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30:スペルスの旅路① ~シカ~

ガブ達に別れを告げて私たてゃボルケーノを後にした。

南のダンテ火山地帯を抜けてスペルス国に入るとこれまた不思議な感じがした。

ムスペルもだったけど、砂漠地帯と火山地帯が混在してるんだよね。

とは言え、火山はこのダンテ火山だけらしいから、南下していけば砂漠地帯のみになるみたいだけど。


ボブ「僕はやっぱり砂漠の方が落ち着くかも」

サラ「そう思う人も多くて、スペルスに引っ越した人も多いんだよ」

ボブ「そうなんだ」

シカ「もう1回くらい温泉に入りたかったなぁ」

ズラ「火山から離れたら温泉も無さそうだよな」

サラ「では今夜はラーヴァの町に泊まる?

   新しく温泉が出来たらしいよ」

シカ「そうなの?!」

イザ「じゃぁそこまでは一気に走り抜けるか」

  「「「 おぉー!! 」」」



到着したラーヴァの町は小さいながらも活気にあふれていた。

新しく出来た温泉効果なのかな。

って、まって?


シカ「ねぇねぇ、私の錯覚でなければ温泉饅頭って看板が見えるんだけども?」

クイ「安心して、私には温泉たまごの看板も見えるわ」

ズラ「名物地獄蒸しって文字も見えるのは気のせいか?」

イザ「いやきっと同じような発想をする人がたまたま居たんじゃね?」

ボブ「温泉の熱をうまく利用しようとしたら

   思いつく人がいてもおかしくはないよね!」

シカ「ねぇねぇ、名物ってなってるし食べてみたいんだけど」

ボブ「じゃぁ人数分買ってくるね!」

クイ「あぁぁぁ、待って待って!名物って言葉に騙されないで!」

ボブシカ「へ?」

ズラ「クイさん何かあったんです?」

クイ「いや旅の途中でね。

   名物ボブ焼きってのがあって買った事があるのよ」

イザ・ズラ「「 ぶっ 」」

ボブ「ボブ焼きって何?! 僕そんなの知らない!」

クイ「それがね? すーっごくしょっぱくてね?

   人数分買ってしまって失敗した事があってね・・・・」

  「「「 あぁ・・・ 」」」

クイ「ちなみにまだ鞄の中に保存されてるから食べてみる?」


怖いもの見たさとでも言うのかな。皆で1口づつ貰ってみた。


ボブ「うぅ~ぅえぇ~っ」ぺっ

シカ「しょっぱぁぁぁぁぁ」ぺっ

イザ「これは酷いな」ぺっぺっ

ズラ「水に漬けて塩抜きすればなんとか?

   ってか、名物つーより保存食じゃねぇかよ!」カーッペッ

クイ「ね? だから地獄蒸しもまずは1つで試す方がいいと思うのよね」

ボブ「う、うん。そうだね1つだけ買って来るよ」


とボブが1つだけ買ってみたので皆で試食してみる。

見た目はまぁ普通に野菜と肉の蒸し料理。

味は?・・・


シカ「なんだろう、可もなく不可もなく?」

クイ「ただ蒸しただけだね。別府で食べた時の様な感動がない・・・」

イザ「うーん、買うほどの物ではないよな」

ズラ「ですなぁ」

ボブ「そもそも地獄蒸しってなんだっけ?」

グレ「源泉の蒸気で蒸し上げるんだよ。

   別府だと塩分も含まれてるし高温で一気に蒸しあげるから

   旨くなるんだよねぇ」

ボブ「なるほどぉ、って姐さん?!」

イザ「またタイミングよく・・・」

グレ「サラの家の希望を聞こうと思ってONにしたら聞こえて来たんだよね」

サラ「雨風が凌げて干し草のベッドがあれば十分です」

グレ「了解~」

シカ「えっと、つまり?」

クイ「塩分が無い温泉だから味付けは自分でって事かな?」

ズラ「なるほど・・・」

ボブ「目的は温泉に入る事だし!」

イザ「そうだな、料理は自分達でって事で」

ちゃ「任せるのニャ~!」


と言う事で街から少し離れた場所で家を出し、ちゃーちゃんと私で夕飯の準備をした。

ちゃーちゃん凄く手際がいいね?

あぁぁ、タマネギは触ったら駄目だよ、私が・・・駄目だぁ。

タマネギ抜きのメニューにしなきゃ!犬猫に玉葱は厳禁だったはず。

という訳でタマネギ無しのシチューと鳥ハムにした。

さくっと食べてのんびりと温泉タイムにしなきゃね~。


クイ「おいしぃ~」

シカ「シチューはほぼちゃーちゃんが作ってくれたんだよ」

ズラ「ちゃーちゃん凄いな」

ちゃ「えへへ」

ボブ「鳥ハムも美味しいよね」

シカ「鳥ハム、姐さん好きだったんだよねぇ。

   魔国に着いたらいっぱい作ってあげようっと」

イザ「シカさんみたいにしっとりした鳥ハムにならないってボヤいてたからな」


食事を済ませたら、さぁ温泉へ!



