24:ボルケーノの町① ~グレン~
グレ「おいボブ、いい加減開けてくんないかな?」
ボブ「駄目だよ!本物かどうかわからないし
イザに誰も中に入れるなって言われてるもん!」
グレ「いやいやいや、お前儂かどうかも見分けらんないの?
とにかく入れてくれよ」
ボブ「駄目だったら駄目なんだよ!」
かれこれこのやり取りが20分続いている。
いくら町の外れとは言え人通りが皆無って訳ではない。
まいったね、こんな事なら先にクインの所へ行けばよかった。
なんなら家の中に飛べばよかった。
たまには不意打ちではなく玄関からと思った儂が悪かったよ、二度と気なんか使ってやんねぇ・・・
どうしたものかと玄関前に座り込めば、なんか余計不審者に見えるんじゃないかなこれ。
仕方がない、ずっとこうやってても埒が明かないし、クインの所へ行くか。
会わせる前に簡単な説明したかったんだがな。
イザ「なにやってんだ、グレン」
丁度良くイザが戻って来たので経緯を説明する。
イザ「なにやってんだボブは・・・」
ズラ「姐さんの偽物とかどんだけ命知らずなんだよ・・・」
クイ「魔王様とか唯一無二なのに」
サラ「グレン様を語るなど恐れ多い・・・」
グレ「なんでもいいからまず中に入れてくれ・・・」
やっとこさ中に入れて貰い、改めてクインとガブ、サラに挨拶をした。
そして・・・
グレ「ボブ、ちょっと来いや・・・」
ボブ「え?なにかな。僕行きたくないなぁ・・・」
グレ「儂はこの場でもかまわないけど、いいのか?」
ボブ「じゃ、じゃぁこの場で!」
ズラ「うわっ、ばか!ボブ大人しくついて行っとけ」
儂はボブを小脇に抱えグイッとズボンを降ろした。
ボブ「えぇぇ、姐さん何するのっ?!」
グレ「うっせぇ!儂が本物かどうかも見分けられんのか!」
パンパンッ! スパパパンッ!
尻叩きの刑である。
ズラ「だから言ったのに・・・」
イザ「久々に見た気がする」
クイ「うわぁ・・・成人済みであれは嫌だ・・・」
サラ「久々の再会でボブの尻叩き見るなんて・・・」
ガブ「感動の再会とは程遠いですね・・・」
ボブ「久々って?! いたっ! え? サラなの? いたたっ!
え?ガブ?! いったぁーい! 違うのガブの息子?!
ちょ、姐さん恥ずかしいからせめてサラやガブの見えない場所で・・・」
グレ「断ったのはお前だろうがよぉ!」スパンッ
まぁサラの手前100回のところを50回で勘弁してやった。
グレ「で、シカの具合はどうなの?」
ボブ「シカより僕のお尻の方が重症だよ・・・」
シカ「なんか賑やかだね?・・・」
ボブ「シカ!大丈夫なの?」
シカ「だいぶ良くなったよぉ。
って姐さんが分裂してる?!」
グレ「してねぇし! 話しただろ。もう1人の儂、クインさんだ」
クイ「初めまして、クインです」
ボブ「あ、そうだよ!
サラ!本当にサラなの?! 随分と長生きだよね?!」
サラ「長寿種だからね、ふふふ。また会えて嬉しいよボブ。
今カズキが他の皆に連絡を入れているから、じきに集まると思うよ」
グレ「他の皆って?」
サラ「シカさんとボブの子や孫、シカさんとジークさんの孫、
ライカさんとフィンさんの子だね」
グレ「なるほど、と言う事はそのカズキって人がカズラとアリアンの子?」
ズラ「だな」
グレ「おぉぉぉ、アリアン呼ばないと!!」
儂は急いでアリアンを呼んだ。
そうか、皆子や孫がいるのか。儂と別れた後幸せに暮らせたんだ。
よかった・・・
あれ、そうなるとイザには可哀そうな事したな・・・
アリ「カズキ!何処?!」
グレ「ぶっ、落ち着けアリアン。もうすぐ来ると思うから」
まったくいつもの冷静さはどこへやら。
グレ「カズキが来るまでカズラとイチャコラしとけば?」
ズラ「ちょ・・・姐さん!」
アリ「ではお言葉に甘えて・・・」
はいはい、存分にどうぞ(笑)
何度も説明するのはめんどいので、全員が揃うのを待ってから説明する事にした。
と言うかこの家に全員入れるのか?
まぁサラが入れてる時点で驚きなんだけども。
と思っていたら流石神がくれた家、部屋の広さすら伸縮自在のようだった。
え?それずるくね?
儂の城ももちっとこじんまりさせたいんだけども?
