39:魔国での暮らし④ ~グレン~
『おはようございます、どうもシカです。
今日私は蜂蜜(普通の)を採りにきています。
見て下さいこの黄金に輝く蜂蜜!
宝石みたいですよねー!
私試食してみたんですけどお味の方もとても素晴らしかったんです!
今日はこの黄金に輝く天然の蜂蜜を
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グレ「シカさんや・・・
朝っぱらかな何をしているのかな?・・・」
シカ「えへ、えへへ・・・」
朝食後日課である畑仕事をやりにきたら、畑の横にある無花果の大木の洞にシカさんはハマっていた。
しかもいい感じにスカートがめくれてパンツ丸見えである。
グレ「シカさんや?
スポア柄のパンツなんて何処でみつけたよ・・・」
シカ「あ、これ? いつのまにかタンスに入ってた!」
グレ「いつのまにかって、
買った覚えがないなら不用心に履くんじゃありません!」
シカ「だってぇ、ちょっとブサカワでいいかなって・・・」
グレ「だってじゃないだろ。
もしそれに変な魔法とか仕込んであったらどうすんだよ」
シカ「はっ・・・」
グレ「今回は何事もなかったからいいけども、気を付ける様に!」
シカ「あぃ・・・」
グレ「で?」
シカ「で?・・・」
グレ「パンツ丸出しでなにしてんの?」
シカ「パンツ丸出し?!
姐さん、ちょっとここから引っ張り出して貰ってもいいかな?・・・」
仕方がないなと思い、シカさんを引っ張り出してみれば・・・
上半身ドップリと蜂蜜まみれになっている。
グレ「もう1回言うね?何してんの・・・」
シカ「いやちょっと無花果見つけたから少し採っておこうかなぁ~と。
梯子を上ったらちょうど洞に蜂蜜が溜まってるのが見えてね?
ちょーっとだけ蜂蜜も採ろうかな~って思ったらね?
ちょっと深さがあって前のめりになったらバランスを崩してね?
腰が引っかかって動けなくなってね?・・・
ジタバタもがいてたらはしごも倒れちゃってね?・・・
へへっ・・・えへへ・・・」
グレ「なんでこういう時にボブ呼ばないよ・・・」
シカ「いやそのボブもね?・・・」
ボブ「ごめん姐さん!僕今大きなウツボカズラと格闘中~!」
グレ「・・・」
そもそもだ、この無花果の木は儂が植えた物だ。
畑の横にあるんだから判りそうなもんだろ・・・
黙って採るんじゃねぇよ・・・
ついでに言えばこの蜂蜜だってベアビーと言う5㎝くらいの熊っぽい見た目の蜂がせっせと貯めた物だ。
グレ「シカさんや、一応この無花果も蜂蜜も儂の畑のだね。
とってもいいけどまずは一言声掛けようか?」
シカ「あ・・・、すんまそん・・・」
やれやれと思いつつ、シカさんに水を掛けてベトベトになっている蜂蜜を洗い流す。
グレ「風邪引く前に着替えて来い」
シカ「あぃ」
走って行くしかさんを眺めて溜息をつく。
バハ「シカは相変わらずか。少しは成長したのかと思えば・・・」
デュ「まぁ諦めた方がよいのでは」
アリ「愛らしい面もありますしね」
グレ「シカはあのままでいいんだよ。
儂等は今のままが一番バランスも取れてるだろうからな」
そう、お笑い担当が居てもいいと思うんだ。
なんせ長年この面子で遊んできた訳だし、今更急にシカさんが真面目になってカズラがお笑い担当になったりしたら・・・
いや、それはそれでおもろいかも?・・・
と言うよりもすでにカズラもお笑い担当か?
シカさんとカズラなんて掛け合い漫才みたいになってるしな。
楽しけりゃいいんだ楽しけりゃ。
そう思い畑仕事を始めた。
それから数日後、シカさんが山盛りのパンを運んできた。
以前儂が頼んでおいたやつだ。
儂も一応は作れるが、バターロールや丸パンなんだよね。
クロワッサンやブール、ハード系のパンも食べたいと思って頼んでおいたんだが、随分と時間掛かったな。
シカ「姐さんお待たせ!遅くなっちゃったからプリンもオマケで作ったよ」
グレ「お、マジか!やったぜ」
早速保管庫にパンを収納して行く。
シカ「ところで相談があるんだけど」
グレ「ん?どうした?」
シカ「ダンジョンに籠ってもさぁ、私の杖が出ないんだよねぇ。
杖でた!と思っても属性が違ったりでさぁ・・・なんでだろう?
