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15:ヴァル大陸 エルフの里カリンバ② ~グレン~

「何か解りました?」


フィンドゥリルさんに聞かれて儂はどう伝えるか少し考えた。

スットコ神が先走ったとは言える訳もなく、どうしたものかと考えた結果真実を少しだけ伝える事にした。


「今この世界では深淵なる闇の浸食が急激に進んでいるんです。

 現状のままだと対応が追い付かないので

 フィンドゥリルさんの戦闘能力を上げる手伝いを頼まれました」

「そうなのですね。

 なるほど、だから私は鑑定の儀でウィザード一択だったのでしょうか」


この世界は基本的にどの種族も長寿で、その為生涯て持てる子供の数は少なく多くても3人。

その上10歳までの生存率が低く、10歳になれば一安心という事で鑑定の儀を行い自分がどの職に向いているのかを調べるのだそうな。

その選定の儀で普通は3~5つの職が提示され、その中から自分が興味のある者を選ぶのだそうだがフィンドゥリルさんは1つしか提示されなかったと・・・


きっと彼女も巻き込まれた側なのだろう、だったら彼女にも何かしらの優遇措置があるのだろうか。

そっと鑑定して見たら魔力量が多かった。

なるほど、魔力量が多かったからウィザードだったのか、ウィザードだから魔力量が増えたのか。

どちらかは解らないけど、彼女も巻き込まれて(勝手にそう決めつけてしまった)深淵なる闇への対抗手段に選ばれてしまったのならばなるべく怪我などしないように戦い方を教えた方がいいのだろうと思った。


「と言う訳でフィンドゥリルさん、明日から装備を整えたり

 効率の良い戦い方を覚えたりと始めましょうか」

「はい!お願いします。

 あ、もしよろしければなのですが

 教えて頂く間は我が家に滞在なさいませんか?」


1人暮らしなので部屋も余っているし遠慮はいらないからと言って貰えたのでお言葉に甘える事にする。

どのくらいの期間になるか不明だし、長期滞在になれば費用もそれなりにかかるしね。


話が纏まったので世界樹を後にし町へと戻る。

道すがら話を聞けば、フィンドゥリルさんは180歳とまだまだ若手なのだそうだ。

2000年も生きる種族ならば180でも若手になるのか・・・

因みにダークエルフの儂の寿命も2000年らしい。

なるほど、それだけ長ければ儂の元実年齢くらい気にならないわな・・・


フィンドゥリルさんの家へと戻り案内された部屋はアクアマリンを思わせるような薄い水色で統一された部屋だった。


「自由に内装を変えて頂いても大丈夫ですよ」


と言われたけどこのままで十分居心地がよい。

そもそもが儂の趣味にしてしまえば、モノトーンになってしまい、この町の雰囲気にはそぐわなくなってしまうだろう。


リビングに戻りフィンドゥリルさんが用意してくれた夕飯を頂く。

野菜をたっぷりと使ったスープに丸パン。

味付けはシンプルだけど、美味しかった。


次の日は装備品を揃える事から始めた。

エルフの冒険者はハンター(弓)やシーフ(短剣)が多いらしく、元々冒険者が少ない事もあってお店でも軽装備しか扱ってないそうだ。

ゲームでも軽装備を使うウィザードも居たのは居たけど、かなりマニアックだと思う。

魔力量や魔力抵抗を上げていくにはやはり魔装備の方がいい。


「仕方が無い、ダンジョンに取りにいくか」

「ダンジョンですか、ではギルドでパーティメンバーを集めましょうか」

「ん? いらんよ?」

「え?」

「中級ダンジョンまでなら儂ソロでも行けると思う」

「え?」

「え?・・・

 あー、儂サモナーだからさ」


まぁ儂のLVやランクも知らないのだから不安になるのも仕方がないか。

うーん、まぁLVとランクくらいなら見せておいてもいいかな。

その方がフィンドゥリルさんも安心するだろうし。


「ほら、これ見て?」


とタグを表示させて見せる。


【 名:グレン  職:サモナー  LV64  ランクA⁺ 】


「えぇっ・・・」

「あれ?なんかLV上がってるな、なんでだろう」

「あ、あの。グレンさん?・・・」

「はい?」

「これ、人に見せたら駄目なのではないでしょうか?」

「え?LVとランクは大丈夫じゃない?」

「ギルド登録している冒険者の最高LVでも52ですよ・・・」

「へ?!」


最高LV52なんだ・・・

イシュカ神~~!儂も平均的なLVでよかったんじゃないですかねぇ?

いや、でもこれLVが判ってるのってギルド登録してる冒険者だけなんだよね?

だったら人魚島みたいに未登録の高LVや高ランク者がいるかもしれない。

人魚島の彼等だって、これからどんどん力を付けてLVも上がって行くだろうし。

それに・・・


「フィンドゥリルさん、最高LV目指そうか? ふっふっふっ」

「え? え? えぇぇぇ・・・・」


確認すれば今のフィンドゥリルさんのLVは38でランクはC。

軽装備でここまで上がってるんだから魔装備になればもっと戦闘も楽になるはず。


「って事で、さぁ行こう。すぐ行こう。 いざダンジョンへ!」

「ひぃっ、お手柔らかにお願いしますぅぅぅ~~」

「大丈夫大丈夫、今回はレベリングじゃなくて装備集めが目的だし」


と言う訳でカリンバの町から北に位置するダンジョンに到着。

儂にとっても初見となるので楽しみだ。


意気揚々と中に入れば・・・

1Fは浸食スライムと浸食ゴブリン。

こいつらのドロップ品は装備では無く素材系なのでサクサクと駆除する事に。

さて誰を呼び出そう。

ここはやっぱりお気に入りだったワル様かな!


