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58:ニブル大陸上陸 ~シカ~

とうとう闇の領域と呼ばれた大陸に到着!

もっとも闇の大陸と呼ばれたのは大昔で今は違う名前で呼ばれてるんだって。

ニブル? どっかのゲームで聞いたような地名・・・

まぁいいやぁ。


さぁゲイザーを探さないとね。

て、思ったんだけど 多すぎじゃない?・・・

元の世界で言えば鴉や雀の様にアチコチ至るとこで見かけるのよね。

あ、そこの君!ゲイザーくん!ちょっと聞きたいんだけど。

バッと複数のゲイザーが一斉に振り向いた。

あ・・・ごめん。そうなるよねぇ。

気を取り直して。

あれ、聞くって・・・何を?

姐さんが此処に落ちた時ってどんな姿だったんだろう?

えーっと・・・

以前この大陸の何処かに突然現れて消えてった人の噂聞いた事ないかなぁ?


「 ・・・ 」


なんかフルフル震えたり目をパチパチさせたりしてるけど

うぅぅ・・・何か伝えたいんだよね? でも判んないや(汗)

フィン姉さんやジーク兄さんは?

2人共首を横に振っている。

やっぱり判んないかぁ・・・

困っているといつのまにか私達3人は大小さまざまなゲイザーに囲まれていた。

その中の一際大きなゲイザーが身を震わせて大型犬みたいな姿に変形した。

ふぉっ 可愛い!

チラッとこっちを見て 数歩進んでまたチラッとこっちを見る。

着いて来いって事かな?


「着いて行ってみるか」

「そうね、行ってみましょうシカちゃん」

「う、うん」


時々チラッと振り向き私達が着いて来ているのを確認しながら

ゲイザー犬(勝手に命名)はゆっくりと案内してくれているようだ。

薄暗い小さな森を抜けるとそこに現れたのはこじんまりした家と


グリムリーパー?!


え?・・・グリムリーパーって・・・ボス級だったよね?

えぇぇ・・・

大丈夫なのこれ。

いくら温厚な魔物が大半って言ってもさすがにボス級はヤバイでしょ!


て、焦ったんだけど 温厚だった・・・

家の中に招かれお茶と焼き菓子をご馳走になった。

お茶はチャイみたいな味がした。

私はシナモンが苦手でチャイは得意ではないけれど、姐さんは好きだったよなぁ。


「このお茶は以前この地に居た古い知り合いが教えてくれた物でなぁ」


へぇーその人も好きだったんだ、チャイ。

焼き菓子はアップルパイだった。

シナモンは控えめになっているので私でも食べられる。

うん、美味しい。


「その焼き菓子も、古い知り合いが教えてくれた物でなぁ」


グリムリーパーさんは懐かしそうに目を細めている。


「他にもシナモンの風味がする薄くて硬いクッキーのような物や

 柔らかくてビロンと伸びる不思議な菓子も作ってくれてなぁ。

 アンコだったかな、そのような名前の甘い煮豆も作ってくれてな。

 どれも初めて見る物で初めて食べる味だったなぁ」


へぇー、そうなんだ。

初めて餡子食べたんだったら驚いただろうなぁ。

ん?・・・ 

餡子? この世界には無いよね?

そもそも小豆も見た事ないもん・・・


何を代用して作ったんだろう?

いやそうじゃないよね?

この世界にない物を作ったってそれ姐さんじゃない?


「あのグリムリーパーさん!

 そのお知り合いって、どんな感じの人でした?」

「そうだな・・・

 お前さんのような小柄で・・・」


小柄・・・じゃぁ違うかなぁ・・・

姐さんはミニマム種あまり作らなかったもんなぁ。


「ハニーブラウンの髪と瞳で・・・そうそう、妙にゲイザーに懐かれておった」


!!!


「ゲイザーとですか!」

「うむうむ、1匹のゲイザーがな珍しく懐いておったよ。

 そのゲイザーのお陰でな、無事友の元へと帰れたようじゃった」


間違いない!! 姐さんだ!!


「あ、あのそのお知り合い、私の友人かもしれません!」

「なんと。そうであったか。

 ならばデュラハンの元を訪ねるがよい。

 デュラハンなら詳しく話してくれるであろう」


やった!手掛かり見つけたよ! 1歩前進だよ!


「そう言えば・・・

 数日前にデュラハンの元に青年が2人訪ねて来たとも聞いたなぁ」


なんですとっ! ボブかな?カズラかな?イザかな?

ああ、やっと逢えるんだ! 誰だかは判んないけど逢えるんだ!


