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40:魔国での暮らし⑤ ~シカ~

姐さんのアドバイスを受けて魔石や他の素材も持ってオルガさんを訪ねて行った。

集落は簡素な小屋が立ち並びなんとなく形になり始めている様だった。


シカ「こんにちは~、オルガさんいらっしゃいますかぁ?」


声を掛けてみればオルガさんがひょっこりと穴から顔を出した。

ぶっ、ドワーフってモグラみたいに穴暮らしだったけ?

いやいや、そんな事はないよね・・・


オル「やぁ、どうしたんだい?」

シカ「お願いと言うか仕事の依頼と言うか・・・」

オル「どんな事だろうか」


光属性の杖が欲しい事を伝えるとオルガさんはちょっと困った顔になってしまった。


オル「住む家を作るのに精一杯でまだ工房を作ってないんだ」

シカ「あぁ~、そっか。住む場所が優先だもんねぇ」

クイ「家は後何軒くらい必要なんですか?」

オル「後5軒かな」

クイ「なるほど、では家の方は私達が手伝いましょうか。

   工房は専門知識が無いので手伝えませんが家造りならば

   手伝えると思いますよ」

イザ「そうだな、指示してくれれば手伝えるな」

ズラ「ふむ、俺はこの手じゃちと無理だから道でも整えるか」

ボブ「だったら僕は畑の下準備を手伝うよ!」

シカ「じゃ、じゃあ私は・・・炊き出しでもする?」

オル「頼めるか?」


私達はそれぞれに別れて手伝う事にした。

まずはマジックバックから建築資材として仕えそうな木材を取り出して行く。

これは姐さんに言われて魔国に来る前に溜めていた物だ。

当初は私達も家を作る予定だったけど、まさかのあの家が分裂で作る必要が無くなったからねぇ。

ででんっと山積みになった木材を見て住人達がざわめいた。

石材はゴーレムくんが調達してくれて大丈夫だったけど、木材が心もとなかったらしいのよね。

これで資材の心配は無くなったからよかったねぇ。


クインさんとドワーフ達でテキパキと指示を出して皆で組み上げていく。

凄いね、と言うかよくクインさんは家の作り方とか知ってたなぁ。


クイ「ん?グレンの知識だよ。ほら記憶の共有で私にも知識が流れてきたからね」

ズラ「へ?姐さん家作れるのか・・・」

イザ「そう言えば動画で家の作り方とか見てたような・・・」

ボブ「なんでそんなの見てるのさ姐さん・・・」

クイ「なんか小さな家シリーズが見てて面白かったらしい」

ズラ「なんだそれ・・・」

イザ「海外ではコンテナハウスとか1人用の極小住宅に人気が出始めてるとかで

   家の作り方とかリフォームのやり方とかの番組があったらしい」

ボブ「だからって見て覚えちゃうの?! さすが姐さんだよね・・・」

クイ「色々な事に興味持ってたんだろうね。

   記憶が流れて来た時私オーバーヒートするかと思ったわよ」

シカ「クインさんはそういうのに興味なかったの?」

クイ「さすがに家造りは・・・

   でも竃作ったりはしたかな」

  「「「 竃?! 」」」

クイ「ピザ窯欲しかったし、普通の竃も欲しかったから・・・」

ボブ「だからって自分で作ろうとする?!」

クイ「いやだって韓国バラエティでも作ってたし・・・」

イザ「ぶっ・・・もしかしてそれってあの俳優さんが出てるヤツ?」

クイ「xxxさんや▼▼▼さん?」

イザ「そそ」

クイ「なるほど、まさかの番組も同じのがあったんだね」

シカ「だからって自分で作ろうとか思わないってばぁ」

クイ「そう? おもしろかったよ?」


やっぱりクインさんも姐さんなんだと妙に納得する事が出来た1コマだった。

はっ、会話してる場合じゃない、炊き出しの準備しなきゃ。

食材もたんまりと用意して来てよかったよ。


人数が多いし、ここはやっぱり豚汁よねぇ。

とはいっても味噌は無いので、味付けは塩胡椒。つまりはシチューよね(汗)

大鍋を2つばかり借りて切った野菜をどんどん投げ入れて行く。

重たい水はゴーレムの子供達が運んでくれた。

まぁ子供と言っても私よりは大きいんだけどね。

ゴーレムの主食は岩石や鉱石だと聞いていたから、お礼のおやつにと使い道のない鉱石をあげると喜んでいた。


ごろんごろんっ  ごろごろごろっ


何の音かと思ったらカズラが転がっている音だった。

カズラの真似をして獣人の子供達も転がっているんだけど、毛玉が連なって転がっているようにしか見えなくてちょっと可愛いかも。

って、遊んでる場合じゃないんだけどなぁ。


ズラ「遊んでねぇよ!地均ししてんだよ!」

シカ「そうなんだ、失礼しました」(笑)


ボブは何してるのかなと気になって見て見れば、魔法を使ったのかな?