(おいでませ、ワルキューレ)


シュタッ!


『 久しいの、我が主 』

「主はやめて、恥ずかしい。名前で呼んで欲しいなぁ・・・」

『 む? 左様か。主がそう呼べと言うのであれば 』


フィンドゥリルさんが固まっている。

英霊様が・・・ワルキューレ様が・・・と小声で呟いていたけど聞かなかった事にする。


『 これらを滅すればよいのか? 』

「うん。でも大技ではなくてフィンドゥリルさんが扱えそうな技でお願い」

『 ふむ、承知した 』


ワル様はスゥーッと冷気を身に纏い手を前へと向けて『ダイヤモンドダスト』を展開した。

無数の小さな氷の粒が浸食シリーズを貫き無へと返していく。

久々に見たけど、やはり綺麗で格好良い。


「凄いですね。攻撃魔法なのに綺麗です」

「でしょう。よく見ていて覚えてね。

 魔法はイメージする事が大事。見た事が無い物はイメージ出来ないけど

 見ておけばイメージがしやすくなるでしょう?

 つまり色々なスキルを見ておけば手数が増えるって事だよ」

「なるほど、確かにそうですね」


1Fの駆除が終わったので2Fへと進む。

2Fは浸食ウルフと浸食ワイルドボアとスルーア。


「フィンドゥリルさん、スルーアと闘った事はある?」

「フィールドのでしたら」

「ダンジョンのスルーアはフィールドのよりも強い。

 けどドロップ品があるので頑張って!

 儂がウルフとボアを受け持つからフィンドゥリルさんはスルーアメインで」

「はい。頑張って見ます!」


乱暴者とか浸食シリーズはフィールドでもドロップ品が落ちるのだけど、スルーアは無に返るだけ。

だけどダンジョン内だと何故かスルーアもドロップ品を落とす不思議。


ワル様は器用にスルーアだけを避けてアイスアローを飛ばして行く。

儂は勿論鉄扇でベシバシと叩きまくっている。

デスサイズは使わないのかって? 

まだいいかなぁ、ドレインタッチとかって物騒な名前付いてるしオーパーツだし。

そのうち使ってみようとは思ってる。


フィンドゥリルさんは少しだけ苦戦しているみたいだけど無事3体のスルーアを討伐出来た。

ドロップ品の中にクリスタルワンドがあった。やったぜぃ!


「フィンドゥリルさんクリスタルワンドが出てるよ、よかったね」

「はい!これで少しは強くなれるでしょうか」

「今までのロッドよりは魔法も扱いやすくなると思うよ」

「よかった・・・」

「さ、じゃぁ次は防具だね!」

「えぇ、まだやるんですか?!」

「魔力もまだまだ残ってるでしょう?」

「残ってますけど・・・」

「はい、頑張ってみよぅ~!」


と言う訳でやってきました3F。

3Fにはスルーアと強化スルーア、それに浸食されたスライムクィーンが居た。

スライムクィーン、これはレアが期待出来そうな気がする!


「グレンさん、スライムクィーンとか見た事ないのですけどもっ!」

「大丈夫だよ! 女は度胸!」

「えぇぇ・・・」

『 心配するでない、補助魔法も掛けてやろう 』


『 プロテクト 』 受けるダメージを5割軽減させるバフだ。


スルーアと強化スルーアはワル様のダイヤモンドダストで一掃された。

儂はフィンドゥリルさんが倒しやすいようにスライムクイーンにデバフを掛けたり足止めしたりしている。

それでもスライムクィーンは耐久性が高いのでフィンドゥリルさんは苦戦しているようだった。


『 少し手を貸すとしよう、フリージング! 』


ワル様がスライムクィーンの下半身を凍らせて動きを鈍らせる。


『 フィンドゥリル、鋭く硬い氷柱(ツララ)の矢をイメージして核を貫け 』

「はい、英霊様!」


ドスッとスライムクィーンの核に氷柱が刺さる。が深さが足りないようだ。


「フィンドゥリルさん、氷柱にサンダーボルト、細い雷落として!」


ピシャッと閃光が走るとスライムクィーンは無へと返った。


「お、終わったぁ・・・」

「お疲れ様。おお、ローブとブーツが出てる。いいね、後はグローブとマントかな」

「えぇ?!」

「大丈夫だよ、今日はここまでにしようか」

「はい、よかったぁ・・・」


フィンドゥリルさんがあまりにも疲労困憊だったので町の近くまでワル様に運んでもらった。


『 では我は戻っておく。何かあれば呼ぶがよい 』

「ワル様ありがとう!」


この日フィンドゥリルさんは夕飯も食べずに朝までぐっすりと眠り込んでいた。

読んで下さりありがとうございます。

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