「デュラハンさんのお家にはどうやって行けば?」


気が逸る。 もしかしたら皆もう揃ってて


 【シカ おせぇよ!】


って笑われるかもしれない。

だって仕方ないじゃん?

愛人事件とかさ・・・

梨採ろうとして溺れたりさ・・・

色々あったんだもん・・・


あ・・・

言わないでおこう、怒られそう。


「シカちゃん落ち着いて?」


どうやら私は目を見開いてキラキラさせたり眉を八の字にして顰め面になったり泣きそうになったりと百面相をやってたらしい・・・

グリムリーパーさんも肩が震えている。

いいんだよ?笑ってくれても・・・

声に出て無かっただけよしとしようかな。


「声にも出てたぞ?」

「ふぇっ?!」


とうとうグリムリーパーさんは吹き出して笑い始めた。

いいよいいよもぅ、仕方がないよね!これがシカさんクオリティ!

開き直りも大事だよね? テヘッ


外はすっかり暗くなっていて、

深淵の刻限だから明日明るくなってから出発する方がいいだろうから今夜はここに泊まってゆっくり休むようにとグリムリーパーさんが言ってくれた。

その夜私は期待と不安が入り混じって眠れなかった。

やっと逢えるかもしれない。18年ぶりだ、皆どんな姿になってるんだろう?

でも・・・

先に訪れた青年2人がすでに旅立っていたら? もしくは別人だったら?

駄目だ 変な方向に考えちゃう。 取り合えずは寝ないとね?

ゆっくり寝て明日は慎重に。

フィン姉さんとジーク兄さんの傍から離れないように。

うっかりやらかさないように本当に気を付けないとね?

だって私の事だからこうゆう時ってなにかありそうじゃない?

いぁいぁ・・・だから寝るんだってば・・・


翌朝グリムリーパーさんに見送られて私達はデュラハンさんの家へ向かう。

昨日のゲイザー犬に再び案内して貰って薄暗い森をいくつか抜ければ見えた。

どうやらあれがデュラハンさんの家・・・家? 

お屋敷じゃないよぉ!

大丈夫、走り出したりしないよ。ちゃんとフィン姉さんと手も繋いでるし!


あれ? 私緊張してるのかな? 手に汗かいてる? 

なんかねっちょりする・・・

ねっちょり?・・・ 汗ってねっちょりしたっけ?・・・


不安になって横を見上げたら・・・

誰?・・・

眩暈がした・・・

昨日寝る前にあれこれ考えたからかな?

自分でフラグ建てちゃってた?・・・


アハハ・・・ハハ・・・ハァ・・・・


手を繋いでた筈のフィン姉さんはいつの間にやら気味の悪いグールになってた。

フィン姉さんがグールになったんじゃないよ?

フィン姉さんとグールが入れ替わってて いつの間にかグールと手を繋いで・・・


ひえぇぇぇぇぇぇぇぇ


手を振り解こうとしても離れない。

アロンア〇ファでくっつけましたかってくらいピクリともしない。

なんでこうなったのよ? いつ入れ替わったのよ? フィン姉さんは何処?


辺りを見回すと2人共まだ森の奥で何かに足を取られている。

あれは・・・なんだろう?

あれ?フィン姉さんが見えなくなった。

ジーク兄さんは・・・

え?地面に消えてった・・・

嘘、二人共強いのに・・・

何も反撃できなかったて事?

いったい何が起きているのだろう。


ハッ ゲイザー犬は何処へ? 

あ、屋敷に向かって走ってる。良かった無事なんだね。

でもこのままじゃマズイよね?

せっかく此処まで辿り着いたのにさぁ。


もぉいいかなぁ。アンデッド系ならヒーラーの光魔法有効だよね?

解放しちゃってもいいかなぁ?むしろ今解放しなかったら皆に怒られるよね?

よぉし解放しちゃえ!!

眠っているヒーラーの私よ、目覚めて!

( ・・・ )

え? 寝てる? いやちょっと起きて? もしもーし!

あれ?ここはぴかーんっとかエフェクト出ないの?

あ、ゲームじゃないからそうゆうのは無いのか。

ちょっと残念。

って今はそうじゃなくてぇぇぇ、しっかりして私!

攻撃魔法よ!

(ホーリーライト!)

シーン・・・


え?・・・

うそぉーんっ!何も起きないじゃん!

ここはシュピーンッと光線が出るはずでしょー?!


焦る私にニタァと弧を描く口が迫ってきて私は意識を失った。

読んで下さりありがとうございます。

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