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62:ニブル大陸④  ~デュラハン&グレン~

*** *** デュラハン目線 *** ***


まずはシカとやらが消えた場所を確認しておくか。


そう思い、その現場に来てみたが・・・

グールが歩いて移動したような痕跡はない。

ならばやはりテレポーテーションであろうか。

これは時間が掛かるやもしれぬなと思って居ると奥からガサガサッと音が聞こえた。

なんだ?・・・

様子を伺えば、人間(ヒューマン)にエルフに獣人2人にダークエルフ?

一体どんな組み合わせだ・・・

地面を見つめながらなにやら話しているようだが・・・

声を掛けてみるとするか。


「すまぬが、ここらでノームらしきピンクの髪の娘を見かけなかっただろうか?」


すると4人は一斉にこちらを向き、ダークエルフが声を上げた。


「デュラハンさん?・・・」


む? このダークエルフに逢った事は無いハズだが・・・


「お久しぶりです、グレンです!」


グレン?・・・グレンだと?! このダークエルフがか?!

以前の姿との変わり様に・・・信じられぬ。


イザ「グレン、今は先にシカだ」


ハッ、そうであった。


「知り合いか?・・・そのシカと言うノームの娘と」

グレ「ああ、うん。以前話した元の世界の仲間の1人・・・」

ジー「我々と共に行動していたのだが、昨日ここで逸れてしまってな」

デュ「なるほどな。こちらでも今四方に別れて探して居る。

   海側から来たのか?」

イザ「ああ、なのでこちら側には居ないと思う」


ならばどこを探してみるべきか・・・

考えていると背後に気配を感じ、振り向けば


「主、判ったぞ」


誰だ?

しかも何故ゲイザーを抱えている・・・

ゲイザー?! 

これは・・・あの日天に昇り消えたハズのゲイザーではないか!

いったいどうなっておるのだ・・・

落ち着け、後でゆっくりと聞けばよいのだから。



*** *** グレン目線 *** ***



「バハ様判ったって、居場所?」

「うむ、ゲイザーが見つけた。向かうか?」

「うん、行k・・・ちょ、えぇぇぇぇ」


ススススゥ・・・  トプンッ


行こうと言う間も無く、連れ去られた。

ぶわっと影に包まれたかと思ったら、湿っぽい洞窟に居た。


何処ここ?・・・

んで皆は?・・・

まさか二人で来たとか?

マジで?


「我と主で十分だ」


いやいや、そうゆう問題じゃないよね?

とは言え、もお来ちゃってるし・・・


取り合えず ライト点灯。

結構奥が深そうだね・・・

用心しながら進むけど、嵐の前の静けさ?

不気味すぎるし何も居ない。

ゲイザーくんがこっちだと先導してくれる。


パタパタパタッ


遠くに見える人影が近付くにつれ詳細部分まで見えてくる。

ピンク髪の子供、じゃなくてミニマム・・・

居た! シカさんだ!


「シカさん?!」


ムニャムニャムニャ・・・

・・・・ 

呑気に寝てるよこの子。

この状況でよく眠れるなぁ。


溜息交じりに近づこうとすると

ボワッと何処からともなくグール達が湧きシカさんと何かを取り囲む。

よくよく見ればシカさんに密着しているのはワイト?

しっかりとシカさんと手を繋いでいるのは何故?・・・

いやいや意味判らんし! 判りたくもないけど!

まさか・・・そのワイトがボブ?!

いやいや、まさかね。 まさか・・・

ナイナイ、無い無い。

ボブならこんな場所にシカさんを連れてこないだろ。

ハッ、まさかワイトに一目惚れでもされた?

シカさんだし?異世界だし?もお何があってもおかしくないよね?

いや、そうでは無くて。

普通に考えれば何かしらの原因があってワイトに拉致られてるんだよね。

でも何故に手を繋ぐ必要が・・・

振り出しに戻ったじゃんか!

えぇい、もぉ倒してから考えよう。


「バハ様雑魚MOB頼める?」

「承知」


バハ様はスラリとした剣で舞う様に、バサリザクリとグールを薙ぎ払っていく。

つい見惚れそうになってしまうが、儂は親玉っぽいワイトをやりますかね。

シカさんと手繋ぎ状態だから動きが制限されているかと思いきや、意外と柔軟に動く。


ワイトの攻撃って何があったっけ?・・・

毒とか酸だったっけ?・・・

考えているとカクンッと体の力が抜ける感覚がした。

うげっ、ドレイン系もあるんだっけか?こりゃ短期に片付けないとマズいな。

あの手も早めに切り離す方がいいかな。

シカさんが寝てるのもドレインでHP吸われた?下手すりゃMPも吸われてるかも?

えー・・・、だからって手繋ぎ?

