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4:フライングで闇の領域へ④

さて、デュラハンさんと話をしなきゃな。

何をどう話そうかと考えてたら

クゥ・・・キュルルとお腹が鳴った・・・


「ダイニングでお食事にしましょうね」


アリアンさんに優しく微笑まれて赤面してしまった。

あぁ、穴が在ったら入りたい・・・



*** *** アリアン目線 *** ***


傷の手当ても済ませダイニングにお連れすると、そこには食事の用意がされておりました。


え?デュラハン様がお作りになったのですか?

作ると言ってもお肉を焼くだけではありますが。

炭になってない!しかも一口サイズに切り分けられてる?!

なんなら香草さえも添えられている?!

ええ?! グラスのお水にもライムのスライスが浮かんでる?!

うそでしょっ あのデュラハン様が?!


ハッ・・・私とした事が動揺して言葉遣いが・・・

失礼いたしました。


「デュラハン様が用意なさったのですか?」


「何を驚いておるのだ・・・

 アリアンの分も用意してある。席に着くがよい」


心外だと眉を顰めるデュラハン様の言葉通りテーブルには3人分の食事が並んでおりました。


「この程度であれば我にでも出来はする・・・

 だが、もう少し柔らかい物の方がよかっただろうか・・・」

「そうですねぇ。

 グレン様の場合でしたらお肉は焼くよりも

 スープなどの煮込んだ物の方がよかったかもしれませんね・・・」

「そうか・・・」

「いえ!大丈夫ですから!

 煮込み系より焼いた方が好きです!なんならミディアムレアが好きです!!」


いぇあのグレン様・・・

そうゆう意味ではなくてですね・・・

お体の事を考えればもう少し胃に優しい物の方が・・・

あぁぁぁ豪快に食べてらっしゃる・・・

余計な気苦労の様で大丈夫そうですね(苦笑)


「ゆっくり噛んで召し上がってくださいね」


そう言ってグレン様を見るとデュラハン様も少し驚いた表情でグレン様を見ていらっしゃいました。

意外と肝が据わってらっしゃるのか食欲はおありのようで安心いたしました。

さて私もデュラハン様がせっかく用意して下さったのですから頂くとしましょう。


パクッ モグモグ・・・


あら 焼き加減も塩加減も絶妙で美味しいではありませんか!


モグモグ・・・


それにしてもデュラハン様はいつその鎧を外されるのでしょうか?

鎧姿ではグレン様が委縮して・・・いらっしゃいませんね。

でもまぁお客様でいらっしゃいますしレディの前ですし?


「デュラハン様、いつまでそのお姿で?

 屋敷に戻られたのですからお脱ぎになってはいかがですか?

 私はかまいませんが、お脱ぎになった方がグレン様も安心なさるかと・・・」


食事を粗方終えたところでそう声を掛けておきました。

お食事が終わったら 居間でお茶を飲みながらグレン様のお話を伺う事とましょうか。



*** *** グレン視線 *** ***


「さて、グレン。少しは落ち着いたであろうか?

 よければ君の話を聞かせて欲しい。

 其方(そなた)は何者で 何故この闇の領域にいるのかを・・・」


鎧を外し着替えて戻って来たであろうデュラハンさんにそう言われた。

意外にもデュラハンさんはどこぞの映画に出てくるエルフを思わせるような麗しい壮年男性だった。

あー、イケメンでイケボ。

これCICAサンが居たら絶対二人で盛り上がったよね・・・

って今はそうじゃない。


儂が何者かはいいとして、何故此処にいるのか・・・

正直 儂が聞きたい(苦笑)

