28:ガルド大陸 ドルガの町とアポイ集落 ~グレン~
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どうやら地図を眺めながら寝てしまったらしい。
夕食を食べ損ねた、残念。
身支度をして朝食へと降りる。
朝食後にそのまま発つ予定だった。
が・・・
食堂には人だかりが出来ていた。
気になるので何事かと近くに居た人に尋ねてみる。
どうやらどこかの集落のダンジョンでスタンピードの前兆が現れたらしい。
首都でなら冒険者も多いし誰かしら来てくれるだろうと依頼を出しに出向いた所
勇者だ聖女だ大賢者だと名乗る者がギルドに居たので頼んでみたが断られたそうだ・・・
まぁ・・・そりゃ・・・ね?
自称でしょうから・・・
他の冒険者達もスタンピードなんて冗談じゃないと断られたのだと言う。
なんじゃそりゃ・・・
断るくらいなら冒険者なんぞ辞めちまえ。
MOB討伐の為の冒険者じゃないのかよ・・・
このままでは集落は全滅だと途方に暮れているようだった。
さて・・・どうしたものか。
目立ちたくはない・・・
が、聞いちゃったもんなぁ・・・
せめて儂以外にも誰か名乗りあげてくんねえかな。
そうすりゃ儂も手を出しやすい。
と思っていたら一人のサイクロプスが名乗りを上げた。
「俺で良ければ手伝おう」
おお、さすがサイクロプス。漢気があっていいね!
他は?・・・名乗りはあがらないのか?
「俺もどこまで力になれるかは判らんが手伝おう」
おお、狼系の獣人か!さすがだね。
ん?二人だけ?
同族の人間は誰も名乗りを上げんのか?
マジで?・・・
「少し数を減らしていただけるだけでも助かります。
お二人共ありがとうございます」
その集落の者らしいおじさんは目に涙を浮かべていた。
しゃーない、手伝うか。
あの3人が町を出たあたりで声を掛けるとしよう。
気が付けばあれだけ集まっていたはずの人だかりは散っていた。
野次馬かよ!
席を立ち宿屋を後にする3人を追いかけようとして、宿屋の女の子に声を掛けられた。
「あの~。
お疲れだったのか昨日夕食に降りていらっしゃいませんでしたよね?
食事代も料金に含まれていますので、よかったらコレお持ち下さい」
そう言って手渡されたのは大きな葉に包まれた串焼きとパンだった。
「お気遣い感謝する、ありがとう」
「こちらこそありがとうございました、またのご利用お待ちしております」
首都は行きたくないが、ここならまた立ち寄ってもいいかもしれない。
女の子との挨拶をすませて宿を後にする。
人気が無い場所まで来たのを確認して声を掛けた。
「すみません、先程の様子を見ていたのですが。
良ければ私も手伝わせて貰えませんか?」
3人は怪訝な目で儂を見た。
何故あの場で声を掛けなかったのかと言う事だろうな。
「この見た目なので・・・あの場で声を掛けられず申し訳ない」
そう言ってフードを上げる。
「ああ・・・、そりゃあの場では無理だな」
「なるほど。ダークエルフは初めて見るな・・・」
納得してくれたようだった。
道中話を聞けば数日以内にもスタンピードは起こりそうな勢いらしい。
何度も手紙で依頼を出したがまったく来てもらえる気配がないので
おじさんが集落の代表として出向いてきたようだ。
「それにしてもヒューマンが誰も名乗りを上げないとか。残念過ぎる」
そう言えばおじさんがポツリと話してくれた。
120~30年前くらいに 何処からともなく自称勇者が現れた。
確かに強かったが傲慢で横暴だったようで最初こそ嫌厭されていたものの
次第に周囲に居た人達が感化され、その内自称聖女だの自称大賢者だのまで出始め
今の様な状態になったと・・・
「それ以前は人間も助け合って平和にくらしていたのですがねぇ」
あー・・・。なんでこう自称〇〇が多いのかね?
勇者だ聖女だ救世主だって自分で言うようなもんじゃねぇだろうに(苦笑)
あれか、そいつらがイシュカ神達が言っていた招かざる客か?
姫プや俺様だったのか? うえぇ・・・絶対関わりたくないや。
「ところで集落まではどの位掛かるのかな?」
「そうですね、徒歩ですと1週間くらいでしょうか。
何せ馬や馬車にも余裕が無くて・・・すみません」
1週間、歩くのは別に構わないけど
スタンピードが起こる前に間に合うのだろうか。
往路にも1週間は掛かったのだろうし
首都でも冒険者を探して幾日かは滞在しただろう。
「スタンピードが心配なので少し急ぐとするかね」
「ど、どうやって・・・」
「皆さん驚かないでくださいね?」
(ダイアウルフズ かもぉーんっ!)
