46:ムスペル砂漠 オアシス③ ~ボブ~
17歳になって 人口も増えたオアシスは小さな小さな集落みたいになってきた。
半年に一回 キャラバン隊は相変わらず来てくれているよ。
集落の中には引退した冒険者さんも3人住んでくれているんだよ。
引退したって言ってもまだ50歳くらいにしか見えなかった。
でも実年齢を聞くのは辞めておくよ!女性も居たからね!
前に【女性に年齢を聞くんじゃありません!】て姐さんに怒られたから。
元冒険者さん達は皆に身の守り方を教えてくれたよ!
僕とガブは大剣や大斧の扱い方も教えて貰ったよ!
ガードは割とうまく出来たけど、カウンターは難しかった。
うん、練習あるのみかな!
ちょっとだけ遠くのダンジョンにも行けるようになった!
今までのダンジョンよりも強い浸食シリーズが湧くんだよ。
ダンジョンは何故か浸食シリーズとスルーアしか湧かないみたいでレベリングには丁度いいんだよね。
アラクネのお姉さん達も食事に困らなくていいのだと言っていたしね!
そうそう スフィンクスにも出会ったんだよ!
何かの本で読んだみたいにナゾナゾ出されるのかなと思ったけど違った。
普通に雑談して友達になったよ!
最近この近くの岩山地帯に家族で引っ越してきたんだって!
聞いたら18人家族だって言うからびっくりしちゃったよ!
それからね、例の従属の魔法を使う悪い人が退治されたって通りすがりの冒険者さんが教えてくれたよ。
なんでもダークエルフのお姉さんが召喚獣でコテンパンにしたんだって!
奴隷として捕らわれてた人も魔法を解除して貰って解放されたって。
よかったね! 僕も安心したよ。
そのダークエルフのお姉さんと一度会った事が有るってサイじいが言ってた。
ダンジョンでスタンピードを防いだ時に一緒になったんだって!
その時は弓を使ってたらしくて凄く格好良かったて言ってた。
ダークエルフはすごく珍しいから目立つんだとも言ってたよ。
でもそのお姉さんはお酒が苦手みたいで、一口飲んだだけで真っ赤になってたって!
格好良いのにお酒はダメなのかぁ、ちょっと残念だと思ったのは内緒だよ!
僕もいつか会ってみたいなあ!
後ね ガブにパートナーが出来たよ!
相手はなんと 元冒険者のお兄さん!!
え?・・・お兄さん?
ガブそっち系の人だったんだ・・・
違う? 女の子?
えぇーーーー!!
カブ女の子だったの?
気付かなかったよ。ごめん、もうちょっと可愛い名前にするべきだったね。
そう言えばグレンと出会った時も最初男だと思ってたな・・・
初めてVCした時に驚いたらシカにいつもの事だって言われたっけな。
イザもカズラも毎度過ぎて恒例行事みたいになってるって笑ってたっけ。
皆 今頃どうしてるのかなぁ。
最近は僕の体付きもしっかり逞しくなってきたよ!
ガブは双子の赤ちゃんを産んだよ!凄く可愛いんだ!
僕はおじいちゃんになった気分だって言ったら せめて叔父にしとけって皆に笑われた!
そうかな?ガブは僕が育てたようなものだし。
うーん、まぁいいや。 双子ちゃんが可愛いのには変わりないし!!
そうそう、このムスペル砂漠には珍しいレイスのお姉さんがオアシスに立ち寄ってくれたんだよ。
古くからの友人を探して旅をしてるんだって!
来年には僕も旅に出るから同じだね!
旅の途中でいろいろな人に出会った話を聞かせてくれたよ!
パンダになりたいって言ってる人間の子供にも出会ったんだって!
お姉さんはパンダが解らなくてその子に聞いたら体の色が黒と白に分かれてる熊だって教えて貰ったみたいだ。
右半分が黒で左半分が白なのかしら、それとも上半分が黒で下半分が黒なのかしらとお姉さんは悩んでいるみたい。
そうか、こっちの世界のパンダって僕の知ってるパンダとは違うんだね!
僕も見てみたいなあ。
ドワーフに育てられてるノームの女の子にも出会ったんだって!
桃色のフワフワな髪が可愛かったて言うから シカかな?って思ったけど
親孝行でしっかりしてる子だったて聞いたから違うな!
僕だって最初はしっかりしてるなって思ってたよ!
でも、何も無い所で転ぶし、どうしてそうなるのか判らないハマり方するし。
リアルでも職場でお菓子の名前とボスの名前間違ったみたいだし
お客さんの名前と僕の名前を間違ったみたいだし。
ボブって名前の日本人ていないと思うんだ!
