22:ムスペルの旅路① ~シカ~
「フフフフ・・・」
姐さんの笑い声が凄く怖いんですが。
ってか姐さんオークを熊に変えれる魔具持ってるんだ凄いな。
ちょっと待っててと言って姐さんは通信を切った。行動はやっ。
え?私を救出するときもこんな速さだったの?そっか。
さすが姐さんとアリアン・・・
30分もすればアリアンが現れた、2匹の子熊を抱えて。
キングベアはそりゃもお嬉しそうに子熊に駆け寄ってスリスリしていた。
よかったねぇ。
グレ「主犯格は熊にして顧客?に届けたらしいからあれでいいだろ。
後のことはポスの王に任せる。
無意味な殺生や野生生物の捕獲なんぞやらかしたら・・・
てちょっと小言行っといたから大丈夫だろ」
シカ「姐さんのちょっとてちょっとじゃないような?」
ボブ「きっと小言じゃすまないよね?」
グレ「あ"?」
ズラ「まぁまぁまぁまぁ。 でこのキングベアの親子はどうする?」
グレ「アリアンが送り届けるよ」
ズラ「そっか。じゃあ安心だな」
イザ「と言うかグレン、人前に姿現したんだ?」
グレ「ああ、傀儡使ったから大丈夫。儂本体ではさすがにないよ。
これ以上生贄がとか貢ぎ物がとか言われてたまるか(ボソッ」
スラ「え?今何か言った?最後聞き取れなかったんだけども」
グレ「いやなんでもない、気にしるな」
イザ「そ・・・そうか」
きっと皆どんな姿で行ったのか聞きたいんだと思う。
それに最後の聞き取れなかった部分も気になる。
私も聞いてみたい。でもその反面怖い気もする。
アリ「それはもう勇猛な巨熊のアンデッド姿でございました」ニッコリ
うわぁ・・・それはなんと言うか。
ちょっとだけポスの王様が気の毒になった。
巨熊のアンデッドとか夢でうなされそう・・・
まぁキングベアの親子は無事だったし、あのオーク一族の不正も暴けて正されるだろうしよかったと思う事にしようかな。
頑張ってね王様
グレ「シカさんや、勘違いしてるようだけどあれ、オークじゃないからね?」
シカ「え?どっからどうみてもオークでしょ?」
グレ「そう見えるだけで一応は人間だから・・・」
シカ「え? あれ? 嘘・・・
ぅわぁー、あんなのと間違えてごめんなさいオークさん!」
人間じゃなくてオークに謝る私ってどうなんだろうと思ったけどアレに謝る気はないので気にしないでおこう。うん、だってアレは・・・やっぱりオークにしか思えない。
姐さんは あんまり色々巻き込まれるな と言い残して通信を切った。
アリアンはキングベアを元の住処に送り届けてから帰国するそうだ。
短期間の間に何度もごめんねアリアン。
あ、またお礼を言い忘れた・・・。
重ね重ねごめんアリアン、今度会う時には何かアリアンの好きな物でも作っておこう。
国境を越えたてムスペルに入って見れば、砂漠地帯だと思ったのに火山地帯になってた。
皆で軽くパニックになったので、その日は休息日にしたんだけどね?
シカ 「ねぇ、やっぱりあれオークだったと思うんだけど?」
私は魔物図鑑をみながら皆に声を掛けた。
だって何度見てもそっくりなんだよ?
人族の貴族だったらしいんだけどさ、やっぱりオークにしか見えない。
ボブ「そんなにそっくりだったの?」
シカ「うん、そっくりてゆうかそのもの・・・」
アレに言い寄られたとか、うげぇ・・・
あ、オークさんじゃないからね?!心の中で謝っておいた。
というか、この魔物図鑑てさ、すごく残念な部分が多いよね?
キングベアの事は書かれていないしキリングベアもレアとしか書かれていない。
他のMOBにしたってDrop品とかも載ってない物があったりする。
シカ「うーん、これ自分達が遭遇したり倒したりしたものについては書き加えていく?
んでいつか改訂版として冒険者ギルドかどっかに渡す?」
ボブ「あー、それいいかも!」
ズラ「確かに自分達で確認できた部分には書き加えてもいいかもな」
イザ「ただそれをいつか何処かに渡すのは様子見かな」
シカ「そう? いいと思ったんだけどなぁ」
イザ「前の時を思い出してみ?
俺達のルール思い出してみ?」
ボブ「あ!」
前の時は・・・
あーそうか、他力本願な人が多かったもんね。
そうだよね、それに気が付かなかった私達も私達だったけどさ(汗)
なんか旨い事利用されちゃったよね。
今のこの世界がどんな感じなのか見極めなくちゃだよね。
ズラ「俺達まだこの世界の住人とそんなに関わってないだろ?
