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14:ポスの旅路⑧ ~シカ~

ある程度の食糧は確保出来たので、今日はこのまま此処で野営をする事になった。

明日はこの先にあるジェノヴェと言う町まで移動するんだけどね、オリオみたいに平和な町だといいなぁ。

ジェノヴェの町の近くにはダンジョンもあるみたいで、ダンジョンだとフィールドモンスターよりも良い物がドロップするみたい。

でもさ、ダンジョンの中って今はどうなってるんだろうね。

皆も気になるみたいで1回は行ってみようって事にもなったよ。




翌日、私は今崖っぷちに居る。正確に言えばぶら下がっている。

何故こうなったかと言うと・・・


カズラはパンダだしイザは獣化で走れるしボブは精霊だしでね。

私だけ普通じゃない?たぶん。

非常事態とかで急がなきゃとか長距離移動だと馬が有った方が私にはいいよねって事になったのよ。

ほら、キラービーみたいな時とかね? またボブが消えちゃうかもだし?

で、グラニと言う馬を捕獲して来てくれたんだけどこれがさ。

やっぱりLVってのが存在してて、LVによって移動速度や乗り心地?が変わって来るみたい。

じゃあさっそくと思って人気の少ない場所で馬のレベリングをしてたのよ。

と言っても安全な場所をグルグル周回するだけなんだけどね。

パカランパカランと走らせながら景色を見てたのよ。海岸線だから海が綺麗よねーとかね。

慣れてきた頃にちょっとだけ(本当にちょっとだよ?)速度を速めたの。

そしたらカーブが曲がり切れなくてね?

危ないと思って条件反射で飛び降りちゃったのよねぇ。

そしたら地面が無くてね?・・・

慌てて何かを掴んだらこの状態になりました。みたいな?

ちなみにグラニは崖から落ちる事も無くちゃんと手前で止まってたよ。


シカ 「ぅわぁーん。ぼーぶぅーーー!」


ドドドドドドッ


ボブ「シカ!どうしたの?!大丈夫?!」


ボブが来てくれた。けど笑ってる?


シカ「ボブ!笑い事じゃないよ!こっちは必死なんだからぁ!」

ボブ「ごめん!でもシカ。落ち着いてよく見て?」

シカ「むーりぃー!怖くて見れないよ!」

ボブ「いいから見てみて! ちょっと飛び降りれば地面あるよ?」

シカ「ふぇ?!」


言われて恐る恐る下をみたら、マジで?

地面前30㎝もなかった(シロメ)

恥ずかしいーーーーーーーーーー!

だってだってぇ、崖から落ちたら高い所だと思うじゃない?!

いやぁぁぁぁ・・・


赤面してアタフタする私をグラニはブフンッと見ていた。

絶対知ってたでしょ!だったら教えてよぉー!!

ぴょいと地面に降りた私の手を掴んでボブは引き上げてくれた。

あー・・・これ絶対皆に笑われるヤツだ・・・・

知られたくないなぁと思ったけど無理だった。

崖の上に戻った私の目に映ったのはニヤニヤした顔のイザとカズラだった。


シカ「・・・」

ズラ「なにやってんだよ・・・」(苦笑)

シカ「ねー・・・」


当然その夜は姐さんに報告がいった。

姐さんは大爆笑してたけど、そんなに笑わなくてもいいじゃないよぉ。


グレ「昔もそうゆう事あったよな。ゲームで」

シカ「そうだっけ?」

グレ「某MMOの馬の育成でさ」

イザ「あー、あったな」

グレ「あん時も馬見捨てて自分だけ飛び降りたろ」(笑)

シカ「あー!!」


そうね、そう言えばそうだった。

あの時も曲がり切れずに・・・ぴょいっと。

私は崖っぷちギリで飛び降りれたけど馬はそのまま・・・


シカ「でもっ。でも今回は馬も無事だったよ!」

グレ「当たり前だ!ゲームじゃないんだから馬を大事にしろ!」

シカ「はぃ、すんまそん・・・」


結局私の判断力よりもグラニの判断力の方が冷静だからシカはグラニに身を任せろって事になった。

馬の判断力よりも劣る私って・・・ しくしく。

なんだかんだと言いながら今日も楽しく喋った後はぐっすりと眠った。



さあ今日は初心者向けダンジョンだ!

