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52:ポス草原の旅② ~カズラ~

んじゃ行ってみますかね。 ヨッコイショウイチ。


ライト点灯

1F 浸食スライムと・・・浸食ゴブリン?コボルト?

人型だとさすがに少しは抵抗があるが・・・

割り切るしかないよな。

まあここらはゲームでも初心者向きのMOBだしな。

チビと連携して槍で打ち捨てていく。

何故槍なのかって?

ふっ、テイマーには指定武器がなかったんだよな。

まぁ自由に武器を選べるって事で。


ザッシュザシュ グサッ バリバリバリッ


んむ、サクッと終わった。

ちなみに最後のバリバリはチビの引っ掻き攻撃の音である。



2F スルーアと浸食げっ歯類?・・・

これにはチビが大暴走した。

狂喜乱舞と言う言葉がピッタリかもしれない。


フゥゥゥゥッ フギャァーオッ!

ペシッ ポーンッ ゲーシゲシゲシゲシッ グチャ


俺は唖然として見ているしかなかった。

これはあれか。

皆でVCしているときに姐さんの背後から聞こえた

ハイテンションにゃんズが鼠の玩具で遊んでいる状態と同じか!


ポーンッ ズダダダダッ ガシッ

ぽーんっ ストトトトッ べしっ!


下手に手を出すと俺まで被害をこうむりそうであった。

姐さんが巻き込まれて悲鳴をあげていたのに今更ながら納得した俺だった。

うむ、気の済むまでやってくれたまえ・・・


倒した後も 尻尾ボンッ 目は爛々  フンムフンムと鼻息も荒い。

落ち着くまで待った方がいいなこれは(笑)

チビの飲み水を用意し自分も喉を潤わせた。


「落ち着いたか?チビ」


頃合いを見計らって声を掛けると


「楽しかったにゃ!LVもザックリ上がったにゃ!」


とご満悦である。



3F 大量の浸食カエル・・・

ありとあらゆる種類のカエルを集めました!みたいな・・・

いっそ水族館でカエルの特設会場でも作れるんじゃないかと思うくらいだ。

1匹2匹のアマガエル程度なら俺だって可愛いと思える。

だがこれだけの数は・・・うぇっぷっ。


生臭いのだ・・・

おまけにゲコゲコ ケロケロ グアグア うるさい。

サイズも大小様々で お前は五右衛門の化けガマか!と言いたくなった。


「手伝う?」

「だう?」

「う?」


鞄から子供達とアンが顔を出す。


「ああ、頼むわ」


なるべく早く終わらせたかった。

兎に角生臭せえんだよ、あの爬虫類や水生生物特有のさぁ・・・


ここでは子供たちが優秀だった。

キャッキャと楽しそうに走り回る。

んむ、あれは完全に遊び感覚だな・・・


「見て見てー! ほらこれ!」

「みてぇー!変なのみつけたー」


うぇっ、持ってくんなし!

変なのってそれセマダラヤドクガエルじゃねぇか!

放しなさい、ぺっしなさい! 捨てなさい!

危ねぇな、まったく。

暫くして倒し終わると子供達は眠たくなったと鞄にモソモソ戻って行った。

アンは物足りなかったらしくそのまま着いて来ることになった。


4F 浸食ヤマタノオロチ? ヒドラ?

名前はわからんが多頭のデカイ蛇・・・


ウネウネ クネクネ チロチロ 

そして生臭い・・・

なんの嫌がらせだよと言いたかった。

連続で生臭いとか勘弁してくれ。

まあ嘆いても仕方がないので チビ アン オレの3人で戦う。


ヴヴヴヴ、ヴァウワウッ  ウーッ、ンアァオォゥ  シャァァーッ


三つ巴と言うか某東宝映画の怪獣大戦争を見ているかのようだった。

蛇は粘液を纏っているのか牙も爪も通りにくいらしく多少苦戦しているようだった。

俺はと言えばあの2人にヒールしたりバフ掛けたり蛇にデバフ掛けたり。

ヘビがデカ過ぎて槍だとどうにもならなかったんだよ。

たまにこちらへ攻撃が来ても まあなんとかなる。

一応攻撃魔法もあるしな。

なんて思ってたら・・・


んむ、やらかしたな俺。

ヒョイパクッと飲み込まれちまった・・・

やっちまったなぁ~! 男は黙って! 蛇の餌!

って、そうじゃねぇだろ!

あー・・・、落ち着け俺。


なんかのゲームであったよな。

わざと蛇に飲み込まさせて内側から攻撃をするってのが。

んじゃここは短槍で攻撃しますかね。


ヨッコイショーイチ!

