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59:ニブル大陸① ~カズラ&ボブ~

ゆっくりながらも無事に海を渡り切り俺達はアーケロンに別れを告げた。

内陸産の野菜を礼に渡すせば、先日も貰ってるからと遠慮されたが。

俺達の感謝の気持ちだからそこは遠慮なく受け取って欲しいと言えば喜んで受け取ってくれた。

アーケロンを見送った後、周囲を見回して見る。

ゲームのニブルは町並みや墓地で表現されている事が多かったがここは森林が多めだ。

全体的に薄暗いがそこはご愛敬。

ああ、間違いない。皆この風景はきっと気に入る。


「私の住まう場所は中心に近い位置にございます。まいりましょうか」


アリアンが先導してくれる。

時折ウサギが跳ね 鳥のさえずりも聞こえてくる。

気持ちよさそうに茸も散歩をし・・・て?

ああ、スポアか・・・

んむ、ここは異世界。おちつけ俺。

あちらでは小さな草が日光浴を・・・??

ビーチチェアみたいなのに寝転がって日光浴・・・?


「彼等はマンドラゴラでございますよ」


ああ、なるほど。あの教会にも居たなそう言えば。

ってビーチチェアに寝転ぶのかよ・・・(笑)

よく見れば雌雄がある?

顔は見当たらないが体のラインに凹凸があるのだがそれ必要か?

セクシー大根やセクシー人参みたいだな。

【見てみてー!スーパーで茄子買って来たらテングの鼻みたいなのが!】

そう言ってシカが見せた画像は チンにしか見えないセクシー茄子だったな。

思い出してしまいこみ上げる笑いをなんとか押し殺した。


そうしてる間にアリアンの住まいに到着したのだがこれは・・・

小振りではあるが立派なお屋敷だった。


「戻ったのかアリアン。久方ぶりだな」


声の(ぬし)は この屋敷の(あるじ)デュラハンだった。

どうやらアリアンはこのデュラハンと二人で共同生活をしているらしい。


「グレン様のご友人、カズラ様でございます。

 我等と同じくグレン様をお探しでしたのでお連れ致しました」

「そうかグレンの・・・」


デュラハンの表情は解らなかったが声色は懐かしそうな感じがした。


「初めまして、カズラと言います。しばしお世話になります」

「グレンの友であれば我等にとっても友だ。気負わずゆるりと過ごされよ」

「ありがとうございます」


ここを使ってくれと二階の一室にアリアンが案内してくれた。

素朴だが手入れは行き届いた心地の良い部屋だった。

気負わずにゆるりと・・・と言われても何もしないのも申し訳が無い。

かと言って料理や掃除などはアリアンが得意であろう。

ん?

よく見ればドアや窓に隙間?・・・ひわっているのか?

この程度であれば俺でも直せるな。

聞いてみるか。

階下に降りて声を掛けてみる。


「デュラハン氏 良ければ窓やドアなど屋敷の修繕を手伝わせて貰えないだろうか」


氏など付けず気軽に呼んで欲しいといわれた。

なんとなく貴族を思わせるので気が引けるがそう言われれば遠慮なくそうさせて貰おうかな。


「あら、カズラ様は修繕がお出来になるのですか?」


アリアンによれば、デュラハンでは力が強すぎて破壊になってしまうそうだ。

屋根などは重たすぎて修理ではなく穴が開いたのだとか・・・

アリアンはアリアンで、普通に叩けば力が足りず力をいれればそのまますり抜けてしまうと。

さすがレイス・・・とでも言うべきだろうか。

ならば遠慮なくやらせてもらう事にしよう。


のんびりと修繕作業をしつつ 時にはマンドラゴラと並んで日光浴を。

時にはスポアと森の散策。

また別の日にはアリアンやデュラハンとの手合わせなどをしながら日々を過ごす。

そんな中、人間(ヒューマン)ならこうゆう物が似合うのではないかとグールがブーツを持ってきてくれたのには驚いた。

ドロップ品で手に入れたが自分には似合わないのだと言う。

ブーツを履いたグール・・・ んむ、違和感がある。


それを見ていた他のグールやゾンビ・スケルトン達が

これもどうだ、こっちはどうだ。

ケットシーにはこっちが似合うんじゃないか。

クーシーならこれだろう。ヨートンだとこれか。

子供達はこれがいい。

と持ち寄るものだからここはフリーマーケットかよってな状態になった。

アリアンとデュラハンも苦笑している。


そうして時が流れたある日

来訪者がやってきた。

アリアンが門で出迎えて招き入れている。


「おじゃまします!!」


この元気で明るい口調・・・ボブか?!



*** *** ボブ目線 *** ***



ムニムニ ビローン

ん~、駄目だよシカ。引っ張らないでよ、僕の顔で遊ばないでよぉ。

ペチッ イタッ

あれ?スライムくん?

あ、朝だから起こしてくれたのか、おはよう!

朝ご飯はコナの実にしようかな。 スライムくんもどうぞ!

え?丸飲みするの? しゅわしゅわしゅわっ  溶けちゃった・・・


ま、まさか。あの3人組・・・溶かしてないよね?・・・

え?溶かしてもよかったんだけど、悪い人なんか食べたらお腹下すから止めなさいねってダークエルフのお姉さんに言われたから食べてない?そっか。

でもなんか腹立つから落ち武者ハゲになるようにてっぺんだけとかしておいた?

ぶふっ・・・ 吹いたじゃないかあ!

スライムくん なんで落ち武者ハゲなんて言葉知ってるんだい?

ダークエルフのお姉さんが横髪をまばらに残しててっぺんはツンツルテンにすると男の人はダメージ大なんだって教えてくれたから? 

