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16:ヴァル大陸 エルフの里カリンバ③ ~グレン~

ダンジョンに向かった翌日は休息日として魔力体力の回復にあてつつ、魔法についてや浸食シリーズについてなどいわゆる座学を行った。

とは言え儂は学者とか専門家では無いので、あくまでも儂が知っている範囲でだ。

基本的な事を教えておけば後は経験で学んでいくだろうと思う。


経験に勝る物は無い、と儂は思っているので経験者から話を聞く事も大事だと思う。

なのでフィンドゥリルさんにも今後経験豊かそうな人に出会ったら話をしてみるといいと言っておいた。

単なる雑談や経験談から学ぶ事も多いからね。

まぁどうとらえるかは本人の心構え次第だけども。


そんなこんなで 今日は東のダンジョン、今日は西のダンジョン、今日は深森のダンジョンなどとやっていたら半年の月日が流れていた。

フィンドゥリルさんの装備も中々に良い物が揃ったんじゃないかと思う。

あれ以上の装備を目指すなら上級ダンジョンに潜るか腕の良いドワーフの職人に依頼するしかないんじゃないかな。


なので最後の仕上げとして、いろいろな魔法スキルを見せておこうと思う。

日替わりで イフリート:火魔法担当  カエサル:雷魔法担当  

      シヴァ:氷魔法担当  ガルーダ:風魔法担当  

      ウィンディーネ:水魔法担当  ヘラクレス:知魔法担当

と呼び出してスキルを披露して貰った。

勿論人目を避けてダンジョンの中でだ。

皆解かり易く、どうイメージすればいいのかも教えてくれていたのでフィンドゥリルさんは嬉しそうだった。

一応は上級魔法や最上級魔法も見せておいたのだけど、

使えるようになるにはLVとランクを上げる必要がある。

上級はLV50以上ランクはB以上だし、最上級はLV60以上でランクがA以上。

暫くは使えないけど見ておく事は後々役に立つだろう。

だってフィンドゥリルのLVは43まで上がっている。

戦い方だって随分と効率よくなって来た。

後は相性の良い同戦力くらいの仲間が見つかればレベリングも順調に進むだろう。



「フィンドゥリルさん、儂そろそろ旅立とうと思う。

 ここらの浸食シリーズは大分減ったし

 後はカリンバの冒険者達で対応できると思うんだよね」

「そうですか。

 実は私も旅に出て見ようかと。

 広がり続ける深淵なる闇に対応するのであれば

 他の場所のダンジョンも経験する方がいいと考えたんです。

 それに此処から南東にあるヨツクの町は貿易が盛んなので

 気の合う冒険者が見つかるかもしれませんし」

「なるほど。

 じゃあそこまでは一緒に行こうか」


地図を広げて見れば、カリンバとは山脈を挟んだ南東の海沿いにヨツクの町があった。

山脈越えかぁ・・・

これから寒くなる時期らしいから山脈越えはきつそうなんだよな。

バハ様でパッと飛んで移動でもいいんだけど、道中の様子もみたいしなぁ。

ダイアウルフに乗って移動でもいいか。


「山脈を迂回するとなれば1ヶ月くらいの行程でしょうか」

「え? まっすぐ山脈越えするよ?」

「へ?!」

「サモンに乗ればいいからね。多めに見ても10日あればいいんじゃないかな。

 途中でダンジョンあれば潜りたいし」

「あ、えっと、では防寒具を用意しますね・・・」

「2~3日で準備整えて出発しようか」


そうとなれば世界樹にお別れの挨拶をしておく事にした。


すっかりと紅葉に様変わりした森を抜けて世界樹の元に辿り着く。

以前と同じように幹に手をついて話しかける。


ご無沙汰してます、グレンです。

そろそろこの地から旅立とうと思いご挨拶にまいりました。


【久方ぶりですねグレン殿。

 フィンドゥリルも著しく成長したようで、世話を掛けました】


いえいえ、それでですね。クーフィー神に言伝をお願いしたいのですが。

初級のアイテム鑑定をフィンドゥリルさんに付与して欲しいんですよね。

ダンジョンでのドロップ品が鑑定出来ないと

自分の装備品がいつまでたっても整いませんし何よりですね・・・

フィンドゥリルさんコロッと騙されそうで心配です!