てぇいっ! ザシュッ ドスドス!


んー、さすが全身筋肉な蛇。

気分的に針でチクチクやっている気になってくる。

まぁ確かに攻撃は通りにくいが、まったく通さない訳ではない。

地味だがしかたないだろうな。


チクチクッ ザックリ

不意に手元の抵抗がなくなり肉壁が切り裂けた。

ブルブルッと一度大きく震え、その後グッと締め付けられたがすぐに緩み

ドタンと音が聞こえたので倒れたようだ。

多少・・・かなり?

時間はかかったがなんとか腹を切り裂いて出て来れた。

疲れた・・・。そしてやっぱり生臭い。

見れば俺もだが チビやアンも粘液だの血液だの色々と混じってベトベトだ。

うへぇ、ヤダヤダ。気持ち悪い。


「休憩にするか」


生活魔法を駆使して湯を沸かし体を洗い流した。


「あたしは毛繕いするからお風呂は遠慮するにゃー!」

 べーろべろべろっ うぇぇぇ ケロケロケロッ

「臭いニャ、マズイニャ、口の中が気持ち悪いにゃぁぁぁぁ」

「だから言ったじゃないか、呆れるワン」


結局はチビも風呂に浸かる事になった。

最初から大人しく浸かればよかったものを・・・


階段はまだ下へと伸びている。

次はなんだ? 生臭い物以外にしてほしいものだ。



5F 浸食キマイラ・・・

ゲームでならボス級じゃねぇか・・・

これは気合いれて慎重にやるほうがよさそうだ。

尻尾の蛇がやっかいだな。

頭のライオンも火を噴いて厄介だ。

なら頭の山羊の方からか?

んおっ

変な声がでた・・・

山羊が吹雪を吐き出してきやがった。 マジか・・・


バカデカイ図体の割に動きが俊敏だし

動きを封じる為の茨もほとんど効果が無い。

これはやっかいだしメンドクセエな。

チビやアンも苦戦しているようだ。


思い出せ俺。各ゲームでキマイラはどう倒していた。

イザやボブはどう立ち回っていた?

シカや姐さんは何を使っていた?

イザやボブはスタンを撃ってたな。

スタンスキルなんぞある訳が無いので参考に出来ないじゃないか。

姐さんは鞭で口を封じてた・・・口か!


「チビ 攻撃は無理にしなくてもいい。蛇の気を引き付けておいてくれるか!」


ウニャ!と返事が返って来た。

俺は鞭なんか持っていないので代わりにテイマースキルの茨を使えば・・・

シュタッ クルンと茨が巻き付く。

よし、口を封じるだけなら行けそうだ。


ライオンと山羊の口を縛って炎と氷の息吹を封じる。

もがく2つの頭を援護するかのように尻尾の蛇が毒液を吐く。

が、チビはヒョイヒョイとそれを避ける。さすが猫、身が軽い。

アンもここぞと山羊の喉元に食らいつく。

俺はもう1本の茨で足の動きを封じ込める。

暴れてすぐに解除されてしまうが、回数を重ねればいい。

俺のMP魔力が尽きるのが先か、キマイラの体力が尽きるのが先か・・・

徐々にキマイラの動きは鈍くなり、山羊の頭は力を無くしだらりと下がっている。

尻尾の蛇も毒液は枯れたのか撒き散らさなくなってぐったりしていた。

残るはライオンの頭か・・・

俺の体力もMPももう残り少ない。チビやアンの体力も残り少ないだろう。

頼むから倒れてくれと願いつつ 数少ない攻撃魔法を放った。


ドンッ


鈍い音と共にキマイラの巨体はようやく倒れた。

ハヒェェェ

つ・・・疲れた。

そもそもこれソロ向きじゃねぇだろ! と叫びたかった。

さすがに満身創痍でこの日はここにテントを張って休んだ。


あ"ー、疲れた。マジで疲れた。お布団お布団・・・

じゃねぇよ、まず飯だ。

キマイラからドロップしたラム肉を焼く。

山羊からラム肉・・・

気にするまい。気にしたら駄目だ、だって此処は異世界。


バクバクッ ムシャムシャ モグモグゴックンッ


チビもアンも子供達もペロリと平らげた後はぐっすりと寝た。

勿論俺もぐっすりだった。

はぁ、お布団はいいねぇ。 ぬくぬく。


「それおいらの尻尾だワン」


あ、失礼しました・・・

読んで下さりありがとうございます。

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