18:魔国の様子② ~グレン~
本日も晴天なり。
まぁ魔国には雨季以外ほぼ雨が降らないんだけどね。
朝からワイワイと楽しく畑仕事。
をする皆を見てるだけの儂・・・
儂のやる事がない、と言うかやらせて貰えなかった。
まずゴーレム達が土を耕してくれ(素手でガシガシやってたよすげぇな)
ドライアド達が肥料を撒いて行き、その後でアリアドネやマンドラゴ達が種を蒔きエントが果樹の苗を植え 最後にリヴァイアサンが水を降らせる。
少しくらい儂もやりたかったのにと思っていたらゴーレムが儂用の花壇を作ってくれた。
魔王なのだからせめて花にしてくれ?
な、なるほど。解ったよ(汗)
どうやら魔王と言うのも大変らしい。
でもそう言われれば、小説だの諸外国だので王や王妃が土いじりとかって話はないもんな・・・
ピカーッ!
急に地面が光ったよね。なんだろうと思ったらフレイヤさんが微笑んでた。
その背後では・・・植物たちがわっさぁーと成長した。
そりゃもぉジャックと豆の木ですかね?って感じで。
なるほど・・・大地の祝福をしてくれた感じかな?
今日植えたばかりなのにすでに花が咲いてる。収穫も早めに出来そうだ。
グレ「フレイヤさん、ありがとう。でも程々にね?」
フレ「解っておりますわぁ、初回サービスですのぉ~。うふっ♡」
うふっ♡じゃないね、色気は要らないね・・・
思ったよりも早く作業が終わってしまったので、城で休憩する事にした。
「ぶっ・・・」
メイドと執事が増えてる?・・・
グレ「アリアンこれどうなってるんだろうか?」
アリ「どうやらお城のLVが上がったようでございます。
テッテレー♪と音が鳴り響くと同時に現れましたので」
グレ「なるほど?・・・」
メイドは5人か、どう割り振るかはアリアンに任せよう。
執事は2人か、だったらバルドルくんに任せようかな。
それにしても・・・
そろそろ肉以外が食べたい。
いくら肉が好きでも毎日3食肉ばかりなのはキツイし飽きる。
パンが食いたい・・・
パン屋無かったしなぁ。作るか? いやでもドライイーストが無かったしな。
天然酵母のパンはあまり好きではないんだよなぁ。
しゃーないよなぁ、野菜が収穫できるまで我慢だな、頑張れ儂。耐えろ儂。
そして数日後、野菜も収穫出来るようになったしこれで料理の幅も増える!と思ってメイドさんに調理を頼んだら・・・作り方がわからないと言われた。
そりゃそうか、今まで野菜とか無かったもんな、そりゃ調理方法も知らんよなぁ。
って事で 周囲の住人にも声を掛けて親睦会と言う名の野菜料理お披露目会をやる事にした。
シンプルイズベスト!って事でじゃがバターにフライドポテト。
トマトとキュウリのサラダ!ダイコンのナムル風サラダ!ポトフにクリームシチューにロールキャベツ!
ナスのそぼろあんかけにカボチャの煮物に各種野菜のピクルス!
勿論野菜ばかりじゃなく肉料理も用意した。
カットフルーツにフルーツポンチも用意したよ!お菓子は小麦粉がないのでまた今度!
ゴーレム達にはずっと持って居た600年前のドロップ品鉱石類を用意しておいた。儂らの感覚で言うと高級霜降り肉に値するらしい。
ヴァンパイア達には料理にピチピチ新鮮花型の魔物(害獣区分)を用意しておいた。
生命力や魔力を取りつくすとドライフラワーみたいになるらしいので、魔国の特産として他国へ売るのもいいかもしれない。
元の素材を知らなきゃ普通のドライフラワーにしか見えないし大丈夫じゃないかな(笑)
うん、儂の考えが甘かったね!
皆も料理持ち寄ってくれたからすげぇ量になったさハハハ・・・喰い切れるのかこれ!