ぽぽぽぽんっ グルルルゥ バゥワウッ!
「「「 おぉぉ・・・ぅ? 」」」
「儂のサモンでダイアウルフズだ。
これに乗っていこう。強くて足早いし可愛いし最高だろ?」
「ああ、格好良いな!」
「俺乗っても大丈夫だろうか・・・」
狼獣人は既視感があるのか平気そうだった。
むしろ喜んでいる。
サイクロプスは大柄な自分の体形を気にしているようだった。
おじさんは・・・
拝んでいた。 何故?(笑)
1匹のダイアフルフがムクッと巨大化すればサイクロプスは安心したようだった。
其々ダイアウルフに跨って出発。
景色が流れるように移り変わり、新幹線の車窓もどきパート2である。
流石はダイアウルフ。
あっという間に集落に着いた。
集落の名前はアポイと言うらしい。
簡素な建物の多い小さな集落と言った感じだろうか。
まずは少し休んでくれとおじさんの家に案内された。
休憩を取りながら自己紹介をしようと言う事になった。
今後戦いながら声を掛ける時に名前を呼ぶ方がいいしね。
「まずは私から。
ここアポイの長老の息子でパッセルといいます。
改めて、この度は引き受けて下さりありがとうございます」
「俺はポス草原に住むライカだ。宜しく頼む」
「俺はムスペル砂漠の冒険者でサイラスだ。宜しくな」
「儂は・・・シショーだ。宜しく」
いやだってグレンと名乗るのはね?
まだ控えたかったんだよ。
どうせ今まで知り合った人達には師匠って呼ばれてるし?
ハハハ・・・
短い休憩を終えて、まずは下見へと向かう事にした。
目的のダンジョンは集落出て東へ徒歩30分、ダイアウルフならすぐだった。
近付くにつれ様子が判るが・・・これはマズイ状況なのではなかろうか。
遠目でも判る。
すでにダンジョンから浸食シリーズが溢れ始めてるじゃないか・・・
「これは・・・」
「どうする?・・・」
ライカとサイラスも想定外の状況に戸惑ったようだった。
「うーん・・・ ヤバイよねこれ」
下見とかって言ってる場合じゃ無くなった気がする。
サモン出して一気にやっちまうかとも思ったが、儂等以外の気配があるんだよな。
隠れてるつもりかもしれないけど気配で丸わかりである。
出て来ずコソコソ隠れてるって事は嫌な予感しかしないよね・・・
「ライカ、サイラス。
離れた場所だけど後方にヘッポコな気配があるの判る?」
「「 ヘッポコ・・・ 」」
「うん。まぁヘッポコだから放っておいていいんだけどさ。
ダンジョンの奥までは正体隠しておきたいから儂弓にする」
「解った。まぁその方がいいだろうな」
「だな、ダークエルフってだけでも珍しいのにサモナーだからな」
そう、この世界ヒーラー・テイマー・サモナーの3職は少ないんだそうな。
先に教えてくれよイシュカ神!
シカさんとかカズラとかシカさんとかシカさんは大丈夫かなと不安がよぎった。
「んじゃサクッと処理しますかね」
ヨッコイショとマジックバックから長弓を取り出す。
このロングボウ、いつの間にかマジックバックに入ってたんだよね。
制作者の銘柄入りで、世界樹の名が刻まれていたよ・・・
ありがたいよ?有難いけど一言言ってほしかった。礼くらい言わせてくれぃ。
他の2人も各々武器を手にする。
サイラスがウォーハンマーでライカはダブルアックス。
見事に火力ゴリ押しPTだ(笑)
一斉に走りだし戦闘開始。
ブオンッ ドーンッ
おお、さすがはサイクロプス。
サイラスはパワーがある。すげぇー
ゴンゴンッ ゴンッ ドスッ
ライカも負けていない。動きも俊敏だしパワーもある。
さすが獣人といったところだろう。
儂も頑張らねば。
弓を天に向けて構えアローレインをイメージする。
広範囲のスキルでダンジョンの外では使い勝手が良いのだ。
シュタッ ザシュザシュザシュッ
降り注ぐ矢の雨はMOB達を射抜き次々と倒して行く。
一撃で仕留められなかった大型MOBなどはサイラスとライカが薙ぎ払って行く。
うん、いいねぇ。二人共格好良いよ!
ブォンッ ドカッ ゴンゴンッ ドサッ シュタタタタッ
なんだろうか、戦鬼3人が暴れてますみたいな状態になっている。
これ他の人がみたらどう思うんだろうか。
まぁどう思われても気にしないんだけども。
サイラスとライカが思ったより強かった事もあり
割と短時間でダンジョンから溢れていた浸食シリーズは片付いた。
さて問題は中だ。何層あるのか・・・
読んで下さりありがとうございます。