「「「「 ぶっ・・・ 」」」」

ズラ「ほぇ?!」

シカ「姐さん?!」

イザ「なんで居るんだ?!」

ボブ「姐さん服着てよ!!」

グレ「温泉で服着れるかぁーーー!!」ぺちっ

ボブ「イタイヨ姐さん・・・」

グレ「そもそも、なんで居るんだって言われても儂が掘り当てた温泉だし!」

イザ「あー、なるほど」

シカ「温泉掘り当てたって・・・」

グレ「まぁ儂そろそろあがるから、皆ゆっくり浸かっていけば?

   ちなみに今日は貸し切りになってるから安心して」ニヤリ


意味深な笑いと共に姐さんは出て行った。

貸し切りかぁ、菓子きりなのはいいけどまさか混浴?!

一瞬焦ったけど、ボブはいいとしてクインは同性だしパンダと狼だし?って思ったら意外と平気だった。

クインもイザもカズラも気にしてないみたいなのにボブだけ1人でアタフタしてた。


ボブ「だっていくらシカがミニマムで子供っぽいって言っても

    ちゃんと女の子なんだよ?!

   クインさんだって大人の女性なんだよ?!」

ズラ「大丈夫だって、心配いらないから」

ボブ「大丈夫じゃないよ!僕以外がシカの裸見るなんて!駄目だよ!」

イザ「落ち着けボブ。裸じゃないし!タオル巻いてるだろ!」


そう浴衣代わりのタオルがちゃんとあるのにね・・・

まぁいいや私はのんびり温泉を堪能しよう。


ズラ「はぁ~、極楽極楽」

イザ「温まって気持ちいいな」

クイ「温泉最高~」

シカ「それにしても姐さん、温泉掘り当てたって・・・」

クイ「そう言えば不埒な人族ぶん殴ったら温泉出た記憶を見たような?」

  「「「 ぶっ 」」」

イザ「どんなバカ(ぢから)だよ・・・」

ズラ「姐さんならやりそうだよな」

シカ「姐さんですしおすし?」


私達がこうやって会話している間もボブは目を閉じて離れた場所で浸かっていた。

変なトコで純情すぎるのよね・・・



翌日は温泉効果なのか皆元気いっぱい、お肌もツヤツヤだった。

もっともイザとカズラは毛でおおわれているから肌見えないけど。

サクサクと南下を続けていると、ボロボロの満身創痍な一行を見つけた。

ドワーフや獣人の団体で20人弱だろうか。

気になってしまったので皆で相談して声を掛けてみる事にした。


シカ「大丈夫ですか?」

イザ「何かに襲われでもしたのか」

クイ「お水どうぞ、少し飲んで下さい」


私達はお水と小振りのパンを配って周った。

代表者のオルガさんがポスのアーリオと言う町から逃げ出して来たのだと答えてくれた。

アーリオはポスの南南東の海岸に位置する町で、ガルドとの交易が始まったのはいいが住人が徐々に感化され始めて住みづらくなってしまったらしい。

移動中に出会った獣人達も人攫いから逃げているとの事だったので一緒に行動しているのだとか。

最終目的地は何処かと聞いてみれば、魔国で職人を探しているという噂を聞いたから魔国へ行こうと思っているのだとか。


クイ「じゃあグレンに聞いてみる?」

イザ「そうだな」


クインさんが姐さんに連絡をいれて話してくれた。

念話だの意識の共有だのと便利な仕様だよねぇ。

結論としては受け入れるのは構わないけど、魔国まで一緒に行動して人柄や人間性を見極めてくれと言われたらしい。

本人達には言えないので、こっそり観察する事になった。


イザ「俺達も魔国へと行くので良ければ一緒に行きませんか?」

ボブ「少なくとも護衛にはなれると思うんだ」

クイ「獣人の方々は幼子も多いようですし、安全の為にもいかがです?」

ズラ「クゥーン」

  ((( ちょ、ここで可愛い子ぶるんじゃねぇよ )))

ズラ(人間性の確認できるまで白黒クマぶった方が安心だろ)

シカ(じゃ、じゃぁ私も聖女なの内緒にする)

クイ(間違ってもうっかりヒールとかしないでね?)

シカ(あい・・・)

オル「ご迷惑では?」

ボブ「大丈夫だよ!このまま別れる方が心配だよ!」

オル「ではお言葉に甘えてもよろしいでしょうか?

   私はドワーフ族のオルガと申します。

   先日兄が魔国へと渡っておりまして

   その兄から職人を探していると聞いたのです」

シカ「お兄さんはすでに魔国に?」

オル「はい。兄も腕利きの職人ですので」

イザ「なるほど、確かに人材不足だと嘆いていたからなぁ」

クイ「取り合えず今日はここでしっかりと休息して体力の回復ですかね」

ボブ「じゃぁその間に僕は荷車でも作ろうかな」

シカ「荷車? なんで?」

ボブ「馬車だと難しいから作り方わかんない!」

ズラ(幼子やけが人は荷車で運ぶ方が確かにいいか)

サラ(荷車引くのは任せて)

タロ(僕も引っ張れるワン)

イザ(解かった、頼む)

シカ「よぉし、まずは私ご飯つくるね!」

クイ「手伝うよ」

オル「では私も」

シカ「オルガさん達はゆっくり休んでて!」


本当ならヒール掛けてあげたいけど、まだ人柄とか解らないからね。

せめて美味しいご飯を用意してあげたかった。

読んで下さりありがとうございます。

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