15:ポスの旅路⑨ ~シカ・イザ~
帰宅した私達はまずお風呂に入った。
思ったよりも汚れていたから急遽家を設置したのよね。
お風呂に入った後夕飯にしたんだけど、皆よほどお腹が空いていたのか大量に作ったはずなのにあっという間になくなった。
どこに入ったのかとちょっと驚いた。
食後のお茶を飲みながら今日の収穫物を確認していく。
マジックシールド・火属性のナックル・体力増加のアクセサリーなど使える物も割とあった。
自分達が使わない物は町に到着してからイザとカズラで売りに行く事になった。
何度かダンジョンに潜ってみたい気もするけど、目的地まではなるべく急いだ方がいいだろうしなぁ。
(目的地があったり人を待たせたりしてる場合は寄り道しない!)
昔も姐さんによく怒られてたっけなぁ。
ついついでに・・・とか、ちょっとあれだけ・・・とかフラフラしちゃったのよね。
大丈夫、今回はそんな事しないよ!私も少しは成長してるんだからね!
と、懐かしく思って居る私の視界に見たくない物が入った。
そう、すっかり忘れていた洗濯物の山だ・・・
うん、明日はのんびり洗濯をしよう。
あれ?・・・再び見たくない物が視界に入った。
カズラとイザの尻尾に纏わりついているあれは・・・埃?
いやぁぁ、見たくなかった 気づきたくなかった 知りたくなかったー!!
掃除もしなきゃだ! 最後に掃除したのっていつだったけ?・・・
オリオの町を出発する前?・・・
うわぁ・・・すっかり掃除の存在わすれてたよぉ。
これまた姐さんに怒られそうよね、アハハ・・・
という訳で、急遽皆で大掃除と洗濯をする事になった。
私とボブが洗濯、イザとカズラで掃除。
ムクロジという木の実を潰して石鹸代わりに使う。
これは元の世界でも昔使われていたみたいだと姐さんに教えて貰った。
さすが姐さん。
さぁ、この洗濯物の山を片付けますかぁ!!
ゴシゴシゴシゴシ
うん、腰が痛いし腕もダルい。洗濯機が欲しいー!!
ボブはどうだろう、腰痛くならないのかな? チラッと見れば。
ちょ!ずるい!! 魔法使ってた!蔦でザブザブ洗ってた!えぇぇぇ・・・
私も便利魔法欲しいぃー!!!
無いものはしょうがないので手を動かす。絶対明日筋肉痛だ・・・
ズラ「ぐぇっほぐぇっほ」
イザ「これはあれだ。たまには掃除と洗濯の日が必要だな」
ズラ「だなぁ」
掃除は掃除で大変そうだった。
でもね1つアドバイスをするなら、それだけ埃が舞うなら窓は開けた方がいいと思うよ?
洗濯物に埃付いても嫌だから今は言わないけどね(クスッ)
夕飯は無事綺麗になった部屋で美味しく食べる事が出来たよぉ。
皆で掃除の大切さを実感した日だった。
翌日は家を収納してジェノヴェへと向かう。
ムスペルとの国境に近くて少しは寒さも緩むらしいので良かった。
寒いの苦手なのよねぇ。
道中は割と順調だった。
たまにコボルトやウィローと遭遇するくらいだったのよね。
私としては毛皮が獲れる獣系のMOBがよかったんだけど(;゜ω゜)
今後の事を考えて冬用に毛皮が欲しかったのよねぇ、私冷え性だし。
毛皮のマントや手袋とか作りたいじゃない?ベット用の毛布とかも欲しいし熊系とかの大型モンスターだとラグにもなるし。
ニブルだと毛皮になりそうなモンスター居るか解らないしさ、人数分作るなら時間もかかりそうなんだもん。
なんて考えながら馬に乗ってたのが駄目だった?
気が付けば私は皆と離れてしまっていた。
ヤバイ、また怒られちゃう。
バレる前に追いつかなきゃ!と思った瞬間誰かに抱きかかえられた。
ボブが気付いて来てくれたのかなぁ?
(ふぇ?! 誰?? え? なんで? ちょ、まって?)
シカ 「ぼ・・・ぼぉーフガフゴンゴッ」
ボブを呼ぼうとしたら口を押えられた。
このやろー。同じ口をふさぐにしてもちゃんと見なさいよ!
