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45:ムスペル砂漠 オアシス② ~ボブ~

ある日僕達の所にサイクロプスのおじいさんが辿り着いた。

残された時間を思い出のあるこのオアシスで過ごしたかったんだって。

名前もサイラスだったから僕達はサイじいって呼ぶことにしたよ。

皆で協力して家も作ってあげた、小さいけどごめんね。


サイじいはこのオアシスが孤児の集まる場所になってて驚いたみたい。

でもこれも縁があっての事だからと色々な事を教えてくれたんだ。

この大陸は砂漠地帯でムスペルと呼ばれ 元々は巨人族が住んでいたんだけど今は色々な種族が住んでいる事。


深淵の刻限と呼ばれる深夜帯にスルーアって呼ばれる存在が現れる事。

スルーアは生き物ではなく単なる存在でしかない。

エネルギーに引き寄せられて奪うだけの存在なんだって事。

オアシスや川などの水辺にはフィジアルって言うスルーアの変異体がいる事。

フィジアルはスルーアより少し強いから気を付けないといけないらしい。


少数だけど冒険者も居てスルーアや浸食シリーズや乱暴者の魔獣や魔物を退治をしてくれてる事。

ギルドと呼ばれる冒険者の組合があって、そこで登録すれば依頼内容によって報酬が貰える事。

ギルドとは別にパーティと呼ばれる集団があって気の合う人で集まってる事。

このパーティが僕の知ってるギルドみたいな感じなのかな。

皆でギルド作ってたからね!

この辺りには集落もなくてちょっと遠くまで行かないとギルドもないから今は冒険者登録できないみたい。


サイじいは木の皮で地図も作ってくれた!

このムスペル砂漠より南に ニブルと呼ばれる大陸があって大昔は闇の領域って呼ばれてたみたいだ。

西にはガルドと呼ばれる大陸があって、東にはヴァルと呼ばれる大陸があるんだって!

北と南には氷の大地が広がっていて特有の生き物がいるんだって教えてくれた!

北極や南極みたいな感じかな?

いつか行ってみたいけど寒そうだな。僕寒いの苦手だ。


そして大きな集落や街での注意事項なんかも教えてくれた!

巨人族以外はか弱いから接するときには注意する事。

とくにノームやノエル・ドワーフなどの小さな種族は気をつけなきゃね!

ってシカもきっとそのどれかだよね?!

踏み潰さないようにシカと一緒に居る時は肩に乗せておこう。うん、そうしよう!


後 ニブルの住人達は個性が強い見た目の人が多いみたいだから驚かないように気を付けないとね!

ニブルって名前から想像するとアンデッド系や闇属性系の人が多いのかな?

でも大丈夫!ゲームで見慣れてるし人間(ヒューマン)からすれば僕達も個性的じゃないかな?

だってサイじいも個性的だよ?ふふふ


それからサイじいは若い頃の冒険話も聞かせてくれた!

浸食された大型魔獣との戦いや 乱暴者との戦い。

海で出会った綺麗な人魚 空を飛びながら歌を歌ってる有翼人のお兄さん

僕も出会えるといいな!


サイじいは基本となる生活魔法の活用法や武器の扱い方も教えてくれた!

すごいね、サイじいなんでも知ってるね!

そんなサイじいにも苦手な物があって僕はちょっと驚いた。


「料理は苦手なんじゃよ」


それは仕方ないよね! 僕も苦手だよ! 同じだね!

サイじいは寝る時星の話もしてくれた。

でも僕 途中で寝落ちしちゃってたからあんまり覚えてないや。ごめんなさい。



そしてまた時間は経って

このオアシスには珍しくキャラバンの人達が立ち寄ったんだ。

キャラバンの人達は僕達が孤児だと知ると

時々此処に寄って必要な物があれば届けてくれると言ってくれた。

僕達のドロップ品の買取もやってくれるって!

サイじいは買取価格も適正だし信頼出来るって教えてくれた。


それにね、隊長さんが僕の大きさから年齢を教えてくれたんだ!

僕が12歳くらいでガブは5歳くらいだろうって!

さすがにバジとサラは判らなかったみたいだ。

ありがとう隊長さん!

キャラバンのメンバーには内緒だぞってお菓子もくれたんだよ!

嬉しいな、初めて食べるよお菓子なんて!



その後も時々 赤ちゃんを置いて行く大人は居て・・・

きっと何か事情はあるんだろうけど、なんだか悲しいなあ。

僕達は体も大きいし最初からお肉もお魚も食べれるけどさ。

それでも赤ちゃんだし今だってまだ子供なんだ。

今はサイじいが居てくれるし、僕だって前の世界の記憶があるしいいんだけどさ。

サイじいも僕もその内いつかこのオアシスから居なくなる・・・


子供にはね、やっぱり大人が必要だと思うんだ。

心の栄養って言うのかな。愛情を掛けてあげるべきなんだと思う。

じゃないと前の世界での僕みたいになっちゃうよ?

