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36:ポス草原 ポヨプ村① ~グレン~

やってきましたポス草原!

想像通り、アフリカのサバンナみたいだった。

野生動物も魔獣もすごくのびのびとしていて、ここは天国か!と言いたくなる。

野生動物や魔獣達を驚かせたくは無かったのでダイアウルフには戻って貰い徒歩で進む。


サファリや動物園・水族館。

大好きでよく行っていたっけな。

飼育員か獣医になりたかった。

家庭の事情で無理だったけど・・・。


もぉここに住んでしまいたいとさえ思ったが、まぁそうはいかないよね。

皆今幾つで何処にいるんだろうな。


と思いつつも のんびりと周る事にした。癒されるんだもんよ。

やっぱ猫科の生き物はいいねえ。

ライオン! 豹! チーター! サーバル! クロアシネコ!

ハァハァハァハァ 撫でまわしたい、モフりたいっ!


犬科もいいねえ。

リカオン! ジャッカル! ハイエナ!

そう言えばハイエナだけ犬科じゃなくてハイエナ科なんだっけ。

サバンナの草食動物はウシ科が多いんだっけな。

トムソンガゼルやインパラなんかは動物園でよくスケッチしてたっけ。


そんな事を考えながら歩いていると視界が急に真っ暗になった。

あー・・・穴に落ちた?

シカさんの事笑えないじゃん・・・

何の穴だろう、これ。


フンゴフンゴと何かの息がかかる。

目を凝らせば・・・

イボイノシシ?!

わあぁ、ごめんなさい!巣穴でしたか! すみませーーーんっ・・・

慌てて抜け出して平謝りした。


『子供に当たると危険なんだから気を付けてよね!』


仰る通りで・・・

ごめんなさい。


その後ものんびりと見て回り、時にはチーターと一緒に木の上で眠り

時にはラーテルを枕に眠り。

カバの親子と一緒に温泉に浸かったり、ワニの背中に乗せて貰って川を渡ったりとサバンナを・・・

ちがった、ポス草原を満喫していた。


そんなある日、ジャイアントデスストーカーと言うサソリ系の魔獣が急ぎ足で近づいて来た。

一瞬襲われるのかと思ったけどそうでは無かった。


『そこのアナタ! ダークエルフさん!

 ちょっと助けてくれないかしら? 怪我人が倒れているのよ。

 私だと触る事が出来ないし』


ジャイアントデスストーカー、行ってしまえば巨大サソリなんだけど、全身を覆っている外郭は毒を含んでおり触るだけでも体が麻痺してしまうという魔物なんだよね。

なので怪我人に触れないと言われてしまえば無視する事も出来ず。

ジャイアントデスストーカーに付いて行く事になった。


案内された先はダンジョン。

まさかのダンジョンの中?

少し戸惑ったがジャイアントデスストーカーが急かすので中へ入って見る。

1Fは討伐済みのようで深淵スライムもおらずスムーズに進む事が出来た。

続く2Fも途中まではスムーズに進めた。

奥に進むにつれちらほらと深淵シリーズの姿が確認できるようになり、倒れて意識を失っているであろう青年を守るように2匹のデスストーカーが戦っているのが見えた。


「あれは?」

『うちの子供達よ』


青年とどういった関係性なのかは解らないがまずは助ける事にした。


(おいでませ ヒュドラくん!)


なんとなく属性を毒で合わせてみようかなとヒュドラ君を呼んでみた。

ズモモッと姿を現すヒュドラくん、今日は人型だった。


『 呼んだか主 』

「あの倒れた青年と周囲のデスストーカー達を助けてあげて」

『 承知 』


ヒュドラくんがバッサバサと戦っている間に青年の様子を見て見る。

背中には大きな刃物傷、大量の出血により気を失っているようだった。

マジックバックから止血草を取り出し手で揉んだ後傷口に当てていく。

応急処置としてはまぁこれでいいだろう。


「ヒュドラくん、討伐目的じゃないからもういいよ、青年連れて脱出しよう」

『 承知 』


ヒュドラくんが青年を抱きかかえたのを確認し一斉に出口へと駆け抜ける。

リポップもまだだからすんなりとダンジョンからは抜け出す事が出来た。

この青年を切りつけた奴がすでに逃げているのかまだダンジョン内に居るのか不明なのでダンジョンから離れた場所へと移動する。

簡易テントを設置し、青年を寝かせた。

改めて青年の傷を確認してみると、やはり深淵シリーズなどではなく人為的な傷だった。

まぁ治療を済ませて本人の意識が戻れば事情も聴く事が出来るだろう。


マジックバックをガサゴソと漁って回復ポーションを2本取り出し1本を傷口に掛ける。

じんわりと傷が塞がって行く様子は何度見ても不思議な気分になる。

もう1本は少量ずつ口に含ませた。

こくりと飲み込む力があったのでよかったと思う。

後は寝かせて回復を待てばいい。


大量の血を失っているので、貧血に良い食事も用意しておきたい。

鉄分が豊富な物・・・

法蓮草?・・・  ないね。

ならばレバー?・・・ 狩ってくるか・・・

と思ったらジャイアントデスストーカーがすでに狩りをしてくれていた。

礼を言って解体しようと思ったら、ヒュドラくんがササッとやってくれていた。


『『 料理は任せた! 』』


『私が触ると毒が・・・ね?

