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31:ポス草原 名もなき島① ~イザーク~

名:イザーク 氏:ファンコル


種族:獣人ビースト

瞳の色:青

大きさ:平均より少し大きめ

職:タンカー


目の前にあるステータス画面の様な物に記入する。

但し職はすでに記入されていた。


おかしい、案内役は?

説明は?・・・

まぁ記入できたからいいけど。

確定ボタン?押せばいいのか? ポチッ

温かい物に包まれて・・・

眠りについた・・・



*** *** イシュカ神目線 *** ***


『スミマセン・・・・』


イシュカ神は溜息を付いた。

今目の前にいる案内役は何をやっているのかと・・・


『お腹の調子が悪くて・・・』


なんとも子供じみた言い訳である。

事の経緯は・・・

この案内役が腹を壊し厠に籠っている間にイザークが出発してしまい

説明が出来なかったと・・・

獣人は他種族と違い()()()()()()()()()が特殊なのでよくよく説明するようにと申しつけたというのに。


まったく・・・

仕方がない、一旦イザークの時の流れを止めよう。

まだ 宿る前でよかったと思う事にし直接出向いて説明するか。

イシュカ神は腰を上げた。

こやつに説明をさせて、また手違いがあっても困るでな。



*** *** イザ目線に戻る *** ***


あー・・・もし

もしもし・・・


そんな声が聞こえた気がして薄目を開けてみる。


ん?・・・

先程のイシュカ様?

まさか俺は舞い戻ってきた?

違う? そか、よかった。


では何故にイシュカ様が居るのだろう?

手違いがあった?・・・

え?・・・

どんな手違い?

説明不足? 

そりゃそうだろうな。

居ると言われた案内役が居なかったし。

それで、説明とはどんな事で?


なになに。

獣人は1年に4歳年を取ると。

犬と同じ様な感覚かな?

なので成人まで5年しかない。なるほど。

ん?じゃあ他の種族よりも短命って事?

その心配はない?

そかそか。それならいいか。


良くはない? 他の3人は成人まで18年??

俺だけ先に成人するって事かよ。

成人の年を揃えるから大丈夫だ? 3人より15年後に誕生させる?

あ、そう。


ん?・・・

誕生させる?

そう言えば転生とか言ってたな。

そうか、転生ならそりゃ誕生からだよな。

なっとk・・・

んん? なんか数合わなくないか?

3人の成人までは18年、俺は5年。

あとの一人は??


それはユングのヤラカシのせいでゴニョゴニョゴニョ?

誤魔化しやがったな・・・

他に説明不足とか無いだろうな・・・


収納鞄と鑑定スキルは所有者が少ないので使用時には注意を?

了解。

聞いておきたいことはあるか?答えられる範囲で答えると。

そうだな・・・


さっきは気にしなかったが、

獣人とザックリしてるが猫タイプとか熊タイプとか種類があるのでは?

ある? やっぱりか・・・

選択肢がなかったよな・・・

本来はランダムで選択肢は無い? 

が、不手際の詫びで選ばせてくれる?

じゃあ虎で! 虎ならきっと皆解り易いだろう。

俺がゲームで獣人を選ぶときは虎と決まっていたからな。


では、しばし眠って時が来るのを待つように?

へいへい、寝ますよ。おやすみ・・・


スヤスヤ・・・



もしもし。 もしもーし・・・


んぁ?・・・ 生まれるタイミングか?

あれ?イシュカ様・・・

たびたび申し訳ない? 

今度はなんだよ?

目印を受けるのを忘れた?

仲間にしか見えないので、これを目印にさがせ?

それって大切な事なんじゃないのか?おいぃぃぃぃぃ。


ペタッ


今度こそさらばじゃ。そう言って父神は消えて言った。

本当だろうな?と疑いつつ俺は再び眠りについた。




永い眠りの中で俺は夢を見ていた。

俺とグレンと今年の春100歳で天寿を全うしたばあちゃんの夢だ。


『○○、畑手伝ってけれ』


いつも3人で畑仕事をやっていた。

遅い雪解けを待って 土を耕し肥料を撒き種を蒔く。

グレンは畑作業もそつなくこなし、ばあちゃんはご満悦である。


『おめ達のお陰で今年もいい野菜がでけそうだな』


99まで雪掻きも薪割も軽々やってのけていた。

畑仕事の後3人で食べるアイスが美味かったけ。

ばあちゃんの作る鯖の味噌煮、もう一回食いたかったなあ。

そんな事を思っていたら ぐぅと腹が鳴った。


寝ていても腹はへるのかよ。

と思っていたら 


「あら、お腹空いたのね」


と優しい声が聞こえた。


声?

