63:ニブル大陸⑤ ~シカ&カズラ~
*** *** シカ目線 *** ***
うーん・・・手が・・・手が・・・・
「手が離れないぃーーーー!!」
手を振り解こうとし叫んで目が覚めた。
ハッとして手を見るとまだ手は繋がれたままだった。
「いい加減に離してーーー!」
「いやだよ!」
へ?・・・
グールに拒否られた・・・?
恐る恐る声のした方を見上げれば・・・
デカッ! オーガ? 誰?!
「シカ!僕だよ!ボブだよ!」
ボブ? え? どうゆう事? なんでボブ?
ここ何処?私は誰。いやいや私はシカ。
うん、混乱してるよね。落ち着け私。
何が起きたの?起きてるの? さっぱり判らないよぉ。
「シカちゃん!」
「「「 シカ!! 」」」
フィン姉さんジーク兄さん! と?・・・誰。
ハッ! ボブが居るって事は カズラとイザ?!
マジで?
起き上がって駆け寄ろうとしたけど体が動かない?
あれ?
ボブに抱きしめられてたぁ・・・
あれ?他にも色々といらっしゃる?
でも・・・姐さんは?
イザが居るなら姐さんもいるハズだよね?
周囲をキョロキョロと見回しても居ない・・・
「イザたん、姐さんは? トイレ?」
「んな訳あるか!」と、カズラが説明してくれた。
私を攫ったのはグールでは無くワイトだったけど攫った理由は不明。
私の魔力が無かったのはワイトがドレインを使っていたからで
体力も吸われていただろうとの事。
皆で手分けして探し姐さんと召喚獣のゲーザーくんとバハ様が助けてくれたけど
私を庇って姐さんは背中に酸を受け、まだ目を覚ましていないとの事。
タイミングが良かったのか悪かったのかは判らないけど
丁度皆がニブルに集まっていたみたい。
ボブは涙も鼻水も垂れ流しで抱きしめたまま離してくれずにいる。
そろそろ限界かもっ。
ボブ・・・息が・・・ぐるじぃ・・・
カズラが止めてくれたのでボブの力も緩んだ。
抱きかかえたままだけど(汗)
ボブ、皆の前でちょっと恥ずかしいんだけど・・・
ジーク兄さんには今すぐ指輪をはめて置けと怒られたので受け取ってすぐはめたよ。
皆にも散々怒られた、後から姐さんにもお説教貰う事になるんだろうなぁ(白目)
スンマソン・・・
「姐さん大丈夫なの?・・・」
「心配はいらぬ。身に着けていたマントが特殊だったようで
ある程度の酸は防いでくれたようだ。
手当ても済ませてある。しばらくすれば目をさますであろう」
ちょっと影の薄い雰囲気のあるイケメンが答えてくれた。
どちら様?・・・
この屋敷の主で姉さんがお世話になったデュラハンさんだとイザが教えてくれた。
その横のレイスのお姉さんは・・・子供の頃会ったあのお姉さん?
優しい笑顔を浮かべ【お久しぶりですね、すっかりレディになられて】と言ってくれた。
更にその横の狼さんと翼を持つイケメンは?・・・
「俺の守護者になってくれたライカだ」
イザが紹介してくれたのでペコリと頭を下げておく。
「我はバハムート。グレンは我が主だ」
と翼を持つイケメンが答えてくれた。
あ、このバハ様が助けてくれた人か、お手数をお掛けしまして・・・
で・・・そこのス〇ゾーみたいなのは?・・・
「僕に着いて来たスライムくんがゲイザー君と合体して誕生したスライザーくんだよ!」
ちょっと何言ってるのかわかんない。
合体?・・・スライムとゲイザーが??
ついマジマジと見つめてしまったよ。
なんだか色々とありすぎて頭が追いつかないよ・・・
落ち着いたら ゆっくり話したいな。
そしてその夜私は久々に熱をだした。
まだ体調が戻ってないのかなぁ。
「シカ!大丈夫なの?」
ボブは心配そうに覗き込んでいる。
「ご心配いりませんよ、ボブ様。
どうやら知恵熱のようでございます・・・」
「「「「 知恵熱?! 」」」」
皆が一斉に叫んだ。自分でも驚いたよね。
私はおこちゃまか!