そう、良く言えば純心、悪く言えば警戒心が無い。

この町の人々の様にすべてが善良な人々とは言えないのだ。


【確かに狡賢い者も居たりしますね・・・

 解りました、クーフィー様に伝えておきましょう」


お願いします。それでは失礼しますね。


【グレン殿、どうかお元気で】


世界樹を後にして町に戻る。

途中数匹の乱暴者に遭遇したが鉄扇一振りで終わった。

ドロップ品は鉱石類だったので一応回収しておく。


町に戻った後は店を巡って食料やポーション、薬草などの補充を行った。

儂の準備はこれで終わりかな。

フィンドゥリルさんの家に戻って一休みしているとフィンドゥリルさんも戻って来た。


「どうしたの?その荷物の山・・・」


前見えてるの?と言うくらいの荷物を抱えている。


「旅に出る事を伝えたら長にあれもこれもと持たされまして・・・」

「その量持って旅するの無理じゃない?・・・」

「ですよね・・・」


仕方が無いのでヨツクの町までは儂のマジックバックに入れておく事にし

必要な物だけをフィンドゥリルさんがバックに詰めて持ち歩く事になった。

さあ、明日はいよいよ出発だ。



日の出と同時に起床して、お世話になったこの部屋の掃除を済ませる。

リビングに向かえば見送りにきてくれた長とフィンドゥリルさんの家族が揃っていた。


「気を付けて行くのよ。グレン師匠にご迷惑を掛けないようにね」

「フィンドゥリル姉ちゃんいいなぁ、僕も師匠と一緒に旅したかったな」

「またいつでも立ち寄ってくだされ」


何故かフィンドゥリルさんの家族には師匠と呼ばれていた。


「皆さんお世話になりました、どうかお元気で!」

「フィルトニス、母さんを困らせないようにね。

 ルココイアも母さんの手伝いするのよ?

 父さんはお酒飲み過ぎないで、長もですよ?

 それでは、行ってきます!」


別れを告げてカリンバの町を後にする。

森の中に入り町がすっかり見えなくなったのを確認すれば、ダイアウルフを2匹召喚する。


「さぁ乗って行こう」

「え?師匠?! 鞍も何も無しですか?」


ダイアウルフがオロオロするフィンドゥリルさんの首根っこを咥えてポイッと背中に乗せる。

儂はヨイショと背中に跨った。

行き先を告げれば鼻先をフンフンとさせ方向を確かめた後一気に走り出した。

グンッと体が流されそうになったけどすぐにシールドを張ってくれたので流されなくなった。

代わりに景色が流れるように移り変わる。

例えるなら新幹線の車窓だろうか。

早いけど情緒はまったくないね・・・


ダイアウフルがダンジョンを見つければ立ち寄ってくれ

儂とフィンドゥリルさんで討伐を行う。

たまになんじゃこりゃ、って感じの乱暴者に遭遇したりもする。

ずんぐりむっくりしたゴーレムだったり、馬の頭がハエトリ草になってたり。

鑑定する気も起こらず名前は知らない・・・

ただ、中華美人が出て来た時は鑑定して見た。

ヨウキヒって名前だったから楊貴妃なのかと思ったら・・・

漢字表記だと陽気妃だったらしく、めちゃくちゃ陽気なMOBだった。

名付けたの誰だ、誰のセンスだよ。おっさんだろ、オヤジギャグだろ?

まぁその笑い声が混乱スキルだったのでちょっと苦戦したけど。


これといった大きなトラブルもなく、野営したりイエティの巣に泊めて貰ったりと中々に楽しい旅となった。

カリンバの町を出て10日後、予定通りにヨツクの町に着いた。

町から少し離れた場所で降ろしてもらいダイアウルフには戻って貰った。

目立ってしまうからね。

そしてフードを被りヨツクの町へと入る。

貿易が盛んとあって港町の様だった。

ここでフィンドゥリルさんとはお別れだ。


「師匠はこれからどうするんですか?」


いつのまにやら師匠呼びになっている。


「儂は2~3日ここで体を休めたら海を渡ってみようかな。

 フィンドゥリルさんはここで仲間を探すんでしょ?」

「はい、気の合う仲間が見つかれば

 冒険者が居ない様な小さな村を周って見ようかと思ってます」

「そかそか、いつかまた何処かで遭遇する事もあるかもしれない。

 大丈夫だろうけど無理せずに元気でね!」

「師匠、色々とお世話になりました。ありがとうございました」

「お礼なら世界樹にしてあげて。んじゃまたね!」


フィンドゥリルさんと別れて宿を探す。

道中で貯まった素材なんかを売ったのでちょっとだけ贅沢な宿にしてみた。


おぉ~、ふかふかお布団。久しぶりだ。

湯舟もあったのでゆっくりとお湯に浸かる事も出来た。

次は何処へ行ってみようかとベットの上で地図を眺めていたら、いつの間にか寝落ちしたようだった。

スピィー・・・

読んで下さりありがとうございます。

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