ん? ・・・


いつのまにやら生まれていたらしい・・・

まだ目は見えていないようだが声は聞こえる。


本能だろうか、クンクンと甘い匂いがする方へモゾモゾと進む。

が、実際には動けていなかったのだろう。

パクッと咥えられて甘い匂いの元へポイッと落とされた。

チュパチュパ ぢゅうぢゅう ごきゅっ

これは・・・

()()かっ!


もにもにっ ごきゅごきゅっ


あー、これさ。

赤ん坊の記憶ってなくて正解かも。

なんかこっぱずかしい・・・

俺が元の記憶があるからそう思うのか?


ぢゅうぢゅうと飲めばすぐに空腹は満たされ眠くなる。

ウトウトし始めれば ジョリッと尻をされる。

ああ、グレンが言ってたっけ。

犬や猫の赤ん坊はまだ自力で排泄出来ないから、母親が舐めて刺激を与えて促すのだと。

なるほどと理屈は解ってもこっぱずかしいのは変らない。


神様、このこっぱずかしい期間は自我いらなかったかも・・・


しばらくすれば、ボンヤリと視界が開けた。

どうやら俺には同時に産まれた兄弟がいるらしい。

俺の他にモソモソと動く黄色い毛玉が2つ。

母親が居ない間は3匹で寄り添い 互いの尻尾や手足をカプカプやってみたりする。


たまに吸われたりもする・・・

尻尾は遠慮したい・・・

場所が少しズレれば事故になりそうだ。

何がとは・・・言わない。言えない。言いたくない・・・


視界がはっきりしてきた。

ヨロヨロとだが動けるようにもなった。

どうやら兄弟は雌1匹雄1匹のようだ。

時々様子を見に来る小さめの兄弟と中くらいの兄弟も居る。

両親と兄弟の他に年配の女性が見えたので祖母なのだろう。

この小さな毛玉3兄弟以外は人型をしているので間違いなく獣人だと思う。

視界が開けるまでは本当に獣人なのか、まさか普通に虎じゃないだろうなと不安だったのだ。


そしてふと思った。

俺だけ白い?・・・

いや、よく見れば中くらいの兄弟の1人は黒っぽい?

まあもう少し育てばハッキリとわかるだろう・・・


小さな歯がヒョッコリと生え始めた。

そのせいか歯茎が痒くてたまらないので兄弟共々手当たり次第に噛むようになった。

もっともほぼ歯茎なので居たくはないがこそばい。

手足も随分としっかりしたように思う。

てちてち走り回ると時々ポテッとこけたりするが

飼っていた猫達も子猫の時はこんな感じだったなと懐かしく思った。


食事も乳から柔らかな肉へと変わった。

まだ上手く嚙み切れないので小さく切ってある物だ。

粗挽きのミンチ肉に近い感じがする。

元の世界の虎の様な生肉でなくてよかったと思った。

生肉だとビタミンやミネラルも取れるから肉だけでよいらしいが、ここではそうはいかない。

野菜や果物などもちゃんと食べていた。


ある日兄がサクランボの様な小さな赤い実をくれたので食べてみた。

レモンのような酸っぱさでアニメで見るようなプルプルした動きになって腰が抜けた。

兄はしこたま父に怒られていたが、小さな子あるあるじゃないんだろうか(苦笑)

よくTVや動画でも見てたし・・・

初めて〇〇食べた時の反応・・・みたいな?


そして片言が話せるようになった。

この頃にはしっかりと走れるようにもなり、周囲の景色も見る余裕が出て来た。


簡素だがきちんと手入れされた家。

家の横には川が流れており、その先には小高い山が見える。

広がる草原には獣人や野生動物、魔獣も居た。

空を飛んでいるあれはワイバーンか?

月?が3つあるのには驚いたが・・・

すこぶる穏やかなファンタジーの世界みたいだと思った。

読んで下さりありがとうございます。

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