クラスの転生クエの時だってさ、
クエアイテムをNPCから購入する必要があったんだけど
鞄にない!って大騒ぎで買ったつもりで買ってなかったのかな?とかって連打してさ。
シカは鞄の枠が次の頁にもあるって判ってなかったんだ。
確認したらその頁にアイテムがいっぱいあってさ。
1個1.000.000もするんだよ?・・・
皆で何してんだって呆れたよ。
そんな子だから、心配で目が離せなくなって気が付いたら好きになっちゃったんだ。
だから シッカリした子とは違うよね!
お姉さんはこの後ポス草原て言う獣人族ビーストの多い場所を周るんだって!
獣人かあ、イザかカズラが居そうな場所だ!
ムスペルとは近いし僕の旅もそこから開始してもいいかも!
「また逢える気が致しますね」
お姉さんはそう言って旅立った。
うん、僕もそんな気がするよ! なんとなくだけど。
そしてサイじいが旅立った。
天命を全うしたから光の珠になって家族の元に帰るんだって隊長さんが教えてくれた。
僕達は小さなライトを作って空に打ち上げた。
サイじいが迷わず家族の元へ行けるように、ムスペルではそうやって送り出すんだって。
やがてサイじいの体は無数の小さな光の珠になって昇っていった。
僕にはその様子がケセランパサランがダンスをしているように見えたんだ。
サイじいが幸せな人生を送ってた証に思えて寂しくは無かった。
サイじい また会おうね!
サイじいは僕が成人したら旅に出るって知ってたから
どこにどんなMOBが居てどんなダンジョンがあって
どんな特徴があるかとかを手帳に纏めてくれていたんだね。
自分が旅してきた場所を細かく書いていてくれた。
一番最後のページには 愛する我が孫ボブへ なんて書いてあったから
さすがに泣いちゃったけど。
僕も皆に会ったらサイじいの事自慢するよ!
僕が大好きなサイじいだって!!
そしてついに18歳、成人したよ!
旅の準備をしなきゃね!
まずは皆に話をしないとだよね。
どう説明すればいいんだろう。
異世界とか神様がとか言ってもいいのかな、どうなんだろう。
でも隠したままだと説明出来ないし、うーん・・・
「僕、生き別れの仲間達を探す旅に出ようと思うんだ!」
「それは全員オーガなのか?」
「どうだろう、解んないや」
「解んないってボブ・・・
それでどうやって探すつもりなんだ」
「なんかおでこに仲間にしか見えない印があるって言われたんだよね。
だから出会えれば解るかなぁって」
「そうか。些か心配な気もするが、すでに決めたんだろ?」
「うん!!」
「ならばしっかりと準備を整えて行ってこい」
「ありがとう!」
オアシスの事はガブと隊長さんが心配するなと言ってくれたから安心だね!
皆に話をしてから僕は1週間掛けて準備をしたんだ。
棟梁さんは大剣の手入れをしてくれて、予備として大斧も持っていけて作ってくれた。
アラクネのお姉さんはわざわざ洞窟から出てきてくれて
サラの脱皮した皮とバジの脱皮した鱗で作った防具を渡してくれた!
皆で相談して用意してくれてたんだって!!
サラの皮とバジの鱗とアラクネの糸 ゲームだったら耐魔防具だよね!
コナの実もいっぱい持ったし!
皆にはそんなに持てるのかって聞かれたけど大丈夫!
神様から貰った収納鞄があるからね!
皆には言えないけど!
ちょっと遠回りになっちゃうけど
まずはポス草原に行ってから、南下して海を渡ってニブルに行ってみようかな。
姐さんが言ってた【ゲイザー】はニブルに居るらしいから!
サイじい情報だよ!
それじゃ皆 僕行くね!
元気でね!
喧嘩しないでね!
ご飯もしっかり食べるんだよ!
歯磨きもしっかりするんだよ!
またね!!
シカ「いらっしゃいませ!」
客 「シュトーレンはありますか?」
シカ「申し訳ありません。当店ではゲストーレンは扱っておりません。」
双方「 ・・・ 」
*ゲストーレンはお店にありません、ダンジョン内です!
これ 実話です。作者が元ネタではありません。友人が元ネタです!
友人「もぉだめだー。
シュトーレンて聞かれたのに普通にゲストーレンて答えちゃったよぉ」
作者「そりゃ客もゲストーレンて何?って固まるわなw」
友人「私も ん? ってなった・・・」
でしょうねーw
読んで下さりありがとうございます。