いや突き落とされたからだろうけども。


「たぶん、話したとしてもきっと信じられないと思いますし

 自分でもまだ理解も納得も出来てはいません。それでもよろしいでしょうか?」


二人と一匹がコクコクと頷いた。

なんでゲイザーくんまでいるのかは気にしないでおこう・・・うん。


自分でも状況を整理する為に思い出しながらゆっくり語る事にした。



***** 回想 *****


いつものようにPCに向かって座り VCで会話しながらMMOをやっていた。


CICA「ぼーーーぶぅーーーーー」


ボブ「しぃかぁーーーーーー」


変なバグで壁に埋まったCICAさんが相方であるボブに助けを求める。

ボブが駆け寄りあの手この手で救出を試みる。

儂らにとっては毎度おなじみの光景だった。


なんとか救出されてボブに抱っこしてもらったCICAさんがやって来る。

儂・イザ・KAZURAの3人はため息をつきながら顔を見合わせる。


KAZURA「おめぇはよぉー・・・何やってんだよ」

CICA「だって・・・あそこの露店が気になって・・・ね?」


ね?じゃねぇんだわ、首傾げてかわい子ぶってもダメなんだわ。


儂「人待たせてる時はよそ事に気ぃ取られるなつってんだろうが!」

CICA「あぃ・・・スンマソン・・・」


そう言いながらも目はアチコチと立ち並ぶ露店に泳いでいる。


KAZURA「だーかーらー。おめぇぜってぇ謝る気ねぇだろ」

CICA「そんなことないよ!反省はしてるんだよ!」


まぁしゃーない、これがいつもの日常会話だ。


天然過ぎる自覚の無いCICAさん

おっとりしてそうで実は頼もしいボブ

めんどくさがりだけど堅実派なKAZURA

口数は少ないけど頭脳派なイザ

ちょっと短気だけど面倒見はいい方だと思う儂(おせっかいとも言うが)

この五人でもぉ15年以上一緒に色々なゲームで遊んでいた。


この日も

今日は何処のダンジョンに行こうか

誰のどの装備を集めに行こうか、などを話し合っていた。


イザ「塔でも登る?」

儂「そうだな、塔なら各職の装備も素材も落ちるし」


いつもゲームを始める前に話し合ってからキャラメイクをするのでPTバランスはいい。


タンク1 近接アタッカー1 遠距離アタッカー1 バッファー兼デバッファー1 ヒーラー1


サブキャラも居るのでダンジョンに合わせて

皆でキャラを入れ替えてバランスを取るようにしている。


ボブ「じゃぁ今日は僕がタンクをやるよ!」

儂「OK んじゃ各自POTとか準備したら入り口集合で」

KAZURA「ほい・・・うぉっ?!」

儂「どした?」


その瞬間 ドンッと下から突き上げられるような大きな揺れを感じた。


儂「地震!!」

CICA「こっちも!!」

KAZURA「マジか、俺んとこもだ」

ボブ「僕も揺れてる!」

イザ「デカイな・・・」

儂「皆かよ、取り敢えず頭守って揺れ収まるまで机の下でもベットにでも避難!」


頭抱えてPT机の下に潜り込もうとしたら・・・


ピカッ? シュワッ?


どう表現していいのかは判らないけど、辺り一面真っ白になった。

たぶん光ったんだと思う。


んで気が付いてみれば神々しい光を身に纏った美麗な人がお茶の用意をしていた。

神々しいって思ったくらいだからきっと神様的な存在なんだろうと思う。

白昼夢? 儂寝落ちしたっけ? 

いぁ揺れたんだよな?じゃぁ大地震でも起きて天に召されたか?

そこの神々しい人!美麗な人!要説明! 呑気にお茶なんか淹れてないでさ。

お? カップの乗ったトレー持ってこっちに来る。説明してくれるかな?


カクン ズリッ ズシャーーッ!


ええぇぇ・・・


裾踏むなら んな長いの着てんじゃねぇよ!!

ってか、こっちにダイブしてくんなし! せめてそのトレーどっかにブン投げろ! 


ブンッ!


おぃ!こっちに投げ出してんじゃねぇよ!!


バシャッ! 

うん、こうなるよね。見事にお茶引っ被るよね・・・ハハハ・・・


ゴンッ!! 

うん、当然トレーも儂に当たるよね・・・


星が飛ぶとかピヨピヨ鳥が飛びまわるとか比喩表現かと思ったけど本当に飛ぶんだ・・・


ん?

待て待て待て。止まれ止まれ!

そこの美麗な髪っぽい人!そのままスライディングしてくるんじゃない!

手合わせてゴメンネポーズしてんじゃねぇわぁぁぁ!


ゴツンッ  ぴよぴよぴよっ  チカチカッ

ひよこがっ! 星がっ!


そう思いながらぼやけて遠くなる視界にの先に必死に手を伸ばすCICAさんとボブの姿が見えた。

更にその奥で神っぽい人に殴りかかろうとしてるイザを必死に止めているKAZURAの姿が見えた。


CICAーーー! ボブーーー! KAZURAーー! イザーー!


ちゃんと声が出たのかは解らないが儂は意識を手放した。

次に意識があったのはクシャミで目覚めた時で・・・今に至る。


イザ 「なんで止めたKAZURA」

KAZURA「んー・・・姐さんより先に殴ったら怒られそうだったから?」

一同(((そっちかーいっ!)))



読んで下さりありがとうございます。


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