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24:ヴァル大陸 小さな漁村ピリカ⑧ ~シカ~

11歳になった。

私達は五人家族になって益々賑やかで楽しい日々を送っていた。


お父さんは張り切ってフィン姉さんとジーク兄さんの部屋を増築した。

張り切りすぎてお父さんがギックリ腰になった時は慌てたなぁ。

ジーク兄さんがお父さんを抱えたままウロウロしてフィン姉さんに怒られたっけ。


勿論大きなお風呂も増築したよ。

ジーク兄さんは私のダガーの練習に付き合いながらも

手が空いてる時にはお父さんの手伝いを頑張った。

ものすごく張り切ってたけど

張り切りすぎて釘じゃなく壁を叩いて穴開けちゃっりもした。


その点フィン姉さんはそつなくお母さんを手伝ってたよぉ。

家畜の世話なんてお母さんよりも上手だったのにはビックリ!

私もお手伝いしたよ!

ただ・・・

ちょっと懐かれ過ぎて手伝ってるのか遊んでるのか解んなくなってるけど。


フィン姉さんとジーク兄さんは月に一度アチコチのダンジョンを巡回してる。

あの小さな異変は他のダンジョンには見られなかったけど 

最初に行ったあのダンジョンだけは時々肥大化したスルーアが湧いてるみたい。

見つけ次第に倒してるから大丈夫だってジーク兄さんは言ってたけどちょっと心配だ。


12歳になって私は背が伸びた。110㎝になってたよ、わーい。

でもここからはあと少ししか伸びないけど・・・

ジーク兄さんは約束通り双剣の扱い方を教えてくれるって。

だからお父さんが練習用の双剣を作ってくれたの。

持ちやすくて軽いのに切れ味は抜群! さすがお父さん!!

ドワーフは鍛冶職人としても有名だもんね。

お母さんは背が伸びたからって新しい服を作ってくれた。

丈夫で動きやすいのに可愛く作ってあって

フィン姉さんが羨ましいって言ったらフィン姉さんのも作ってあったの。

さすがお母さん。

デザインは少し違うけど同じ色に染めてあってお揃いで嬉しい♪


13歳になると今度はフィン姉さんが魔法の基礎を教えてくれると言ってくれた。

フィン姉さんの師匠は凄くスパルタだったんだって。

でも解かり易く教えてくれたから今の自分があるんだって言ってた。


魔法の練習用にとお母さんが小さな杖をくれたよ。

若い頃に使ってたのよって。

お母さんの若い頃って想像がつかないってうっかり口にしたら


「お母さんにだって若い頃はちゃんとあったんだよ!」


て笑いながら怒られた・・・。ごめしゃい。

お母さん特製ジャムの作り方も教えてもらった。

とっておきの蜂蜜が取れる場所も教えて貰って、この蜂蜜が秘訣なんだと言ってたのは内緒。


14歳になった頃にはお母さんと背が並んだ!

でもお父さんにはまだ届かないや。

これ以上伸びる事は無いから、ずっと追いつけないけども。

フィン姉さんとジーク兄さんには・・・・フッ(トオイメ)


この頃には双剣の扱いも魔法の扱いもちょっとだけ上手になったよぉ。

やっぱりゲームと違うから 体で感覚を覚えるのって大事だよねぇ。

皆は・・・なんかサクッと出来てそうな気がする。

フィン姉さんとジーク兄さんには、このまま頑張れば来年は一緒にダンジョンに行けそうだって言われた! やったぁー私頑張るよぉ。


15歳になった頃にあのダンジョンに連れて行って貰えるようになった。

やっと本格的にダンジョン討伐に参加出来るようになったのよ。

他のダンジョンには14歳の時から1Fのみ連れて行ってもらってたんけどね。

お陰でスライム狩りは上手になったよぉ。エッヘン(ドヤァ)


そして東の大陸から来た商人さんに深淵なる闇の浸食がまた少し広がってると聞いた。

でも若い冒険者さんが数人だけど増えたから大丈夫じゃないかとも言ってた。

若い冒険者さん頑張ってぇー!

私も後3年したら 冒険者デビューするからっ!


あ、その前に皆を探さなくっちゃ・・・

忘れてたなんて・・・

そんな事はないよ?

・・・へへ

・・・へへへ


16歳になった真夏の日

ちょっとした事件が起きちゃったよ。

暑くて呑み過ぎたジーク兄さんが 酔ってフィン姉さんのベットに・・・


早朝に響いたフィン姉さんの悲鳴で皆飛び起きたよね。

ジーク兄さんは二日酔いでなのか、この状況を察してなのか判らないけど真っ青になってた。

お父さんは目を白黒させてワタワタしてたっけ。

お母さんはお玉を振りかざして怒ってたっけ。

お玉が電気帯びてバチバチ言ってたから文字通り雷が落ちたかもしれない・・・

お母さんは絶対怒らせないようにしよう・・・

もぉジーク兄さんなにやってるのよ。

別にフィン姉さんと恋仲になるならなってもいいんだけどさぁ。

一応私 16歳ね? 花の思春期なんだから気を付けてよね!

