13:ポスの旅路⑦ ~シカ~
グレ「儂言ったよね?
気になる物や解らない物なんかは鑑定しろって言ったよね?」
シカ「あい・・・」
グレ「それで?
家はやってみたか?確認したか?
コッコさん出し忘れてたあげくに
思い出したからって適当にそこらに放置するんじゃありません!」
シカ「あい、スンマソン・・・」
なんでバレたんだろう・・・
姐さんに怒られたので忘れない内に家を鑑定してみる事にした。
私以外は皆鑑定してたんだってぇ・・・
だったら教えて欲しかったなぁ。
えーっと、家や庭、畑にはLVがある?
LVが上がれば使える機能も増えると。
家のLVは掃除とかの家事をしてれば上がって、庭や畑は手入れや農作業で上がるのね。
畑はLVが上がれば作れる作物の種類が増えて、庭はLVが上がれば家畜小屋が出来たり庭師が追加されたり?
庭師って何? 行き成り現れるの?それとも雇うの?・・・
そこの説明詳しく・・・
ゲームでもそうだったけど、説明不足って結構あるよねぇ。
取り敢えず庭LV2で鶏小屋の設置らしいので、皆で庭の手入れをする事になった。
まぁ庭ならやらかす事もないだろうと油断していたのが駄目だったのかな(トオイメ)
だってさぁ、さすがの私もまさか庭でやらかすとか思わないじゃん。
なのにさぁ、ちょっと抜けにくい根性ある雑草とね 格闘したのよ。
しぶといから全身に力込めて抜いたのよ!
そしたらね? スポンッと抜けたのはいいんだけど勢い余って尻餅ついてね?
おかしいなぁ。穴とかないハズなのにお尻がハマって動けなくなっちゃったのよ。
なんでだろう? アハハ ハァ・・・
とは言えどうしよう。ボブを呼んでるんだけど聞こえてないみたいだし。
困ったなぁ。と思ってたら頭を何かに叩かれた。 ペチッ!
なんだろうと確認しようと思っても動けない。
ジタバタしてると小さなかわいらしい笑い声が聞こえた。
きっとペチッてやったのもこの声の主だろうなぁ。
モソモソッ なんか頭によじ登ってる気がするんだけど?
ズリズリッ 顔面から滑り降りてるよねこれ。
私の頭を山越えする必要あるのかな。
私の視界に映ったソレは・・・やってやったぜ!感満載のドヤ顔をしたマンドラゴラだった。
ちっさ! いや私も小さいけども!10cmくらいのプチマンドラゴラ。
シカ「えーっと、なんで君は私の頭を登山したのかな?」
なんともマヌケな恰好でマヌケな質問をしたと自分でも思う。
でも他に言葉が浮かばなかったんだよぉ・・・
マンドラゴラはクワッと目を見開いて固まった。
恐る恐る視線を下げ私と目が合うと Σ(・ω・ノ)ノ! みたいなポーズで固まった。
まさかとは思うけど・・・
人だと思われてなかったんだろうか。確かに人ではないけども。ノームだけども!
ゆーっくりと私から降りると右往左往でアタフタし始めた。
その姿が可愛くて私は自分が穴にお尻がハマってマヌケな恰好なのを忘れてホッコリしてしまっていた。
ズラ「なにしてんだ?」
イザ「随分と楽しそうな恰好だな」ニヤニヤ
シカ「・・・ えへっ」(汗)
笑ってごまかしてみた。 だめ? だめかな? ですよねぇ。
イザに助け出してもらう間 カズラはなにやらマンドラゴラと会話していた。
ズラ「ふむふむ ほうほう なるほど」
どうやら新居?を探している時に変わった植物(私)を見つけたらしい。
突いても叩いても動かないから(そうでしょうね、ハマって動けなかったもの)登ってみたらしい。
なんで登ろうと思ったのかは謎。
で、私の開けた?穴がちょうど良さそうだし土壌も良さそうなのでこの穴に住んでもいいかとの事。
家賃はマンドラゴラの葉3枚/月でどうだと言われたらしい。
なんて律儀な(笑)
マンドラゴラの葉は上級ポーションの素材になるしいいんじゃないかって事になった。
マンドラゴラはスポッと穴にはいると器用に手足(根っこ?)を使って土を被せていった。
不思議な下宿人?第一号が出来たようだ。
マンドラゴラが住み着いたお陰なのか畑のLVも上がって鶏小屋と番犬が使えるようになった。
シカ「番犬:クーシー召喚可能だってぇ」
ズラ「クーシー・・・」
そう言えばカズラは前回ペットにクーシーが居たっけ。
まあ取り合えず召喚してみたらいいんじゃないかな。ぽちっ
bowwow!
