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54:ムスペル砂漠からポス草原への旅 ~ボブ~

オアシスからポス草原までは10日間くらいかな?

僕達巨人族は歩幅も広いし持久力もあるからね。

シカだともう少しかかりそうだなぁ。クスッ

カズラだと面倒くさがって移動嫌がりそうなぁ。

ハッ、駄目だよカズラ! そこは頑張って移動しようよ!

姐さんとイザは・・・ うん、大丈夫そうだよね。

なんてことを考えながら僕は砂漠を北上する。


途中でスフィンクス家族の所にも寄って挨拶しておいたよ!

砂漠地帯ならアチコチに一族が居るから困ったら声を掛けるように言ってくれて嬉しかった。


勿論 途中でダンジョンを見つけたら潜っておいたよ。

少しでも強くなっておきたいからね!

きっと皆も強くなっているんだろうなぁ。

シカも頑張ってるかな?

頑張ってるよね、たぶん。



草原の手前で大きなダンジョンを見つけたらダンジョンじゃなかった・・・

マミー家族の家だったよ!(汗)

ここにもアラクネのお姉さんが住んでいて業務提携してるって言ってた。

アラクネの糸でマミー達が包帯を作って売ってるんだって!

マミー印の包帯は伸縮性もいいし通気性もよくて傷の治りも早い評判の包帯なんだって!

この日はここに泊めて貰ったんだ。

だからお礼にダンジョンでドロップした薬草や果物をあげたら喜んでもらえたよ。

次の日お別れする前に折角だから持っておいき!って

マミー印の包帯を1ダースプレゼントしてくれたよ!

ありがとう! お礼に蠍の粉と蛇肉を上げたらこれもまた喜んでもらえた!

蠍の粉は化粧品になるんだってマミーの女の子が教えてくれたよ!

あ、女の子と男の子の見分け方は包帯の色なんだって!

ほんのりとピンクに染めてあるのが女の子なんだって!

解りにくいよぉ・・・



その次の日には境界線になる川を越えてポス草原に入ったよ。

凄いや! 緑の絨毯だ!!


「うわあ!凄い!一面緑だし風がさわやかな匂いがする!」


思わず口にでちゃったよ。


「草原は初めてかい?」


誰か居た!

振り向いたら 鰐が喋った?!

あ、獣人さんだった・・・

びっくりしたよ!(汗)


「驚かせてしまったようですまないね。獣人も初めてかい?」

「うん、ごめんなさい。僕初めてムスペルから出て旅を始めたばかりなんだ」


もっともオアシスから遠く離れたのも初めてだけど!

鰐の獣人さんはダイルだと名乗ってくれたから、僕も名乗っておいたよ!

ダイルは僕とは逆でムスペルに初めて行くんだって。

もっとも水辺から離れられないから川沿いに進むんだって教えてくれた。

そっかあ、だったらオアシスにはちょっと無理かなあ。

途中に川がないもんね。


「川の中にもダンジョンがあるんだが、その様子では行った事は無いかな?」


ええー?川の中にもダンジョンがあるの? 

僕知らなかったよ!

行ってみたいなあ、でも水中だと呼吸ができないよね?


「ハハハ 大丈夫だ。

 入り口は水中だが中はちゃんと空気があって呼吸も出来るぞ?」


そうなんだ! だったら行っておきたいなあ。


「急ぐ旅で無いのなら、明日一緒に行ってみるかい?」

「いいの?! わあ嬉しいなぁ」


そりゃ急ぎたい気持ちもあったよ? 早くシカや皆に逢いたかったし!

でも皆だったらきっと【何事も経験だ!】て行くと思うんだよね。

だから僕も行っておく事にしたんだ!

もし皆が水中ダンジョンに行った事がなかったら僕が案内してあげられるしね!


その夜はダイルと色々な話をしたよ。

ダイルも孤児で僕達と同じだった。

でもダイルの場合は捨てられたんじゃなくて、お母さんが病気で亡くなっちゃったんだって。

お父さんはさすらいの旅人でどこに居るのか判らないんだって。

さすらいなんて格好良く聞こえるけど

フラフラしてるだけじゃないかとダイルは言っていた。

成人するまでは孤児院でお世話になって、しばらくは集落で働いて生活してたけど

そこで出会ったレイスのお姉さんの冒険談を聞いて

自分も冒険者になって旅をしようと思ったんだって!

きっと僕も出会ったあのレイスのお姉さんかな?

冒険者の数自体が少ないってサイじいも言ってたしね!

ダイルは鑑定の儀でウィザードの適正が出たからウィザードになったんだって!

そう言えば僕 鑑定の儀ってやってないや。

もうクラスは決めてあるからいいんだけどね!


