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18:ヴァル大陸 小さな漁村ピリカ② ~シカ~

ヘッ クショィショィショィッ


人とは違うこのユニークなクシャミは健在だったよ・・・

そこは修正入れてくれてもよかったんだけどぉー?

皆にも散々笑われたなぁ・・・(トオイメ)

そうだよ、すっかり忘れてたけど皆はどうなったんだろう。

皆も同じようにバブちゃんからなんだろうか、きっとそうだよね。

皆のバブちゃん姿見てみたかったなぁ。

皆何処に産まれたんだろう、ご近所には居なさそうだったから違う場所なんだろうな。


どうやら此処はピリカと言う小さな漁村らしい。

漁村と言っても海じゃなくて、海みたいな湖に隣接しているよ。

ヴァルと言う大陸の南西に位置するみたい。

ここら辺は温暖な気候で冬でも比較的暖かく雪などは降る事が無いみたいなのよね。

とは言えやっぱり冬は寒いのだけども。

でも雪が降らないお陰で湖が凍り付く事も無く、1年中漁が出来るんだって。

此処に産まれ落ちたのは きっと魚好きって言ったのを考慮してくれたのかな。

違ったとしてもそう思う事にしよう。


さすがに刺身は無かったけど・・・そこは諦めよう。

皆と合流してから、試してみてもいいかもしれないね。

鮮度が良い海の魚ならいけそうな気がする。うん、楽しみにしておこう。

畑で働くお父さんを窓から見ながらそんな事を考えていた。


「シカ おやつだよ」

「あ~いっ」


優しい声がする。お母さんだ。


お母さんは暖かいミルクと小さな焼き菓子を出してくれた。

甘味は少ないけど、優しい素朴な味がする。

オートミールクッキーに似てるかな?

お母さんが作ってくれるこのお菓子が私は好きだった。



2歳を過ぎた頃、このドワーフの両親に聞いた事がある。


「おとしゃん おかしゃん おにゃじ。 シカ ちなう にゃんで?」


両親は困ったように眉を顰めらせて見つめ合った。

それでも幼いからと誤魔化す事はせずに話して聞かせてくれた。


お父さんは元々ドワーフらしく鉱山で働いてたんだって。

でも腰と膝を痛めちゃって、気候が温暖なこの地域に引っ越してきたんだって。

引っ越し途中の林で私を見つけたらしい。

私をとゆうか、私の入った卵を・・・

ノームって卵から産まれるんだぁ、知らなかったよ・・・

あれかな、『ピチピチの卵肌!』なんて言ったからかな?

違うよね?・・・

卵生なのにミルクで育つってカモノハシかよ!て思ったのは置いといて・・・


子供が居なかった二人は 神様からの贈り物だって喜んでくれたみたい。

うん、私も拾ってくれたのがこの両親で良かったと思う。えへへ。


種族の違いとかも気にならなかったと言っていた。

昔は種族ごとに棲み分けてたらしいんだけど、深淵の浸食が進んで

種族がどうこう言ってる場合じゃなくなって助け合わなきゃってなったみたい。

だから今はどの大陸のどの地域にでも 色んな種族が住んでいるから私達の様に

養子を迎えて種族が違う親子というのもたまにいるらしいよぉ。


どの種族も優しくて温厚な人が多いけど

極稀に悪意を持った人も居るから気をつけなきゃね、とも教えてくれた。


毎日お母さんの料理を手伝ったり(水遊びじゃないよ)

お父さんの畑を手伝ったり(どろんこ遊びじゃないよ)

時々は水辺で漁師さんのお手伝いをしたり(貝殻拾いとかじゃないよ)

幼い私を邪険にすることも無く村の皆は見守ってくれた。

お手伝いして 遊んで ご飯食べて 両親の話を聞かせて貰って

平凡ながらも楽しい日々を過ごして気が付けば私は5歳になっていた。

子供の成長は早いなぁ、まだ5歳だけどっ!


5歳からは勉強も始めた。

基礎知識は神様チートで頭に入ってるけど、やっぱりちゃんと勉強したいもんね。

と言うよりも教えて貰わないのに知ってたら変だしね・・・

それに10歳になると鑑定の儀ってのやって適正職業を見るんだって。

適正職業は複数表示されるから、その中から自分がやりたい職を決めれるみたい。

だから表示される適正職業を増やして選択肢を広げる為にも勉強はした方がいいってお母さんが言ってた。

もっとも私はもうクラス確定してるんだけど、言えないよね(苦笑)


最初はお母さんが買ってくれた幼児用の絵本で学んだよ。

まだ文字が読めないからお母さんとお父さん、交代で読み聞かせてくれたの。

どうやって植物が育つのか、お天気や季節がどう生活に関わっているのか。

後は基本の礼儀作法なんかも。

少しずつ文字を書く練習もしたよ。

紙は高級品だから地面に木の枝で書いて練習だよ。

子供の頃に地面に絵を描いて遊んだ事を思い出してちょっと懐かしかった。

って、私今子供だったよ・・・



7歳になると家庭教師の先生が付いたよ。

お母さんがたまたまこの村に来ていた冒険者で綺麗なエルフのお姉さんにお願いしてくれたみたい。

子供向けの本を読み聞かせてくれながら各種族の事や精霊や妖精の事、魔法についてなんかも教えて貰った。

生活魔法からまずは教えて貰った。

まだスキルLVも1だから小さなライトや可愛い風しか出なかったけど、それでも楽しかった。

ゲームの中の世界だと思ってた事が 今じゃ現実だよぉ~

テンション上がってワクワクしてたら椅子から落ちたよね・・・

皆の 「シカさんや・・・」 て声が聞こえた気がする。



8歳になると護身と体力作りを兼ねてダガーの使い方を人間(ヒューマン)の冒険者で格好良いお兄さんが教えてくれるようになったよ。

このお兄さんはエルフのお姉さんと冒険者仲間なんだって。

ふふふ、私達みたいだね。


私みたいに小柄な種族は剣だと重たいからダガーが丁度いいんだって教えてくれた。

ダガーと言うか双剣ならゲームでも使ってたから、扱い方も覚えやすいかも。

懐かしさと楽しさで私は張り切って頑張った。

でも頑張りすぎると 私はすぐに熱を出しちゃうのよね。

あぁー・・・これも修正入れて欲しかったぁ~。

元の世界でも私は疲れるとすぐに熱を出してたのよね・・・(トオイメ)