感情が無く、人とどう接していいのか判らない。

ゲームの中でさえNPCみたいに振る舞う・・・

そんな僕みたいになってほしくないな。


あ、今は大丈夫だよ?

姐さんに出会って 

ちょっと強引だったけどアチコチ一緒にダンジョンに連れて行って貰って

狩りのやり方も装備の揃え方も教えて貰って イザにも色々教えて貰って

本当に色々教えて貰ってシカやカズラも紹介してもらって一緒にギルドも作って

いっぱい笑っていっぱい泣いて時々怒って時々変な遊びもして・・・

灰色だった僕の世界に色を添えてくれたんだ。


そしてシカの事が大好きだって気付いても一歩を踏み出せなかった僕の背中を押してくれたのも姐さんだった。

だから僕は幸せだしオアシスの子供達にも幸せになって欲しいなあ。

その為に僕は何がしてあげられるだろう。


気が付くとオアシスには10人の子供が居た。

定期的に訪れてくれるキャラバンの隊長さんに予算を伝えて

ちゃんとした家を作ってくれる職人さんの手配をお願いした。

予算はサイじいと相談して皆で貯めたからたぶん大丈夫かな?・・・

一か月くらいして隊長さんはドワーフの職人さんを連れてきてくれた!

5人も来てくれたけど予算大丈夫かな?

素材はドロップ品を見せて使えそうな物は使って貰った。


棟梁っぽい職人さんが オリハルコンやアダマンタイトがあるのに気が付いて

僕の装備を作ってくれるって!

武器は勿論大剣でお願いしたよ!!

装備製作の人件費を聞いたらいらないって言われた。

駄目だよ、それは申し訳けないよ!

高いお金は払えないけど、少しでも受け取って欲しいて言ったら

子供が変な気を遣うんじゃないと怒られた。

子供は大人に甘えりゃいいんだと頭をポンポンされた。

とても暖かい気持ちになって凄く嬉しかったんだ。

ただ棟梁さんはドワーフだから僕の頭をポンポンするのに脚立に乗ってた(苦笑)

隊長さんも棟梁さんも他の大人の人も 皆凄く良い人達だ。


うわあ凄いや、3日で家出来ちゃったよ!さすがドワーフだね!

例えるなら下宿や学生寮みたいな感じ?

一階は大きな台所と食堂 それにお風呂とトイレ。

僕とサイじいの部屋も一階にある。

二階には個室が10部屋。

2種類あって小さい子用の2人部屋が5、大きい子用の1人部屋が5。

もしまた人数が増えたらその時はまた棟梁さんにお願いしよう。

僕達が使っていた今までの家は 通りすがりの旅人さんとかに使ってもらおうかな。



15歳になった頃 隊長さんから嫌な噂を聞いた。

ガルドで人間(ヒューマン)以外の子供が奴隷になってるって。

従属の魔法を使ってる悪い人が居るんだって・・・

さすがにここまでは来ないと思うけど気を付けるようにって教えてくれた。

どこにでも悪い人が居るんだなぁ、ちょっとムカつく。

僕はもう身長も2Mを超えたし大丈夫だろうけど小さい子達が狙われたら大変だ。

対人は得意じゃないんだけどな・・・

バジが考えがあるから任せてと、しばらく出かけてくるって行っちゃった。


1か月後 まだバジは帰ってこないけど、サラも考えがあるからと出かけて行った。

二人共 何処へ行ったんだろう。

心配だけどまずは僕が自分に出来る事をやらないとだよね!

念の為に、今までは一緒にダンジョンに潜ってたけどガブと交代で潜る事にした。

どっちかが残ってればいざって時に守れるからね。


半年後 バジとサラは戻って来た。

新しい家族と一緒に!!

繁殖期に入ってたんだって!

パートナーを見つけて子供達も・・・

うわあ沢山だ!

パートナーさんも子供達を守る為に一緒に住んでくれるって!

バジとサラが言ってた考えってこうゆう事だったのかな?

頼もしい仲間が増えたね。やったぁ!


あ、隊長さんだ!棟梁さんも居る!ナイスタイミング!

棟梁さーん!バジファミリーとサラファミリーの家増設お願いしまーす!!

え? 棟梁さんも仲間や家族と一緒にオアシスに住んでくれるの?

隊長さんも? 

そろそろ歳取って長旅が辛いから隊は若い物に任せて此処と近くの集落の往復にする?

うわあー。嬉しいな。

きっと皆僕達を心配してくれたんだね、口にはしないけど。

僕はもう嬉しくて嬉しくて 

前の世界でイザと踊った腹踊りを披露したよ!


ぶるんぶるんっ ぶるぶるぶるっ くいっくいっ


大人も子供も笑って喜んでくれた。へへ、よかったぁ!

読んで下さりありがとうございます。

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