畑は綺麗になって畝まで出来上がっていた。

今はヒュドラさんと一緒に集落の囲いみたいなのを作ってるみたい。

そうよねぇ、囲いがある方が獣とか防げるもんねぇ。


よし、私も炊き出しの続きを作らないとね。

豚汁だけじゃ物足りないよね、皆肉体労働してるんだし。

串焼きでいいかなぁ。


リヴァ「我は山賊焼きを所望する」

シカ「 ぶっ 」

ヒュ「山賊焼きとはなんぞ?」

リヴァ「以前グレンが作ってくれた鳥のモモ焼きだ」

シカ「タレの材料あったかなぁ・・・」


リヴァさんは何処からあらわれたのだろうと思いながらバックの中を確認する。

えーっと、大蒜はある、生姜もある。唐辛子もあるし砂糖もある。

お、いけるんじゃない?と思ったら醤油が無かった。


シカ「ごめん、醤油がないから姐さんに作って貰って・・・」

リヴァ「んむ、残念だが仕方があるまい」

シカ「そのかわりお肉はブラックボアに奮発するから!」

ヒュ「おぉ、それは楽しみだ」

リヴァ「では出来上がるまでもう一仕事してこよう」

シカ「がんばってー」


ヒュドラさんはボブと囲い作ってるけどリヴァさんは何してるんだろう?

井戸を掘ってるの?確かに井戸は必須だよね!

川まで汲みに行くのは大変だもんねぇ。


さてさて、お肉を串に刺して焼いて行かないとだね。

・・・

量が多いから段々と腕が疲れて来た(汗)

すると数人の獣人女性が手伝いを申し出てくれたので串刺し作業はお願いした。

大鍋をセットして火を起こし、煮込み始めると徐々にいい匂いが立ち込めて

ぐぅ~・・・

誰かのお腹が鳴る音が聞こえた。

もう少し待ってねぇ~。

具材にあらかた火が通ったので串焼きの方も焼き始める。

脂が滴り益々いい匂いが広がって行く。

おたまとフライパンを手に持ってカンカンッと叩く。


シカ「もうすぐ出来るからお昼休憩にしよ~。

   皆お椀を・・・お椀で解るのかな。シチュー入れる物持って並んでね~」

  「「「はぁーい」」」


子供達にはたっぷり具材の入ったシチューを。

大人にはシチューと串焼き肉を。

配り終わった後は私達も休憩がてら食べる事にした。


ズラ「ふぃぃ~、疲れたな」

ボブ「僕はまだ元気だよ!」

ズラ「そりゃボブは魔法使ってるからな」

クイ「イザも肉体労働だけど元気そうだよ?」

イザ「まぁまだ大丈夫だな」

ズラ「そりゃイザの方が若いもんよ・・・」

シカ「でもこの世界に来てからは年齢差ないよね?姐さん以外は・・・」

ボブ「そ、そうだね・・・」

ズラ「それ姐さんの前では言うなよ・・・」

シカ「わ、判ってるよぅ・・・」

クイ「あ・・・」

ズラ「あ?・・・」

イザ「あ・・・」

シカ「え?・・・」

グレ「儂がどうしたって?」

ボブ「姐さん?!」

シカ「いやだってあのね、カズラが言い出しっぺなんだよ!」

ズラ「なんで俺のせいにするんだよ、言ったのはシカだろうが!」


ペシペシッとカズラと2人で叩かれた(汗)


グレ「今更歳とか気にしないけどもっ!

   しないけど言われるとね?」

シカズラ 「「 すんまそん・・・ 」」


またタイミングよく姐さんが現れたなぁと思ったら、子供達の遊具を作って持って来たんだって。

そっかぁ、小さな子も居るし遊具もあるといいよね。

ぶっ・・・

遊具っていうから小さな滑り台とかブランコなんかを想像してたのに、でででんっとアスレチックが設置された・・・

確かにこれなら色々な遊びも出来るし運動にもなるけども!

デュラハンさんやアリアンとか皆で作ったの? さすがだね・・・

子供達は食べ終わるとさっそく遊び始めた。

凄くたのしそうだけど、食べた後は少し休憩した方がいいんじゃないのかなぁ。


ボブ「シカー!これ凄く楽しいよ!」

シカ「ぶっ・・・」

イザ「なんでボブが子供と一緒になって遊んでるんだ」

ズラ「精霊だから童心に近いとか?」

クイ「まさかぁ・・・」

グレ「まぁボブだから諦めろ」

イザ「まぁ・・・変な部分で純粋だしな」

ズラ「確かに・・・」

クイ「あれ?シカちゃんは?」


えへへ・・・

ボブに誘われたし子供達も楽しそうだからつい私も遊んじゃったよ。

たまには童心に戻ってもいいよね?

あれ、皆の目が呆れてるような・・・キニシナイキニシナイ・・・


読んで下さりありがとうございます。

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