そして次の日 いよいよ水中ダンジョンだ!

獣型になったダイルの尻尾に捕まって


ぶくぶくぶくっ


うわあ! イルカが居るよ!

マナティみたいなのやジュゴンみたいなのもいる!

あれはカバの獣人のお姉さん?

ぅわぁぁっ 服! 服着てないよ! 駄目だよカバのお姉さん!


ボコッ ゴポゴポッ・・・

あぁぁぁ、口空けちゃったよ・・・

ダイルが笑いながらも急いでダンジョンの中に入ってくれた。


ゲホッゲホッ はぁ苦しかった。


「獣人は水中で服なんか着ないぞ?」 


ダイルは笑う。

そうなんだね・・・

でも僕は目のやり場にこまっちゃうよ!


ダンジョンの中は済んだ空気に満たされていて思ったよりも快適だった。

水中だからもっと湿っているのかと思ったよ。


「このダンジョンはたまに俺が来るくらいで、穴場になっているんだ」


不思議とスルーアもフィィジアルも湧かなくて浸食シリーズも増えすぎず適度に湧くから

スタンピードの心配もない珍しいダンジョンになってるみたいだ。

水辺特有の魔物や魔獣だけなのかと思ったらそうでもないらしい。


「このダンジョンの最下層は10F 最下層まで行ってみるか?」


うん、そうだね!行けるなら行ってみたいや!


「では5Fに天井が光る一角があってそこだと魔獣や魔物も寄ってこないから

 そこで一泊するとしようか」


なるほど!安全地帯があるって事だね!

ゲームみたいだ(笑)


1F 浸食スライムやワーム スポアなんかの小型浸食シリーズが多かった。

僕やダイルだから小型に思えたのかな。

シカにはちょっと大きいかもしれないね!

小型なら大剣じゃなくてメイスでいいかなぁ。


バンバンッ バンッ ブンッ


なんだろうこれ、何かに似てるよね。

なんだったかなぁ。

あ、そうか! もぐら叩きに似てるよ!!


「ほう、やるな。ボブ! 良い一撃だ!」


やった!褒められた!サイじいや元冒険者の皆に特訓してもらったからね!

でもダイルも凄かったよ! 

雷が蜘蛛の巣みたいに網目に広がってビリビリッ!て!!!

凄い、凄いよダイル! 格好良い!! 

でもピカピカし過ぎて目がシパシパするよ!

うん、どこかの集落でサングラス買っておく方がよさそうだね・・・

サングラスってこの世界にもあるのかわからないけどっ。


2F 魔獣系浸食シリーズが多いかな?

浸食されてなければ 皆温厚で可愛いのにな。乱暴者以外は!

さすがにここは大きさも様々だったからもぐら叩きの様にはいかないね!

でもまだメイスでいいかな。


バンッ バンッ


うーん、あまり足元にじゃれ付かないで欲しいなあ。

ああ、もお! 頭は駄目だよ!

髪の毛クチャクチャしないでよ!

涎まみれになっちゃうよ!!


ヒュンッ ボゥッ! チリチリチリッ


熱い!熱いよダイル!!

僕の髪の毛まで燃えちゃってるよ!


「ブフッ・・・スマンスマン。飛び火したな」


もお!笑い事じゃないんだからね!

ド〇フの雷様みたいな頭になっちゃったよ!!


3F スケルトン系浸食シリーズだったんだけどね。

ちょっとコントみたいな出来事があって僕もゲイルも笑ってしまったんだ。

だって・・・

僕のクシャミでスケルトン達の頭蓋骨が飛んじゃったんだよ・・・


予想外だったから僕もダイルもスケルトン達でさえ 一瞬動きが止まったよね。

確かに僕巨人族で体も大きいけどさ

だからってそんなに威力あるクシャミかなぁ。

もしそうなら気を付けないと皆飛んじゃうかな?特にシカが!

それは駄目だよ!

なにかクシャミ対策も考えておかないとね!!


スケルトン達は

や〇し師匠の「メガネメガネ」コントみたいにワタワタ自分の頭蓋骨探しててさ。

その姿が滑稽で僕は可笑しくてしょうがなくてガイルは唖然としてた。

ここダンジョンだよ?

相手は浸食スケルトンなんだよ?

でもなんだかおもしろくてさ。

討伐しなきゃいけないから討伐したけど!

普通にフィールドで出会っていれば

きっと友達になれたんじゃないかなと思ったらちょっと切なかった。


「浸食された者達にとっても、討伐は救いなんだ。

 討伐される事で深淵なる闇の呪縛から魂が解放され家族の元や光の環に戻れるんだ」


そう言ってダイルはポンと肩を叩いてくれた。

読んで下さりありがとうございます。

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