38:魔国での暮らし③ ~クイン~
クイ「ねぇイザ。聞いてもいいかな?」
イザ「答えたくないけど一応聞いてみてくれ」
クイ「この地面から生えてる足って・・・」
イザ「シカだろうなぁ・・・」
クイ「やっぱり?・・・」
今日は皆で食糧確保のために狩りと採取に別れてフィールドワークをしていた。
私はイザとタロと一緒に狩りをしていて、ボブシカカズラは採取。
ニャアンズは適当に別れて行動していたハズだったのに・・・
イザ「それにしてもイチゴパンツって、色気ねぇな・・・」
クイ「でもシカちゃんらしいと言えばシカちゃんらしいじゃない?」
イザ「まぁ確かにな」
シカ「あのぉ・・・そろそろ助けて貰ってもいいかなぁ?」
クイ「そうだった、ごめんね。今助けるね」
イザと2人で足を持って引っ張ってはみたものの、びくともしない。
うーん、じゃあ腰にしてみる?
ぐいっ
シカ「いたたたっ、なんかカクッて腰抜けそう」
イザ「それくらい我慢しろよ」
シカ「えぇぇ・・・」
クイ「仕方がないなぁ、引いて駄目なら押してみるね?」
シカ「ふぇ?! 待って押すって・・・」
ぐいぐいっ! すぽんっ
クイ「よしっ」
シカ「よし!じゃなくて落ちてるんですけどぉぉぉぉ」
イザ「どっか入り口探して迎えにいくから動かず待ってろ」
シカ「あーーーーいぃーーーーーっ」
探すもなにも入り口はすぐに見つかったのだけど、どうやらダンジョンぽいのよね。
だからイザがバングルでボブやカズラを呼んだ。
そう言えば、珍しくボブがシカちゃんと一緒に居なかったよね。
ボブ「シカったら待ってていったのに、どっか行くんだもの!」
ズラ「またか・・・」
イザ「ハーネス必須にするか・・・」
クイ「その方がいいかもだね」
ズラ「まぁしゃーない。シカを迎えにいくか」
クイ「そうね、行くしかないよね」
ライトを点灯してゆっくりの中へと入って見る。
仲には大中小、様々なサイズの蜘蛛系モンスターがひしめき合っていた。
うわぁぁ、ちょっとこれ精神的に来るね・・・
斧を構えて準備する。
ズラ「必殺駄々っ子するから漏れたの頼む」
イザ「ほいさ」
クイ「了解」
ボブ「わかったよ!」
ヤダヤダヤダヤダヤダと地団太を踏むカズラなんだけどその掛け声要るのかな?
え? 声無しだと発動しなかったの? あらら・・・
半分くらいはカズラの駄々っ子で処理出来たんだけど、さすが蜘蛛と言うべきかな。
糸を使って壁や天井に張り付いて回避してたりもする。
ボブ「僕が茨で叩き落とすね!」
イザ「頼む」
ボブが叩き落とした蜘蛛達を叩き潰して行く。
クイ「大型はイザ任せた!」
イザ「OK!」
私の斧だと大型蜘蛛には苦戦してしまう、今度オルガさんにハンマーを造ってもらおうかな。
ガシガシと倒しながら進めば、次の部屋に続く扉が見えた。
ボブ「この先にシカが居るのかな?」
クイ「だといいね」
ギギギッ
鈍い音をたてながら扉を開いてみれば・・・
「遅い!」
グレンが居た?・・・
いや、よく見れば似てはいるけど違う。
イザ「グレンにそっくりな・・・」
ズラ「でもあれはアラクネイダクィーンだよな?」
クイ「すっごく似てるけどアラクネイダクィーンだね」
ボブ「でも姐さんに似てるって事はクインにも似てるって事だよね」
言われてみれば、そうか。
私にも似てるって事かぁ、なんか複雑な気分なんだけども?
ボブ「だ・・・駄目だよそんな際どい衣装着たら!!」
ズラ「見事なまでのボンキュッボンッ!」
クイ「ちょ、2人共見るとこソコ?!」
ズラ「まさかとは思うけど姐さんが分身したとかじゃないよな?」
イザ「違うとは思うけど、なんかやり辛いよなぁ」
ズラ「あの雰囲気がねぇ・・・いかにも姐さんだよな」
ボブ「どうする?僕あのままじゃ鼻血でそうだよ」
「「「出すな!」」」
クイ「あれ?そう言えばシカちゃんは何処?」
ズラ「あれ?」
当たりを見回せば、シカちゃんはぶら下がっていた。
蜘蛛の糸でグルグル巻きにされてミノムシみたいにブランブランと・・・
アラ「お話は終わったかしらぁ?