まぁ皆野菜料理も抵抗なく食べてくれるし、子供達なんかはかなり気に入ってくれたらしい。
作り方がしりたいと言うから暇な時にでも教えるつもりだ。
楽しそうにしている皆を眺めていたら長達が声を掛けて来た。
長老2「時に魔王様、税金はどれくらい納めればよろしいですかな?」
グレ「ん? 税金? そんなもんいらんよ?」
長老1「は? いやしかしそれでは・・・」
グレ「だって今まで魔王居なかったんだろ?税金とかも無かったんだろ?」
長老3「それはそうですが、それでは魔王様が困るのでは?」
グレ「なんも困らんが?」
長老1「 へ? 」
グレ「昔貯めた金があるし、必要なら稼いで来れるし。
なんなら国としての特産品を作って他国に売ればいいしな。
ああ、他国との交渉が必要な時は儂が受け持つし。
すぐにどうこうは出来ないけどさ
いずれ貯水池とかさ生活環境もなんとかするつもりだよ」
長老2「でしたらやはり税金は必要なのでは?」
グレ「いらんいらん、めんどくさい」
長老3「めんどくさいって、魔王様・・・」
グレ「計算とか簡単なのならまだしも難しい数字の羅列だと吐く!」
長老1「家令のバルドル殿にお任せすればよいのでは?」
グレ「決済は儂に回って来るよね、最終確認で計算するのも儂だよね?」
長老2「おぉぅ・・・」
グレ「て事で税金はいらんし、難しく考えるなよ。
転居してきた隣人くらいな気持ちでのんびり楽しく暮らそうぜ!」
長老1「承知いたしました」
長老2「でしたら差し入れと言う事で収穫物を持ってまいりましょう」
長老3「そうですな、差し入れならよろしいですよね、魔王様」ニッコリ
グレ「お、おぅ・・・」
税率の計算とか税収の使い道とか予算の編成とか面倒くさいんだよ。
バルドルくんに丸投げしても結局は儂も計算するハメになるし。
まぁ公共事業とか必要ならその都度労力で払って貰えばいいだろうしね。
いやだって、ほんと皆素朴でおおらかで良くも悪くも純粋なんだよね。
他国の様に便利な生活ではないだろうけど、彼等は苦に思ってない訳だし今を楽しんでいるように見える。
だから儂はこの素直で可愛い(性格が)新たな仲間達を守りたいなと思えた。
*** *** 長老達 *** ***
長老1「魔王様は人が好過ぎやしないか?」
長老2「必要なら自分で金を稼ぐとか、他国ではありえんだろうな」
長老3「それなら税ではなくいざと言う時の為に我等もコツコツ貯えておくか」
長老1「だが我等は他国との交渉が出来ぬぞ・・・」
バル「いざと言う時に必要な物は現金だけではないぞ」
長老2「うわっ、バルドル殿」
バル「いいか、我らが主はな。仲間をとても大切にする。
仲間が無理をする事は好ましくないと思われておる。
其方等は無理をせずに自分の出来る事をすればよい。
其方等の存在が、笑顔が主の力となるのだ」
長老3「ずびぃー、バルドル殿、この年寄りを泣かせんでくだされ」
長老1「勿論無理はいたしませんよ」
長老2「ただ、なんといいますか。
あまりにも無欲な方なので心配になるのですよ」
バル「無欲なものか、主は強欲だぞ。
まぁ心配になる気持ちは解からぬでもないが」
長老1「どうだろうか、我等長老で魔王様を見守る会でも作らぬか」
長老2「んむ、賛成じゃ」
長老3「他の長老にも声を掛けるか」
バル「グリムリーパーの長老殿も声を掛けてやってくれ。
近々城に到着するであろうからな」
長老1「畏まりました」
グレンの知らないところで見守る会が発足し、バルドルがちゃっかり会長に収まったのでしたとさ。
読んで下さりありがとうございます。