大型犬? なんだろうこれ。えーっとボルゾイだっけ?
なんかそんな感じの白黒のバイカラーの子だった。
呼び出されたクーシーは一目散にカズラに飛びついた。
ベロベロベロベロッ
ズラ「わぁーたわかった!わぁーたから!落ち着け!
もしかして見た目は違うけど アン か?」
bowwow bowwow!
ズラ「そ・・・そうか。また会えて嬉しいよアン」
へぇ、誰だか解らないけど神様がイキな事をしてくれたみたい!よかったねカズラ!
次に鶏小屋も設置して、ちゃんとコッコさん達を中に入れたよ。
これで大丈夫だよね。
その夜 アンの事を姐さんに報告した。
雑草を引っこ抜いてお尻がハマッた事はイザが報告しちゃった・・・
姐さんは大爆笑してた。
グレ「うちの番犬もすげぇぞ。ケルベロスだったんだよ」
「「「 ぶっ 」」」
グレ「しかももっふもふの子犬でパッと見は普通の子犬だなぁ。可愛いぞ~」
シカ「いいなぁ~。私も何かペットが欲しいなぁ」
グレ「縁がありゃどっかで出会うんじゃね?
可愛いからってなんでもかんでも無暗に拾ったら駄目だからね?」
シカ「うっ、判ってるよぅ。大丈夫だよぅ」
姐さんとの会話を終えて寝る事にした。
思ったよりも早く蜂蜜が集まったので、明日は少し移動してから食料調達をする。
ここから半日くらい行った場所に果樹が多い森があるらしいんだよね。
ぷーちゃん(あのマンドラゴラ)が教えてくれたんだって。
どんな果樹があるのか楽しみだね。
次の日、家を収納して午前中は移動。
ご飯を挟んで午後からは食料調達で、イザとカズラは狩りへ。
私とボブは果樹を探して実の収穫をする事になった。
栗、葡萄、林檎、レモン、オレンジ、マンゴー、小玉西瓜。
いっぱいあるねー、季節感が皆無だけども!
って、まって? 小玉西瓜って木に生るんだっけ?・・・
いや、もしかして見た目が小玉西瓜ってだけで実は違う果物とか?
ボブ「試しに1つ食べてみれば解かるんじゃないかな?」
シカ「確かに!よし食べてみよう」
なるべく小さ目なのを選んで食べてみる。
しゃくしゃく もぐもぐ
やっぱり味も西瓜だよね?
ボブ「ほら、ファンタニアだし異世界だし。
この世界の小玉西瓜はきっと木に生るんだよ!」
シカ「そ、そうだね。美味しいし気にしないでおこうかなぁ」
と気持ちを切り替えて収穫よ収穫!
そのまま食べてもいいしジュースやジャム、ドライフルーツもいいね!
保存も出来るしラッキー(*'ω'*)なんてはしゃぎ過ぎたのかもしれない。
浮き出ている木の根っこに気付かなかったから盛大にコケた。
くぅぅぅ、そこは・・・弁慶の泣き所!痛いのよぉ!
痛すぎてしゃがみこんだら後ろからボブが慌ててやって来た。
ボブ「シカー!大丈夫?」
シカ「だい・・・じぶ・・・」
なんとか痛みは治まった。
後から思ったけど キンキラすればよかったんじゃないかな。
まあ仕方ないよね。人間咄嗟の出来事だろ色々忘れるよね、タブン。
遠目でもカズラが呆れてるのが解った・・・
読んで下さりありがとうございます。
イラストはシカちゃんのモデルとなった友人が書いてくれたものです。