中身はおばはんだけどさ。


ほとぼりが冷めるまでの間私はフィン姉さんと一緒に寝る事になった。

フィン姉さんは暑いからと氷魔法で部屋を涼しくしてくれたので快適な睡眠だった。


あ、もしかしたらジーク兄さんは

この冷気に誘われてフラフラとやって来たのかもしれないね。


17歳になった。

私はちょっとだけたくましくなったと思う。タブン・・・

この地域のダンジョンの2Fまでならどのダンジョンでも安定して行けるようになっていたから。


あのダンジョンの3Fも挑戦してみる事になって 

ついでだからとギルドの依頼も受けて。

長老のじぃちゃんがお小遣い稼ぎにとスライム退治の依頼も出してくれた!

ありがとう、じぃちゃん! 

お礼に抱き着いたらじぃちゃんの鼻の下が伸びたのは見なかった事にしてあげよう(笑)


順調に3Fまで下りてみるとそこには7体のスルーアが居たんだけどね。

相変わらず不気味だったけど大きさは普通?だったからホッとしたよね。


後ね、前は気付かなかったんだけどすっごく小さなスルーアも実は沢山いたのよ。

それがね・・・

ほら・・・

アレに見えてね?

黒くてカサカサ動く アレ。 そう皆の天敵 G!!!

一回そう思ったら、もうそれにしか見えなくてさぁ・・・

思わず靴を手に持って高速でバシバシ叩きまくってたら

フィン姉さんにもジーク兄さんにも凝視されてた(汗)

なんだったら普通サイズのスルーアにも凝視されてた気がする・・・

うん、キノセイって事で!!

だってこの世界には居ないけどさぁ、条件反射?

つい・・・ね?


ジーク兄さん達はさ、大きいから気にもならないだろうし

歩くだけで踏みつぶしてるから無視でもいいんだろうけどさぁ・・・

私にしたら気になる大きさなのよ!

カサカサッ バンッ!

まぁお陰で素材はたんまり出たんだけどさ・・・

お父さんのお土産にしよ~っと。


ちゃ・・・ちゃんと普通のスルーアも退治したからっ!

今度は付与無しだよ!

覚えてたからっ!忘れてなかったからっ!


そして無事討伐を終えて家に帰った後


「あれは父さんや母さんにも見せたかった」


とジーク兄さんは興奮して話してた。

フィン姉さんはクルクル動いてモルン(モルモット)みたいだったと笑ってた。

失礼な!


そしてこの年は少し異常だった。

冬眠前のオウルベアの群れが集落に現れたのよ。

普通のオウルベアよりも二周りくらい大きくて敵意むき出しの困ったちゃんだった。

畑が荒らされたり船が壊されたり家畜に被害がでたりもした。

今までこんな事はなかったらしく、住人に被害が出る前に討伐依頼が出てフィン姉さんとジーク兄さんと3人で戦った。


お母さんは呑気に


「肉は美味しいし毛皮はいいコートになるからなるべく綺麗に倒すんだよ!」


なぁんて言ってた。

2人が強いのを知ってるからだろうけど。

ジーク兄さんは眉を下げて『母さんの為だからな』と笑ってたっけ。


私が足を集中攻撃してフィン姉さんは魔法だと毛皮が燃えるからって弓で頭部を攻撃してた。

映画のエルフみたいに綺麗で格好良かった。

ジーク兄さんはスローイングナイフで心臓を射止めていて格好良かった!

被害はそんなに大きくならずに済んで良かったよ。

皆で修繕すれば1週間で戻りそうだって!一安心だね。

お母さんは上質な毛皮だって嬉しそうだったなぁ。


そして冬には雪が降った。

そりゃもぉ皆大騒ぎ。初めて見る雪だったらしいからね。

どのくらい積もるのかな。雪合戦とか出来るといいな。


夕方になるとお父さんが綺麗なレイスのお姉さんを連れて来た。


寒さは感じないと言ってたけど

あまりの大雪だからってお父さんが家に泊まるように誘ったんだって。

お姉さんは 自分がレイスだからって遠慮してたみたいだったけど


「大昔ならともかく、今の時代気にするんじゃないよ!」


ってお母さんが食事を出すと嬉しそうだった。

お姉さんは古い友人と逢うその日まで自分を鍛えながら旅をしてるんだって!

私も来年には成人して 皆を探す旅にでなきゃね?

でもそうしたら大好きな家族とは離れちゃうのかな?

ちょっと寂しいなぁ・・・


いっそ大きな幌馬車で皆で旅するのはどうだろう?

お父さんやお母さんは腰が痛くなっちゃうかなぁ・・・

ダメかなぁ・・・

来年の誕生日がきたら聞いてみよう。


そんな事を寝ながら考えてたから私はこの時気付かなかったのよね。

後で凄く後悔したんだけど・・・


この時もしレイスのお姉さんに

探してるお友達はどんな人なのか聞いていたら・・・

バングルで連絡先の交換をしていたら・・・

お互いが情報交換とか出来たかもしれなかったのになぁ。


次の朝起きた時にはお姉さんはもぉ旅立った後だった。

また何処かで逢えるといいなぁ。

お友達にも早く逢えるといいねぇなんてこの時は思ってた。 

読んで下さりありがとうございます。

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