どうしてもそこが気になってしまうが、気持ちを切り替えよう。

鉄扇を広げて勢いよく切り付ける。

が、切っても切っても再生しやがる。

アンデッドて再生したっけか?勘弁してくれよ。

あ、シカさんの顔色が悪い、やっぱ吸ってやがるな。

あの手をなんとかしないと・・・

あんまり接近したくなかったけど、しゃーないか。

ズンッと踏み込んで、力いっぱい鉄扇を振り下ろす。


ヌチャ・・・


ぅぇぇぇぇって言いたくなるような音がして、手首が切り離された。

ヤッタ! これで吸われる事も無い。

吸われる事が無ければ無限再生でもなくなる。だったら後は切り刻めば・・・

と、シカさんをまずは抱きかかえようとした時だった。


ケロッ  バシャァー


酸を吐かれた。

シカさんに掛かる!そう思って庇いモロに背中に受けた。


「主!」


バハ様の声が聞こえ。駆け寄ろうとしているが、止めた。

儂、元々痛みには強い方だから耐えれるよ、痛いけども。

無防備なシカさんに掛からなくて良かったよ。


「ゲイザーくんシカさんをバハ様の所へ!

 バハ様シカさんを安全なところへ!」


ゲイザーくんはシカさんを包み込みバハ様まで運んだ。

よし、これで安心だね。

じゃあさっさと終わらせようかな。背中も痛いし!

いつのまにやら手の中の鉄扇はデスサイズに変わっていた。

えー・・・

もっと早く出て来て欲しかったぁぁぁ。

そうすりゃ近付かなくて良かったじゃないか!

まぁいいや。


エネルギーの供給源であるシカさんを失ったワイトは怒り狂っているようだ。

まぁ怒っているのは儂もだけど。痛いんだよ背中!

(ドレイン! あーんどマナドレイン!)

ワイトが一瞬たじろいだように見えた。

そっちは接触しなきゃ吸収出来ないみたいだけど、こっちは遠距離でも行けるからね。

しかもね、攻撃も出来ちゃうんだなぁこれが。

(デスペイン!)

え?声には出さないよ、恥ずかしい。

さぁ勝負といこうじゃないか、どちらが先に倒れるか。フフフ

ワイトは必死にもがきながら手当たり次第に触手を伸ばしている。

あれって手に見えて触手だったのか・・・

ウネウネ グニョグニョ

きもっ・・・


どの位時間が経ったかな、5~6分かな?

長く感じるけど実際はそんなに経ってないはず。

ワイトの動きが鈍りその姿が不安定になっている。


ぐぁぁあぁぁ


叫び声と共に消滅した。

やっと消えたかぁ、ふぅ。

シカさんは大丈夫かな。

振り返れば皆がそこに立っていた。

うわぉっ、びっくりした。

シカさんは寝たままボブに抱きかかえられてたけど。

ああ、よかった。やっと皆揃ったよ。

安心した儂は皆に手を振ろうとしてそのまま意識を手放した。



*** *** デュラハン目線 *** ***



意識を失ったグレンを受け止めたのは我であった。

バハムートはグールの残骸まみれで論外だ。

他の者達はこの悪臭で嘔吐中であった。

先程まではグレンの手前気を張り耐えていたのだろう。


「バハムート殿 早々に屋敷へ戻るとしよう」

「んむ。では・・・」


バハムートの影が皆を飲み込み、屋敷へと運ぶ。

一種のテレポーテーションであろうか。


「デュラハン殿 すまぬが風呂を借り受けたい」

「ではアリアンに案内させよう」


バハムートの申し出を受けアリアンが案内して行く。

さて、グレンの手当をせねばな。

シカとやらは、寝かせておけば時期に回復するであろう。

他の者達は・・・各々が床やソファに突っ伏して居る。

こちらも時間が経てば回復するであろう。


以前使っていた部屋にグレンを運んだ。

そう、我は以前グレンが使っていた部屋を残しておいたのだ。

そっとベットに横たわらせると以前は大き過ぎたベットが今は丁度良いサイズに見える。

マントをそっと剥がせば、思ったよりは酷くはないがそれでも重症と言えるであろう。

ワイトの酸が骨にまで達していないのはこのマントのお陰であろうな。


残りの服も脱がせねばと思った所で手が止まる・・・

我が脱がせてもよい物だろうか・・・

が躊躇している場合では無いなと思い直す。

背で良かったと思う。

脱がせた後は水で洗い流し酸を中和するための薬草を塗り込む。

痛みが走るのであろう、グレンが小さく呻く。

一通りの手当てが終わり、包帯を巻きつけそっと布団を掛ける。


あの小さかったグレンがダークエルフ・・・

見た目は違えど、戻ってきてくれた。

早く傷が癒えてくれればよいが・・・


グレン、聞きたい事があるのだ。

話したい事もあるのだ。

何よりもあの笑顔が見たいのだ。

髪を一掬いし、そっと口付けてから部屋を後にする。


ポワンッ


淡い光がこの手を包み、紋章が現れた。

なんだこれは・・・


ワイトの吐く酸はエイリアンの酸ほど強くはない設定です。


読んで下さりありがとうございます。

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