 そもそも人と違って料理はしないし』

『 我も料理は試したことがない・・・ 』


確かに2人共料理とは無縁な気がする。

料理は苦手ではないから別に良いのだけどもね。


レバーは唐揚げとペーストにしてマジックバックへ。

インパラ系の魔獣だったので、肉は切り分けた後そのまま葉にくるんでマジックバックへ。

今日は残ったアバラ肉をシンプルに焼く事に。

ジャイアントデスストーカー達は生の方がいいと言うのでそのまま。

ヒュドラくんは儂と同じく焼いたのが食べたいらしい。

軽く塩を振ってから直火で焼けば辺りに香ばしい匂いが広がる。


グゥー・・・


誰の腹?

と思えば意識を失ったままの青年の腹のようだった。

かわいそうだが意識の無いまま食べさせる訳もいかず・・・

意識を取り戻したら、たんまりと食べさせてあげよう。

とは言え脱水防止の為に時々水分補給として水を飲ませた。

雛鳥の給餌みたいだと面白がってヒュドラくんが担当してくれたのだけど、一気に飲ませないように気を付けてね?


青年を保護してから3日目、ようやく青年は目を覚ました。


「生きて、いるのか・・・

 ん?

 ぅわぁぁぁぁっ」


心配そうに見つめていたジャイアントデスストーカーに驚いたようだ。

まぁそりゃね?

意識を取り戻して目を開けたら、まっさきにジャイアントデスストーカーの顔がみえりゃ驚きもするよなぁ。


「そのジャイアントデスストーカーの一家が助けてくれたんだよ」


と声を掛ければ青年はまた驚いていた。

人が居るとは思わなかったらしい・・・

いや落ち着いて考えれば自力での脱出無理なのわかるだろ。


「死神が迎えに来たのかと・・・」

「あ”?」


儂が死神に見えるってか!失礼な!


『 主・・・デスサイズを仕舞う方がよいのでは? 』


ハッ、これか!この鎌のせいか!

デスサイズを仕舞い鉄扇を取り出す。

一応は武器を手元に置いておかないと何があるか解らないからね。


誤解を解くため?に自己紹介をしておく。

ここでも儂は自分の名前をシショーと名乗っておいた。

青年はエドガーと言う名前だそうな。

エドガーは冒険者でガルドで知り合った別の冒険者パーティと共に旅をしていたのだそうだ。

近くにあるポヨプという村で依頼を受けダンジョンに向かった所、背後から襲われたらしい。


なるほどね。

今回は運よく、このジャイアントデスストーカー達が助けてくれたから良かったけど、信頼できる相手かどうかはよく見極めるようにと苦言を呈しておいた。

ジャイアントデスストーカー曰く


『どう見ても性悪そうなパーティとお人好しそうな子が

 ダンジョンに入っていくんだもの。

 母として放っておけなかったのよ!』


だそうで・・・母性か!母性発揮したのか!


儂もなんとなく放っておく事が出来ず2~3日してエドガーの体力が戻ったらポヨプ村に行ってみる事にした。

まぁさすが若者よね、すぐに体力は戻っていた。

レバーの唐揚もモリモリと食べていたし。

なんなら串焼きもモリモリ食べてたし。


ジャイアントデスストーカーがすっかり懐き・・・いや元来世話好きなのだろうか。

エドガーにあれこれと世話をやいているようだった。

汚れた衣服はちゃんと洗えだとか、何が起こるか解らないんだからポーションは多めに持ち歩けとか。

直接触る事が出来ないとボヤくので、見かねたヒュドラくんがエドガーに毒抵抗の加護をあげていた。

まぁ毒抵抗の加護と言ってもジャイアントデスストーカーの毒に対応できる程度だと言ってたけれど、それってまぁまぁなLVでは?

あげくには


『直接会話が出来ないから不便なのよ!

 ほらやるわよ!従魔契約!

 え?テイマーじゃないから無理?

 何言ってるのお互いの同意があればテイマーじゃなくても出来るわよ!

 ぐだぐだ言ってないでさっさとやる!

 通訳するヒュドラさんだって大変なんだからね!』


と押しかけ従魔になってしまっていた。

名前はスーちゃん、コーくん、ピオくんと付けて貰っていたようだった。

スコーピオン・・・安直だなと思ったけど名付けセンスは儂もちょっと・・・なので何も言えなかった。

読んで下さりありがとうございます。

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