ぶふっ・・・

もしかしてさ、そのダークエルフって姐さんなんじゃないかな?なんとなく・・・

うん、姐さんなら言いそうだしやりそうだよね!

【禿げてしまえ!】

あり得る・・・ふふふ。

よーし! ご飯も食べたし笑ったし!出発しよう!


思ったんだけど、ニブルってゲームと同じでなんだか全体的に薄暗いよね。

一応ライトも点けてるけどさ。

それにゾンビやグールが多いよね。

『こんにちは。』『珍しいね、旅人さんかい?』

そうやって普通に声を掛けてくれる気さくな人達だよね。

あ、ゾンビやグールって言っても ゲームや映画みたいに腐敗してるとかじゃないよ?

ちょっと顔色が悪くて大怪我したのが治りかけてます?みたいな感じ!

ただ浸食されてると まさに!て感じになっちゃうんだって言ってた。


時々南瓜が生えてて採ろうとしたら『南瓜じゃないから!』って怒られた。

ジャックオーランタンさんだった、ごめんなさい・・・

畑以外の野生に生息してるのはほぼジャックオーランタンなんだって。

そっかあ、気を付けよう。


大きな樹のウロを見つけたから今日はここで休もうかな。

スライムくんは今日もヨ〇ボーになってくれる。うん、気持ちいい!

スy・・・寝ちゃだめだ!先にご飯食べようよスライムくん!

今日はお肉を焼こう! 小さく切り分けて木の枝に刺してコンガリ焼けば串焼きの完成!


モグモグ・・・モグ・・・・モ・・・


ジーーーーーーーーーーッ


うわあああ!びっくりした!

大きな一つ目が見つめてたよ!

驚かせないでよゲイザーくーんっ。


ぐぅぅぅ・・・


お腹空いてるのかな? でもゲイザーって物食べるんだっけ?

ハッ・・・ゲイザー?!

ゲイザーくんゲイザーくん。グレンって名前聞いた事あるかな?


ぐうううううぅぅぅぅ


あ、ごめんね? お腹空いてるんだったね。

はい、お肉。食べるかな?

すうーと黒い体に吸収されていった。

食べれるんだ・・・

げふっ  ゲイザーくんは満足そうだった。

それでね、ゲーザーくん。

グレンって名前聞いた事ないかなあ?

って、あれ?・・・ ゲイザーくん寝ちゃってるよ・・・

もお仕方がないなー。僕も寝よう。おやすみなさい。 

スヤァ

ペチッ イテテ、え?(いびき)がうるさい? ごめんなさい・・・


んー、今日もよく寝た!

おはようスライ・・・ええー?

スライムくんとゲイザーくん、どうしたの?!

え?合体中? 合体って・・・あー子作り?

ゲフンゲフン 繁殖行動かな?

そうゆう事は人目を避けてくれるかな?思わず赤面しちゃったよ!

え?違う? そうゆう事じゃない? ペシッと叩かれた(汗)

じゃぁどうゆう事?合体って・・・

なんか白と黒のお餅がくっついて行くような・・・


びよーん、ウネウネ クネクネ コネコネ


なんとも言えない動きをして・・・わあ合体した!!

だからそう言ったじゃないかって? うん、そうだったね・・・


で、合体した姿が・・・・ これは・・・

モン〇ターファー〇のすえ〇う???

丸い体に大きな一つ目 下から伸びてるタツノオトシゴの尻尾みたいなの・・・

背中には小さな蝙蝠の羽。

べろーんっ 大きな舌で舐められた! 口はどこ?!

ゲイザーくんに呼ばれたの? 違う? まだ呼ばれてる気がする?

じゃあさ、なんで合体する事になったの?

なんとなく?・・・

うん、僕の知らない事っていっぱいあるね!!

深く考えたら駄目な気がしたよ!

でもスライムくんとゲイザーくんが合体したんだったらどう呼べばいいのかな?

判らないから適当に付けてくれ?

ええ・・・適当でいいの?

スラゲ クラゲみたいだ・・・

イムザー 微妙?・・・

スライザー お?これいいんじゃないかな?

ウンウン頷いてるからこれでいいみたい?

これ種族は何になるんだろう・・・

キョロキョロ・・・誰も居ないよね。

コソッ 鑑定・・・

【種族:スライザー。生まれたての新種 スライムとゲイザーの混合変異種。】

新種って。 見なかった事にしよう・・・


あのね、ゲ・・・スライザーくん!グレンって名前を聞いた事ないかなあ?

少し考えてからウンウン頷く。

着いて来い?

スライザーくんの尻尾が僕の腕に絡みついて引っ張って行く。

案内してくれるって事だよね? ありがとう!!

森を抜けて 林も抜けて 大きなお屋敷が見えるよ!

門に誰か立ってる。

あれは・・・ オアシスで出会ったレイスのお姉さん?!


「あら、オアシスの少年。いえ、もう青年ですわね。

 どのようなご用件でしょうか? 

 まずはこちらへどうぞ。お茶でもいかがでございますか?」


案内されて中に入ると・・・そこには懐かしい顔があったんだ!!

イザ「落ち武者ハゲ・・・」

シカ「ザ〇エルハゲ・・・」

グレン「河童ハゲ」

ボブ「波平さん・・・」

一同の視線が集まる。

カズラ「俺はまだハゲてない!! ちょっと薄いだけだ!!」

スライザー「ジィーーー」

カズラ「憐みの目で見るなし!」

悪党3人組: 肩をポンポンッ

カズラ「一緒にすんじゃねぇよ!」


読んで下さりありがとうございます。

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