あれかな、物欲センサー働いてるのかなぁ?」
グレ「シカさんが欲しいのは光属性の杖?」
シカ「うん、そう」
グレ「この大陸には光属性のダンジョンボスいないから
他の大陸のダンジョンに行くか作った方が早いんじゃないか?
魔石なら光属性のもあるだろうし」
シカ「ボスの属性って関係あるの?・・・」
グレ「あるよ。ボスと同じ属性装備しか落とさない」
シカ「マジでぇ・・・そりゃ出ない訳よねぇ」
グレ「オルガさんに頼んで作って貰え。魔石はあるか?」
シカ「うん、魔石はちゃんと光属性のも持ってるよぉ」
グレ「んじゃそれと他の材料も何が必要か聞いて、揃えてから頼め」
シカ「解った、そうするね」
シカさんや・・・ゲームでもボスの属性とドロップは関係していただろう・・・
と思ったけど、思い出したよ。
あの子あんま解って無くていつも儂とイザで揃えてやってたんだっけか・・・
グレ「イザクイカズラ、おるー?」
「「「 はいよ 」」」
グレ「シカが属性杖欲しいつーからオルガさんに頼めって言ったんだけどさ。
また変な事にならないように付き添ってやってくれる?」
イザ「わかった」
ズラ「あー、渡す魔石間違えたりとかありそうだよな」
クイ「途中で穴にハマったりもありそう」
グレ「だろ?・・・」
イザ「じゃあ皆で一緒に行って、
向こうで何か手伝えそうな事あったら手伝ってくるか」
グレ「頼むわ、儂が行くとまだ過剰接待が始まるから作業にならんのだ・・・」
「「「 あぁぁ~ 」」」
子供達は600年前の事を聞きたがるし、大人達は黒の世界樹の事を知っているから歓迎してもてなそうとするわで・・・
まずは作業しようぜと言っても「そんな恐れ多い」とやらせてくれないんだよ。
なので今はゴーレム達に頼んで手伝いに行ってもらっている。
とは言え、ゴーレムは力仕事は得意でも細かい作業は不向きだから皆が行けば作業もはかどって集落も形になって行くんじゃないかな。
リヴァ「ならば2つくらい井戸を掘っておこう」
グレ「ああ、そうだね。助かるよリヴァさん」
ヒュ「では我が獣除けに垣根でも作ろう」
グレ「ヒュドラくん、ありがとう」
儂も何か手伝いたいんだけどなぁと考えて、子供達用の遊具でも作る事にした。
獣人の子供なんかは体力がありあまっているだろうし、遊具があれば集落の中で遊べるし親も安心だろう。
と言う事でアスレチックを作る事にした。
ここで作り上げてバハさまに運んでもらえばいいかな。
バハ「んむ、任せろ」
デュ「ところでアスレチックとは?」
グレ「体を使って遊ぶ遊具を数種類組み合わせた物かな・・・」
上手く説明できないので、こんな感じだと絵を描いて見せた。
あくまでも子供達ようだから板や網目の感覚などは小さ目にしないとだな。
デュ「ふむ、ではこの雲梯部分は私が製作しよう」
アリ「では私はこのネットの部分を」
バハ「このブランコとやらは我が作ろう」
バル「ふむふむ、おもしろそうだな。
我がこのシーソーとやらを作ろうではないか」
ブラ「なるほどな、この滑り台とやらを引き受けよう」
待て待て、手伝ってくれるのはありがたいが儂が作る分が無くなりそうだ。
デュ「グレンはこの遊具の遊び方の看板を作ればよい」
グレ「なるほど、説明と注意事項は必要か。わかった」
儂はくれぐれも変な機能はつけないようにと皆に注意した。
言い聞かせておかないとこっそり変な加護とか付けそうだからね・・・
そうして皆でワイワイと言いながら制作に取り掛かった。
読んで下さりありがとうございます。