*** *** カズラ目線 *** ***
翌朝
ブフォッ! ベリッ・・・
「見て・・・おりませんので・・・」
「・・・・」
またか!またなのかっ! タイミングよぉぉぉ・・・
早めに目が覚めた私は皆を起こさぬようにそっとお茶を淹れソファに座ろうとして
盛大な屁をこいて ズボンを破いた訳だが・・・
それを再びアリアンに目撃された訳である。
デジャヴ・・・
そっと差し出されたズボンに履き替え、繕ってもらう。
「すみません・・・」
「お気になさらず・・・」
せめてアリアンに茶でも淹れようとキッチンに向かえば皆がゾロゾロと起きてくる。
ついでだ、皆のも淹れるか。
・・・
人数多いな・・・
「お手伝いしますね」
フィンがそう言ってくれた。
二人でやればすぐに出来、手分けして皆に配る。
まったりとした朝のひと時だ。
繕い物が終わったようでアリアンがキッチンで朝食の用意を始めるとフィンが再び手伝いに行った。
ボブは隙あらばシカを膝に乗せてご満悦だ(苦笑)
そんなシカをジークは優しく見つめている。
姐さんはまだ目覚めないようで、イザとデュラハン氏が時折様子を見に行っている。
早く傷が癒えてく れれ・・・姐さん?(汗)
「おはよ・・・」
皆が一斉に振り向く。
「「「 姐さん! 」」」
「「「グレン!」」」
「姐さん、起きて大丈夫なんです?」
「んー、ちと背中が痛いけど大丈夫っぽい?
それよりもさ、なんか手の甲に文様っぽいのがあるんだけどこれ何?」
それよりもって・・・
手の甲に文様?・・・
背中の怪我より手の甲?!
いやいや、そこは怪我の方を気にしてくれよ。
「ああ、それ守護者の文様っぽいな」
イザとライカが ホレッと見せる。
なるほど・・・
イザとライカは同じ文様。でも姐さんのは別の文様だな。
「なるほど、じゃあ儂の文様は誰と対になってるんだろう?」
「我とのようだな。いつの間に・・・ あ・・・」
あ・・・ってなんだ?デュラハン氏。
心当たりがあったらしい。
「昨日グレンに触れた際に手の甲がポワンと光に包まれたがコレだったようだ」
ポワン?・・・
そう言えば皆が起きてくる前に、アリアンにズボンを手渡した時ポワンとなったような?
ふと自分の手の甲を見れば・・・付いてんじゃねぇかよ。
アリアンに視線を向ければニッコリとこちらに手の甲を見せている。
おぅふ・・・
どうやら俺の守護者はアリアンになったようだった。
毎度アリアンに世話を掛けているせいだろうか・・・申し訳ない。
ま・・・まあ姐さんが回復したのならよかった。
うん、よかった。
それから朝食を食べながらこれまでの事をそれぞれが報告しあった。
「そう言えば、姐さん五十肩卒業おめでとう?」
と聞けば
「んあ"?・・・儂だけ0歳スタートじゃなかったんだよ・・・」
へぁ? 声が裏返ってしまった。
「実年齢スタートだったんだよ! ケッ」
ブハッ
姐さんの年齢を知っている四人が吹いた。
マジか!
姐さんは訳判らんとブツブツ言っていたが
なんだかいつもの雰囲気が戻ったなと思った。
姐さんの年齢を知らない五人は幾つだ?と聞いていたが
「女の人に年齢は聞いちゃ駄目なんだよ!!」
とボブが止めていた。(笑)
そして今後についての話し合いを始めたのだが
毎度のパターンで話が脱線しなかなか本題が進まなかったのだった。
読んで下さりありがとうございます。
action下さった方もありがとうございます!(*'ω'*)