だからエルフのお姉さんもヒューマンのお兄さんも少し多めに休憩をはさんでくれた。

休憩の時には自分が見て来た景色や冒険の話なんかを聞かせてくれた。

ゲームや映画で見た世界が 自分の目で見られるのは楽しみだなぁ。

ハッ・・・フラフラしないように気を付けないとまた皆に怒られちゃう(汗)


お父さんやお母さんのお手伝いをして

ご飯を食べて寝て

漁師の皆のお手伝いをして

ご飯を食べて寝て

エルフのお姉さんと勉強して

ご飯を食べて寝て

人間のお兄さんとダガーの扱い方を勉強して

ご飯を食べて寝て

毎日が充実してて楽しかった。たまに熱出すけど・・・



そうして迎えた10歳のある日。

いよいよ今日は長老じぃちゃんの家で鑑定の儀だぁー!

ヒーラーに確定はしてても 選択肢として何が出るのか楽しみじゃない?

漁師とか農民とかも出ちゃうのかなぁ?

ふふふ、楽しみだなぁ。

ワクワクしながらお母さんと一緒に長老じぃちゃんの家に向かった。

お父さんは家でお祝いのご飯作って待ってるって!

めったにご飯を作らないけどお父さんのご飯は豪快でTHE男飯!て感じで美味しいんだよねぇ。

あぁヨダレでちゃう、ジュルッ・・・

なんて考えている内に長老じぃちゃんの家に着いた。


トントンッ


「長老のじぃちゃん、こんにちはー!」


扉を開けて中に入れば クリスマスノームみたいに長い髭を蓄えたじぃちゃんが朗らかに出迎えてくれる。


「ホッホッホッ よう来たのぅ。ささこっちにおいで」


バフッ 広げてくれた腕の中に元気よく飛び込む。


「無事元気に育って10歳を迎えてくれた、よかったのぅ。

 さぁ鑑定の儀を行うとしようかの」


じぃちゃんは中くらいの水晶像をテーブルに置いた。

ん? 待って? この像ってあのスットコ神に似てない?


「クーフィー様の水晶像に手をかざしてごらん」


あ、名前が違った、よかったぁスットコ神じゃなくて。

じぃちゃんに言われた通り水晶像にそっと触れてみる。


「文字が浮かび上がってくるじゃろう?

 それが適性のあるクラスじゃのぅ。

 何が見えるかの?」


鑑定結果は本人にしか見えないのだそうだ。

不遇職や希少職の差別や偏見を無くす為にそうなってるんだって。

良かった、ヒーラー確定なのがバレずに済むね!


んーと・・・


「シーフ ローグ 菓子職人 美容師 お母さん」(ヒーラー確定)


お母さん?! それって職業?! しかもお嫁さん飛び越してお母さん?!

なんとも言えない気持ちになって眉が八の字になったよね・・・。

聞いてたじぃちゃんとお母さんも一瞬驚いて笑い出した。


「ホッホッホッ こりゃなんとも・・・

 ホッホッホッ お母さんとな。 ホッホッホッホッ」


じぃちゃん笑いすぎ・・・


「そうかい、お母さんかい。母親にとっちゃ嬉しいねぇ。

 でもねシカ。お母さんになるなら

 まずは恋をして旦那さんを見つけてお嫁さんにならなきゃだね」


お母さんは満足そうにウンウン頷いてた。

菓子職人に美容師って元の世界の影響出てますかねこれ?

皆に会った時には聞いてみよう。皆どんなのが出た?って。


じぃちゃんにお礼を言ってから帰路についた。

じぃちゃんはまた遊びにおいでと言って飴をくれたよ。

ありがとうじぃちゃん。

お父さんは 適正にお母さんがあったて言ったらどんな反応するかなぁ。

早く伝えたくて砂浜をパタパタと走って帰る。


「お父さんただいま!あのねあのね・・・」


温かい出来立ての料理を手に出迎えてくれるお父さんに鑑定結果を伝えると


「お父さんは?! お父さんは無かったのか!!」


あのねお父さん?落ち着いてね?

私付いてないからっ! 女の子だからっ!

そんなお父さんの様子を見てお母さんはあきれて笑う。

お父さんの作った豪快な料理を囲んで 今日の出来事を楽しく語り合う。

とても幸せな一日だった。



お父さん「そうかぁ、お父さんは出なかったのかぁ・・・」

お母さん「出ても変でしょ?」

お父さん「でもなぁ・・・」

お母さん「職業でお母さんだって変なのに! 嬉しかったけど(ボソッ」

お父さん「ホラやっぱり嬉しかったんだろう?俺だって・・・俺だって・・・」

シカ 「あのね お父さんもお母さんも大好き!!」


   「「 シカーーーーーーー」」


       ムギュッ


             平和な一日でしたとさ by納屋の牛


読んで下さりありがとうございます。

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