 コノママ コッソリ行クネ バイバイ デュラハンサマ」


待て!・・・と言いかけて言葉を飲み込み伸ばしかけた手を握りしめた。

我は何を言うつもりだ、そして言ってどうするとゆうのだ・・・

我の考えなど他所に ゲイザーはプルルンッと震えて小さな小さな同胞を生み出した。


『グレンヲヨロシク 小サキ同胞ヨ』


そうしてゲイザーは高く高く 翼を羽ばたかせて飛んで行った。



*** *** ゲイザー目線 *** ***


よぉし、僕頑張っちゃうぞ~!


びゅーんっ ぱたぱたっ


上に・・・どんどん上に行けばいいんだよね?

神様の居る場所ってどんな場所なんだろう。

僕たちの居る闇の領域とは景色が違うのかな?

うん、きっと違うよね。僕たちは闇の領域に居るから景色も薄暗いんだよね。


きょろきょろっ


当たりを見回して見たけど、真っ白で何も無いや。

雲の中だからかなぁ?

でもさっきも雲の中だったし、神様って雲の中に住んでいるのかな。

こんなに真っ白で何もない場所だと寂しくないのかな。


 ぱたぱたっ ぼふんっ


一際分厚い雲の中に入ったみたい。

なんかちょっとジメジメしてるから雨雲なのかな。

うーん、飛びにくいなぁこの雲。

でもこの雲を抜けたら神様に会えるのかな?


ばふっ


雲を抜けたけど、また雲の中に入っちゃった。

もっと上に行かなきゃいけないのかな?


ぱたぱたっ


もう随分と昇って来た気がするけど まだ雲の中。

あ、でもちょっと明るくなって来た気がする。

闇の領域はもぉ小さくなっちゃったかな?

ちょっと見て見ようかな。

あ、下も雲で見えないや エヘヘ・・・

雲に入る前に見ておけばよかったかな。

グレンはまだ薬草園に居るのかな?

それとも もぉ深淵の刻限になって寝ちゃってるかな?

デュラハンサマは大丈夫かな?

うっかりグレンに僕の事言ったりしてないよね?

ああ見えてデュラハンサマ優しいし寂しがり屋だし

ちょっとうっかりさんなんだよね。

アリアンが居ればきっと大丈夫だよね?

しっかり者だし優しいし、料理もおいしいし!

アリアンの料理、食べてから来ればよかったなぁ。


ぱたぱたっ ぱったぱったっ


まだ・・・かなぁ・・・

ちょっと疲れて来たけど大丈夫。

僕頑張るから待っててねグレン。


周りも少し明るくなった気がする。

神様に近づいてるからかな?ちょっと体に力が入らなくなってきたかも。

グレンの笑顔を思い浮かべる。

ふふっ 僕の睫毛を羨ましいっていってたよね。

1本残してくればよかったかなぁ。

ちょっと想像してみる。

1本だけ長い睫毛がびろーんと・・・

だめじゃん!

そんな事を考えていたら少し元気が出た。


神様にグレンを迎えに来てって言わなきゃね。

あとね・・・ちょっとそのドジも直してね?って言わなきゃね。

またグレンが落とされたら嫌だもんね。

よぉし、僕頑張るからね! フンスッ


ぱったぱったっ  ぱったっ  ぱふんっ


やった!雲抜けたー!

凄くたくさんの雲を抜けたけど、この雲が最後だったのかなぁ。

1つ雲を抜ける度に少しずつ明るくなっていって

今じゃ眩しいくらいに明るいよ。

うーん、目を開けているのがちょっと辛いかも。

ここからどうすればいいのかな?

まだ上に行けばいいのかな?


ぱった ぱった ふらふらっ


あれ? 僕 少し小さくなってる気がする。

なんでかなぁ?

まぁいいや、神様みつけないとだもんね。


上に・・・

上に・・・・


ぱたっ ふらっ ぱたっ 


ふぅ。

神様ー、どこー?・・・


あれ? 僕 また小さくなってる?

明るい場所に来ちゃったからかなぁ?

うーん・・・でもまだ神様に会えてないからなぁ。

あんまり小さくなっても困るんだけどな。

神様に見つけて貰えなくなっちゃうよ・・・

大きな声で叫んで見る?


あ、僕 喋れ無いんだった、ヘヘヘ・・・

同胞みたいに意識共有できたらなぁ・・・


うーんうーん


神様何処ーーーー!


頭の中で叫んで見た。

けどやっぱり無理かぁ・・・


ぱたっ ふよふよ ぱたっ


だいぶ力入らなくなっちゃったし 僕の体 なんだか色が・・・

ゴメンねグレン 僕 神様に会う前に消えちゃうかもしれない。

出来るだけ頑張るけど グレンを迎えに来てって言えなかったらゴメンね。

飛べなくなったら這ってでも・・・

ごめん、僕這えないや。転がればいいかな。


ふらふら ころんっ ころころっ

ころころっ こんっ


何かに当たった・・・

何に当たったのかな?と考えたらふわっと持ち上げられたよ。

温かい・・・手?


でも顔の方まで もぉ見えないやぁ。

神様かな、神様じゃなかったら伝えて貰えばいいよね。


あのね 神様 グレンを助けて 迎えに来て 闇の領域まで

それでね 神様にドジを直してって伝えて欲しいな。


「心優しき小さな闇の領域の住人よ。必ず伝えましょう。

 グレンも必ず迎えに行きましょう。

 よく頑張りましたね、 疲れたでしょう。

 安心してゆっくりとお眠りなさい」


わぁ凄く優しい声だぁ。

よかった 僕ちゃんと言えたんだね。


少し眠ったら戻らなきゃ。

戻ったら・・・

グレンと・・・

また・・・

遊ぶんだ・・・


でも ちょっと・・・

疲れ・・・ちゃった。


少し・・眠ったら・・すぐ・・

戻るから・・・ 


・・・待って・・て・・ね・・・


グ  レ  ン



*** *** 創生神シムカ目線 *** ***



「・・・」


手の平に それはそれは小さな蝙蝠の様な羽が二枚と長い艶やかな睫毛が1本。

それらの持ち主であった者の記憶と感情が流れ込む。


その身が滅ぶ事を承知の上で此処まで参ったか。


本来闇の領域に住まう者が 此処に来る事はありえない。

と言うよりはファンタニアに住まう者全てがなのだが。


だがいつであったか。

数千年前であったろうか、一羽の鳥がやって来た事があった。

そう、あの時はまだ未熟で幼かった神がやらかしたのであったな。

確かあの幼神は遥か彼方の異世界で他の大神の元、修行をしておるはずだが。

また抜け出したのであろうか。

他の大神達に問い質したいところではあるが、まずはそのグレンとやらを迎えに行かねばなるまい。

この小さな闇の領域の住人との約束を果たすために。

シムカ神「羽は解るが何故に睫毛が1本」

ゲイザー「あのね、グレンが羨ましいって言ってたから上げるの!」

シムカ神「そ、そうか。だがな?1本ではどうにもなるまい」

ゲイザー「短く切り分ければなんとかならないかな?」

シムカ神「短くなれば本人の者と大差なくなるのでは?」

ゲイザー「あ・・・」



読んで下さりありがとうございます。

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