待ちくたびれておちびちゃんと遊んじゃったぁ~」
ボブ「うわぁシカごめんよぉー!後お姉さん服来てくださいっ!」
アラ「服は着てるじゃないよぉ~」
ボブ「でもそれって服とは言わないよ!布の面積少ないよ!」
アラ「・・・」
アラクネイダクィーンはじっと自分の服を見つめている。
アラ「ちょっとそこの私に似てる人!
この服どう思うかしらぁ?」
クイ「へ?! 私? いやよくお似合いだと思いますが!」
アラ「そうよねぇ?」
行き成り私に振らないで欲しいのだけど。
ちょっとボンデージ風でアラクネクィーンには似合ってると思う。
と言う事は勿論グレンにも似合いそうと言う事になって、ひいては私にも似合うって事になる・・・
えぇぇ・・・
アラ「やぁねぇ、この服の良さがわからないなんて。
そこの緑の僕ちゃんはまだまだおこちゃまって事よねぇ」
シカ「ボブはおこちゃまじゃないもんっ!脱いだらすごっ」
ズラ「お前は黙ってろ!」
シカ「えぇぇ・・・」
なんだか変な雰囲気になってしまって、いつ戦闘開始すればいいのか解らなくなってしまった。
どうするのよこれ・・・
『 あんたたちね。一回出て入り直してきなさい。
まったくなんで雄の冒険者って皆こうなのかしらね。
いい?私はBOSSなの、ここの主なの!!
服がこうなのは生まれつきだし私は気に入ってるのよ!
だいたい変な事言い出すから戦闘のタイミング逃したじゃない!
何しにダンジョンに来てるのよ!しっかりしてよね!プンスカッ 』
と放り出されてしまった。
いやダンジョン攻略に来た訳じゃなくて穴から落ちたシカちゃんを迎えに来ただけなんて言えなくなってしまった。
それにしてもダンジョンBOSSに入り直しをさせられる私達って一体・・・
シカ「あのさ、アラクネイダクィーンがボンキュッボンッなのは認めるけどさ
見とれてないで倒して助けてよぉ!」
イザ「俺達は見とれてないぞ!」
ズラ「そうそう。ボブだけだよ見とれてだの!」
ボブ「ええー!僕だけなの?!だって布の面積が少なかったじゃないかっ!
Vラインなんてギリギリだったし胸だってこうボンッっと!」
クイ「おばかっ!余計な事言わなくても!」
シカ「へぇー。よく見てるねボブ!
ごめんなさいねー。ボンッじゃなくて!」
ボブ「ああああごめんよシカー!つい出来心なんだよごめんよー!
シカはシカでボンッじゃないけど可愛いからぁー!!」
ズラ「墓穴掘ってるなあれ・・・」
イザ「だな・・・」
クイ「ボブ・・・」
その後拗ねるシカちゃんをなんとかなだめて、再びダンジョンに侵入する。
後で思えばシカちゃんは救出?出来たのだから入らなくてもよかったのよね。
今度はちゃんとした戦闘になって無事にアラクネイダクィーンも討伐出来たんだけど・・・
出来たんだけどね?
ズラ「白褌・・・」
イザ「赤褌・・・」
ボブ「緑褌・・・」
シカ「どピンクのフリフリキャミソール・・・」
クイ「ボンデージ・・・」
ドロップ品は下着セットだった。
しかも名前の刺繍入りってどういう事?!
スパイダーシルクや外殻が素材に使われているから高級下着ではあるけども!
あるけどもなんか微妙な気分・・・
帰宅後グレンに話したら大爆笑してた。
グレ「実は儂も貰ったんだよね」
イザ「へ?」
クイ「グレンもあのダンジョン行ったの?」
グレ「いや、あのダンジョンが出来た時にご丁寧にも引っ越し挨拶に来てさ。
粗品ですがどうぞと・・・」
「「 ぶっ 」」
なんだかモンスターなのに律儀なんだなぁと思ってしまった。
ちなみにカズラは『嫁様の分』と黒レースのキャミソールも貰ったそうだ・・・
読んで下さりありがとうございます。