鼻!鼻!!鼻までふさぐんじゃないわよぉー!!ちょっと鼻水まで垂れてる気がする。
ぐるっじぃー・・・そのまま意識が遠のいた。
このまま鼻水垂らして窒息死とかやだなぁなんて思いながら・・・
目を覚ませば小さな部屋に居た。
はっ、鼻水!鼻水ふかなきゃ!とまず思った事がそれってどうなの私。
そうじゃないでしょと自分でツッコミを入れた。
鼻水は誰かが拭いてくれたらしく綺麗になっていた。
ところで何処だろうここ。
窓から風景を見て確認しようと思ったけど窓がない。
もっとも風景を見た所できっと私には判らないよねとも思った(汗)
仕方が無い、扉から出てみようと思ったけど当然開くわけも無く・・・
バングルで誰かにSOSをと思ったけどどういう訳か繋がらない。
ありゃぁ・・・困ったねこれ。
きっと私攫われたって事でいいんだよね?
たぶんボブはすぐに気が付いて探してくれると思う。
皆にも連絡がいくハズ。うんきっと大丈夫。
ってか前回も攫われたよね?攫われ過ぎじゃない?
これはマズイ、非常にマズイ。やーらーかーしーたーぁー
これ絶対怒られるやつ!どうしようー
アタフタアタフタ
えーっと落ち着いて私。取り合えず・・・・どうすればいい?
〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇
*** *** イザ目線 *** ***
ボブ「どどどど、どうしよぉぉぉ!」
イザ「落ち着けボブ」
ボブ「だってシカが、シカがー!」
ズラ「騒いだってどうにもなんねぇだろ。まずは落ち着けよ!」
イザ「アンにシカの匂いを追ってもらうとか?」
ズラ「アンは敷地からは出れない・・・」
イザ「おぉぅ・・・」
ボブ「カズラは匂い追えないの?!」
ズラ「無理!!今風邪気味で絶賛鼻づまり中!」
ボブ「イザは?!」
イザ「俺も無理!俺慢性鼻炎!」
ボブ「ぅわーん、どうすればいいんだー!バングルも使えないし!」
イザ「何か手掛かりはないのか?」
ズラ「あれだ、こういう時は姐さんだ。どうせバレるだろうし、
後から怒られるよりは被害が少ないんじゃないか?」
イザ「た、確かにな。そうするか・・・」
グレンに連絡を入れれば、すぐさま人を寄越すから大人しく待ってやがれ!と怒られた。
俺等は悪くないと言いたいが、監督不行き届きだと言われるのが目に見えているので黙っておく。
**** 『皆様お久しぶりです。』
「「「 アリアン?! 」」」
10分後、やって来たのはアリアンだった。
そう前回の転生で知り合った仲間でありカズラのパートナーだったレイスだ。
アリ「お話したい事は沢山ございますがまずはシカ様の救出でございますね。
いかがいたしましょう?こっそりと救出いたしますか?
それとも二度と手出しができないよう消滅させてしまいますか?」
ズラ「消滅って・・・」
アリ「グレン様からは手加減無用と申しつかっておりますので」
イザ「目立ちたくはないからなるべく穏便に・・・」
アリ「目立たなければよいのですね?承知いたしました。
ではすぐに行ってまいりますので
皆様はジェノヴェの町で待機していて下さいませ」
そう告げるとアリアンは影の中に身を沈めて消えて行った。
見送った後にすぐジェノヴェへと向かう。
俺達だけならばすぐに到着する事が出来た。
一応は犯人の目星でも付けておくかと思ったが探すまでもなく、すぐに解かった。
さすがに匿名で似顔絵も無かったが注意勧告の紙が貼ってあった。
ポートリオに住む下級貴族の人族で地方へと出かけては問題を起こしているらしい。
誘拐まがいな事もやっているらしいのだが、何故か毎回罰金だけで済んでいると。
おまけに40過ぎても未婚なので良からぬ噂も絶えないのだと書いてある。
そうなると頭によぎるのは見た目が醜悪なのかそれとも性格が悪いのか、性癖に難があるのか・・・
それ以前に犯罪者だからってのもあるだろうかな。
恐る恐る紙が貼ってある店の主人に聞いてみれば全部だと言うではないか。
3人で白目をむきそうになった。
ズラ「あれだよな、シカを攫ったて事は」
イザ「まあ間違いなくあれだな」
ボブ「あれってなに?」
ズラ「ロリ・・・」
ボブ「ロリ? ロリポップ?」
イザ「ロリコン。幼女趣味ってことだ」
ボブ「シカは幼女じゃないから違うんじゃないかなぁ」
ズラ「いいかボブ。シカは見た目だけだと幼女なんだよ」
ボブ「えぇー!だってシカはツルペタじゃないよ!
大きくも無いけどそれなりにはあるよ!」
「「 ボブ シーッ!声がデカイ!! 」」
ボブ「あ・・・」
シカも自分が居ない所でこんな事を言われているとは思ってもみないだろう。
しかもそれが周囲の人にまで聞こえ公然の秘密となるとは・・・
心の中で恨むならボブにしてくれと思う俺とカズラだった。
読んで下さりありがとうございます。