まぁ特に関わり合いたいとも思わんけど」
イザ「急がなくても時間はタップリあるしな。
それにまずはオアシス、今はボルケーノって名前なんだっけか。
そこに行ってもう1人のグレンと合流しないとだろ。
ボブ「うん、そうだったよね。忘れてたや」
シカ「あっ!そうだよねそうだったぁ。図鑑は取り敢えず自分達用で!」
気を取り直して図鑑に書き足していったら・・・
あれ?思ったよりも描くことが多すぎて入りきらないと言うか余白がたりない。
結局は新たにオリジナルで魔物図鑑を作る事になって絵は私が担当し文章はカズラとイザが担当する事になった。
ボブは紙の製作と製本担当!
3人共画伯なんだもんなぁ、それはそれで面白くていいと思うんだけどな。
いや面白さは求めなくてもいいのか、勘違いを防いで正しい情報を載せるんだもんね。
( ・・・ )
つい面白さを求めてしまったことは内緒にしておこう・・・
それから2日後、慣れない風景にキョロキョロしながらも私達はトツコネという町に到着した。
さすがにアレコレと補給が必要だったのよね。
「「「 ぶっ 」」」
シカ「ちょ、これ姐さん?」
ボブ「うわぁ、こっちはサイラスだよ!」
イザ「なんでこんな場所に銅像があるんだよ・・・」
ズラ「説明文によればこの2人がこの町を救ったらしい?」
シカ「目立つなとか言っておいてなにやってるのよ姐さん」
ボブ「でもこれサイラスも居るから600年前の事だと思うよ!」
イザ「なるほど600年前ならまぁ・・・」
ズラ「あれか、俺達がまだバブちゃんの頃とかかな」
ボブ「じゃないかな、僕がサイラスと出会う前の事なんだと思う」
シカ「この事姐さん知ってるのかな・・・」
イザ「どうだろう」
ズラ「言わない方がいいんじゃないかな」
ボブ「僕もそう思う!」
と言う事で私達は銅像については見なかった事にした(汗)
トツネコではあのオークもどきな誘拐犯の噂も耳にした。
人身売買にショタロリ専用娼館(勿論不法)収賄に税金の二重搾取。
ホントろくなもんじゃないよね!
ポートリオの領主も入れ替わったらしくて、新しく領主になった人は温厚で人情味のある人らしい。
なんでも森の主である熊のアンデッドとの対談にも立ち会った肝っ玉の太い人だとも聞いた。
その森の主の熊のアンデッドて姐さんの傀儡じゃないのかな・・・
現領主は前の領主の家財をすべて売り払って住人に還元したらしくて住人は皆喜んでたみたい。
税率も元に戻ったと聞いたからこれから貿易もきっと盛んになるね、よかったよぉ。
あの誘拐犯達もバラバラに遠い異国の大道芸一座や生態研究所動物園に渡されたらしい。
少しは人の役に立ってもらいたいものだと思う。
買い出しついでに聞いた話だと町のすぐ近くにダンジョンもあるらしいので、私達はいってみる事にした。
何か良い物が出るといいなぁ。
ダンジョンは洞窟だと思ったのに中に入れば地下通路になっていた。
どんなモンスターかなと思ったら・・・リスだった、可愛い~。
正確にはキラリスってモンスターだっただけど、見た目はまんまリス!
ただ手に持ってるのがドングリじゃなくて魔石だった。
もしかしてこれは見た目によらず強いってパターン?・・・
経験値もDropもそこそこおいしいから見た目に騙されないように慎重にやらないとね!慎重に!!
キンコラ! ピカーンッ カンカンコンッ ジュッ
へ? 何今のジュッって・・・
いやいや、慎重にって私言ったじゃん!フラグじゃないのよ?!
恐る恐る音がした方へと顔を向ければ・・・
カズラにすこぶる怒られた・・・
だって魔石に当たって反射するとは思わないじゃない?
ましてそれがカズラの頭に命中するとか思わないじゃない?
ぷぷぷっ・・・ ごめんってばわざとじゃないんだってばぁ。
その後カズラの怪我うっすら生えるまでネチネチとずっと言われ続けた。
ズラ「シカー!おめぇはもぉ狭い所で攻撃魔法撃つんじゃねぇよ!!」
シカ「あぃ、すんまそ~ん」
ズラ「反省してねぇだろー!」
シカ「わざとじゃないんだってば!反省はしてるんだってばぁー!」
早く毛が生えないかな・・・
と言う訳でこのDは1回で終わる事になった。
ちょっと残念だけど仕方が無い。これ以上カズラの禿が増えても困るしね。
ズラ「なんで俺限定なんだよ!」
うん不思議よね。
なんで毎回カズラなんだろう?解んないしまぁいいかぁ。
読んで下さりありがとうございます。