ジェノヴェよりも先にダンジョンに遭遇しちゃったのよね、だったら先に言ってみようって事になったのよ。

私達にとって今回での初ダンジョンとなるので気合をいれて行きたい。

Dの見た目は五重塔みたい。

入り口を入るとそこにはMOBが居なかった。

先頭はイザ、次にカズラでその後ろに私、最後にボブ。

Dでは基本この並びで動くことになっている。

キンキラコンコラとランダムバフを付与すれば武器にバフが付いたようだった。

通路を進むとスケルトンファイターが待ち受けていたがバフのお陰でなんなく倒して行く。

角を曲がれば今度はガードウィプスとボムウィプスが待ち構えていた。

ボムは近づくとやっかいだったハズだからボブが遠距離攻撃で処理をする。

ボムさえいなければ近づけるので皆でたたいてOK!

終わったらまっすく進んであれ?別れ道だ。どっちだろう。


イザ「取り合えずまっすぐ進んでみるか」

ズラ「だなぁ」

ボブ「僕姿消して左の道の偵察してくるね!」

イザ「頼んだ!」


まっすぐの道にはスケルトンアーチャーが居た。

イザは盾で矢を避けながら進んでなぎ倒している。

カズラは・・・ゴオンゴロンと転がってなぎ倒していた。

その姿がちょっと可愛いと思ったのはナイショ。

戻って来たボブが左の通路はガードウィプスとボムウィスプが居てその先に扉があったと報告してた。


イザ「て事は扉を開くためのkeyがこっちに居るのか」


なるほどー。ゲームのダンジョンみたいな仕様だね。

まっすぐな道を進めばイザの考えは大当たりだったみたいでkeyっぽいのがいた。

なんだこれ・・・

腐食した緑の金属で出来たような烏賊?・・・

眺めている間にもカズラはゴロンゴロンとそれに向かって転がって行った。

それマズイんじゃない?・・・

そう思った時には金属製烏賊もどきはボフンと緑の粉を吐いた。


ズラ「うぇぇぇ ゲホンゲホンッ」


カズラの白かった部分が緑に変色していく。カビ?毒?どっち?どっちでもいいかぁ。

コンコラー!  しゅわぁ~

よかった白に戻った。


イザ「危ないな。カズラ突っ込むなよ」

ズラ「すまん、微妙な下り傾斜になってて止まらんかった」


どうやら近づくと墨の代わりに緑の粉が噴射されるらしい。

それならばと弓で攻撃を開始する。ボブは茨を召喚して攻撃してた。

私?お察しの通り矢が飛ばないので、チマチマとキンコラを唱えてたよ。

こうゆう時に火魔法とかあればなぁと思った。

倒した後は道を少し戻って扉がある方へと曲がる。


BOM!!


曲がった瞬間爆発音がして皆で仲良くアフロヘアになった。

某大御所コントみたいに口からプスンと黒煙が出て笑ってしまった。

どうやらさっきのボムウィスプと違って行ったり来たりと往復移動しているみたい。

ボブは気が付かなかったんだろうか?


ボブ「ごめん!言うの忘れてた!」


そっか、忘れてたのか。うん仕方がないよね?

その後は順調に倒しながら進むと扉は開いていた。

やっぱりさっきの金属製烏賊もどきはkeyだったみたい。


中に入れば・・・

うわぁー!! なんかワラワラいるんですけどぉー?!

スケトンジェネラルって強いんじゃなかったけ?

イザがスキルでヘイトを稼いでくれているのでイザを中心にキンキラ回復をかける。

イザは器用に盾を使いながらガードと攻撃をしている、さすがだなぁ。

カズラはここぞとばかりに駄々っ子を発動した。


「ヤダヤダヤダヤダッ ハァハァ ヤダヤダヤダヤダヤダッ ごろごろん」


バフの効果もあって見事にスケトンジェネラルを蹴散らした。

残るはBOSSのみ!

えーと・・・なんだろうこれ。

平べったい悪い顔したサーバルキャット?極悪顔の大きいフェネック?

目付き顔つきの悪い細身の猫科っぽい何か!

キンキラコンコラでバフを上書きして念のために皆にキンキラしておいた。

イザが正面からヘイトを稼いでカズラとボブはバックアタック。

私はちょっと離れた所からイザにキンキラ掛けながらキンコラ攻撃。

ちょっと時間が掛かったけど無事倒せた。

ドロップはまぁまぁかな。

一旦全部収納鞄に押し込んで戻ってからゆっくり選別だよね。


イザ「疲れた」

ズラ「腹減った」

ボブ「眠いよぉ!」


皆お疲れ様! 夕飯はちょっと豪華にしてあげようと思った。


読んで下さりありがとうございます。

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