城と家は違うから無理? あっそう・・・
それから暫くの間、全員が揃うまでは其々再会を喜んでいた。
儂とイザはテラ7でも同じように猫達が存在していたことに喜んだ。
特にマロやアンコは高齢で死別していたのでまた会う事が出来て嬉しかった。
勿論、マロやアンコは儂等の事が不思議だったようだけど「かぁたんが増えてとうたんが出来たのはいい事にゃ」と受け入れてくれていた。
夜になって全員が揃った。
シカさんとボブの子や孫達は、何と言うか凄く似ていた。
いい塩梅にMIXされているとかじゃないんだ、どっちにかにそっくりなんだよ。
ルークとシカさんの孫はどっちかというとルークに似ていた。
ライカとフィンの子達はいい塩梅にMIXされていて、2人に似ている。
フィンにケモ耳が付いた感じと言えばいいだろうか。
グレ「それにしても距離があっただろうに、随分早く来れたね」
サラ「それはですね、バハムート神が眷族を飛ばして下さったのですよ」
グレ「なるほど、さすがバハ様」
バハ「彼等の子孫であれば我やグレンの子孫同様であろう。
手を貸すのは当然の事だ」
シカ「さすがバハ様だね!」
ボブ「久々にバハ様見るけど、なんかこう神々しくなってない?」
バハ「神格が上がったからな」
ズラ「神格が上がったって・・・」
イザ「あれか、祀られていたからか」
バハ「んむ、危うくグレンも神に昇格されるところであったがな」
グレ「は?」
「「「 ぶっ 」」」
バハ「グレンが神になれば我等としては嬉しいが、グレンは嫌がるであろう?
故に必死に止めたのだ」
グレ「止めたって誰を・・・」
バハ「イシュカだ」
グレ「おぉぅ・・・」
ちょっとイシュカ神! 儂そんな話聞いてないんだけども?
儂が神になんぞなったら破壊神になる自信があるんだが? 勘弁してくれ・・・
ひとまずそれは置いておいて。
皆に何故儂等が復活したのかとガルドの危険性を説明していく。
そして今までガルドを囲んでいたリヴァイアサン海域は魔国へ移動した事も伝えた。
勿論あの生贄献上の珍事件についてや儂は魔国でのんびりと過ごすつもりなのも伝えて、皆がそれぞれ何処でどう過ごしたいのかも考えて欲しいとも。
クインは儂と実際に会った事により、走馬灯の如くファンタニアで儂の身に起きた事が頭の中に流れ込んできたらしい。
もっとも儂にもクインの事が流れ込んで来たんだがね。
「「 情報過多で具合が悪い 」」
2人して乗り物酔いしたような感覚になっていた・・・
「かぁたんず、これ飲むニャ。少しは楽になるニャよ」
ちゃーちゃんがお茶を淹れてくれたので有難く頂く。
グレ「ニャンズに癒される・・・」
クイ「何と言うかグレンは大変だったもんね・・・」
グレ「あの時はさ皆を守りたい一心で動いてたし。
儂の記憶みたなら解かるだろうけどさ
ほら儂ちょっと性格に難ありだから」
クイ「そうかな?
ゲームや小説の中と違って色々な事が命に直結する世界じゃない?
そんな中であの子達を守る為だったら私も躊躇なく敵は殴るかも?
とは言え私にはそんな力がないんだけどね」
グレ「なに言ってるのさ、絆が最大の武器じゃないか。
クインはあの子達と強固な絆があるじゃん、それって宝物だよ」
クイ「そうだね。でもそれならグレンもでしょ?
皆との絆、誰にも引き離せない絆じゃない」
グレ「今日からはクインもだしな。
なんせ魂レベルでの繋がりなんだから」(笑)
クイ「確かに、魂レベルの繋がりってすごいよね」(笑)
その後も色々と話してみて、テラ7でクインのゲーム仲間に皆も居たらしい。
シカさんはキョンちゃん、カズラはウズラ、イザはマナ、ボブはボブ。
キョンとかウズラとかマナって、皆の別キャラで使ってた名前じゃないか。
と言うかボブはボブのまんまなんだ・・・
言動がまんまで、フィンが書いた本を読みながら似てるなとは思っていたらしい。
それなら皆と馴染むのも早そうだと安心した。
シカ「はっ! 大変。外が明るいよ!」
ズラ「へ?! マジか!」
ボブ「どうりで眠いと思ったよ!」
イザ「一旦お開きにして寝るか・・・」
サラ「ですね、さすがに眠いです」
グレ「もぉこのまま雑魚寝でよくね?」
クイ「ですね、一旦寝てから会話や相談の再会にしましょうか」
ちゃ「待つのニャ! ご飯の用意出来てるから食べてから寝るのニャ!」
ニャ「消化のいい物にしてあるから食べるのにゃん」
「「「 おぉぉ、ニャンズが優秀過ぎる! 」」」
と言う事で皆で朝食?を食べた後雑魚寝をする事になった。
私はアンコとチロと一緒に、イザはマロと一緒に寝る事が出来た。
クインは猫まみれ&ワンコで苦しそうだった(苦笑)
読んで下さりありがとうございます。




