10:ポスの旅路④ ~シカ~
シカ「て事で食料が買えません!」
ボブ「町の人達も困ってるみたい」
ズラ「そうだなぁ。下手に人族至上主義の奴等が来ても迷惑だしなぁ」
イザ「シカやカズラなんか攫われそうだしな」
ズラ「へ?おれぇ?!」
イザ「んむ」
ズラ「いやいや俺は大丈夫だろ。こんなおっさん」
シカ「忘れてない?」
「「「 今のカズラは可愛いモッフモフパンダだよ!! 」」」
ズラ「げっ、そうだった。よし行こう、すぐ行こう、速やかに下水討伐行こう!」
(冗談じゃない。キモイ白豚な汗だくオッサンの膝の上で
撫でられるトコ想像しちまったじゃねぇかよ。ヤダヤダ
どうせ愛でられるならボンキュッボンのお姉ちゃんがいいなぁ)
イザ「んじゃダッシュで向かうから町の入り口集合で」
ボブ「町長さんに話はしておく?」
イザ「そうだな、一応は断わりを入れておくか。ボブ頼んだ」
ボブ「解ったよ!」
通信が終わってすぐに町長さんの所へ向かった。
町長さんとはボブが話した。
私だと余計な事をウッカリ言いそうだからね・・・
町長さんは熊の獣人さんでいかつい見た目だったけどいい人だった。
無理はしなくてもいい、出来る範囲でいいからなと行ってくれた。
うん、任せておいて!薙ぎ払ってくるから!(主にイザが)
と言う訳で、イザ達と合流して下水トンネルに来たんだけどね?
なんか違う・・・
下水トンネルを目の前にして私はそう思った。
ゲームでよくあるレンガとか石作りの下水トンネルだと思ったのに・・・
なにこれ、バ〇オハ〇ードに出てくる地下トンネルみたいにおどろおどろしいんだけど・・・
シカ「ねぇ・・・ここに入るの?」
ズラ「俺こうゆうの苦手なんだよなぁ」
ボブ「僕もあまり得意じゃないかな・・・」
イザ「ダンジョンだと思えばなんとかなるだろ?・・・」
シカ「そりゃイザは大丈夫かもしれないけどさぁ」
イザ「あれだ、カズラ。エーコーゴー思い出せ!」
ズラ「ぶっ、確かにあれば面白かったけども!」
イザ「そうすりゃ怖くないだろ!」
ズラ「でもあれみたいに銃とかライフルねぇじゃんか」
イザ「取り合えず 弾が無い!でも連呼しとけば・・・」
ズラ「えぇぇぇぇ」
シカ「なんかよく解んないんだけど?」
イザ「まぁ気にするな。ここで立ち止まっても仕方ないから行ってみよう」
「「「 はーい 」」」
シブシブと中に入ればなんか生臭いと言うかヘドロ臭いと言うか・・・
水の流れがどこかで滞っているのかぬめっていて気持ちが悪い。
どんなモンスターが居るんだろう?
下水だからスライムとか鼠とかかな?
後は・・・黒光りしてカサカサすばしっこいアレ?
自分で言っておいてあれだけど、アレは居なくてもいいよ・・・
カサカサカサッ サササササッ
・・・ なんか聞こえたような?・・・
シカ「気のせいだと思うんだけど一応確認しておくね?
今カサカサ聞こえた気がするのは私だけかな?」
ボブ「気のせいだと思うけど僕も聞こえた気がする!」
ズラ「たぶん気のせいだと思いたいけど俺も聞こえた気がする」
イザ「皆聞こえてるんじゃ気のせいじゃないだろ!」
「「「 ですよねぇー・・・」」」
よぉし!こんな時こそ範囲魔法が活躍するハズ!
シカ「範囲魔法撃つね!」
私は張り切った。魔法なら近づかなくていいし!
コンコラー!! シュワワワワァ~
あれ?・・・間違えた。
あ、でもなんか浄化?されて綺麗になってるよ?
流れる水も周囲の壁も ピカピカではないけど苔とかカビみたいなのもホコリも無くなったし!
臭いも少し緩和されたような? 結果オーライって事で。えへへ・・
とは言え、そのせいでアレは目立って解るようになっちゃってた。
今度は間違えないように・・・なんだったっけ。
コンキラ! ピカーンッ
よしこれだった!
コンキラコンキラコンキラ!
調子に乗って撃ちまくってたら魔力が枯渇した・・・
あちゃぁ~、やっちゃったぁ(汗)
ボブ「大丈夫?シカは少し休んでて!」
ズラ「おめぇーはよぉー・・・」
シカ「すんまそん・・・」
たぶん少し休めば回復する・・・はず。
私の代わりに男3人は頑張って、落ちていた板でバシバシとアレを叩き潰して行った。
まぁアレは斬るより叩き潰す方がいいよね・・・
なんてのんびり眺めていたのが悪かった。
私も板を手にして叩き潰せばよかったのに・・・気が抜けて油断していた。
ブブブブブーンッ
一際大きなアレが・・・ ヒィィィィィィこっちに向かって飛んでくるぅぅぅ
シカ「うぎゃぁぁぁぁぁ、来るなぁ!」 ピタッ
私の願いむなしくアレは顔面に張り付いた。
絶句てまさにこの事なんだろうな。 悲鳴どころか声さえでなかったよ。
ボブ「シカァァァァァァァ!」 バコンッ
ボブの声と同時に バンッて音がしてチカチカと星とヒヨコがダンスしてて私はそのまま気を失った。
初めて星とヒヨコのダンス見たかも?・・・
しばらくして目を覚ました私にボブがしがみついて来た。
ボブ「うわぁーんっ。シカ、ごめんよぉ!あせってつい叩いちゃった」
たぶん丁寧に顔を拭いてくれたんだと思う。
アレの残骸とか痕跡は無かったのでホッとした。
シカ「大丈夫。ちょっと星とヒヨコのダンスが見えただけ・・・
で、アレは居なくなった?」
イザ「ここらへんのは全部片づけた」
シカ「そっか、よかった」
イザ「シカが大丈夫そうなら奥に進もう」
ズラ「そうだな、原因がどっかにあるはずだし、それ解決しなきゃ食料が」
シカ「だねぇ、よし私は大丈夫だから行こう」
魔力も半分くらいまでは回復したっぽいのでコンコラしながら進んで行く。
時々ジュッて音も聞こえるから何か逆属性のモンスターでも消えてるんだろうな。
下水トンネル掃除と魔物退治、両方出来て一石二鳥じゃんこれ!
奥に進めばチラホラとネズミやスライムも出てくるようになったんだけど
ん~・・・デジャヴ?
どっちも、どうみてもカビの生えた大福と水饅頭にしか見えないんだけど?
前もなんかこんなのあったような?
うぇぇぇ、誰かこれ魔法で燃やし尽くして~!!
って、あれ? 今回魔導士って居ないよね?
パーティーバランス悪くないこれぇ。
イザ「火炎放射器が欲しい!」
ズラ「焼夷手榴弾でもいい!」
ボブ「ゲームじゃないんだから、そんな都合よく無いよ!」
「「 ですよねぇ・・・ 」」
無い物ねだりで現実逃避しても仕方が無いので、皆でザクザク斬り進むしかないんだけどさ。
どのくらい進んだんだろう?
ちょっと開けた場所に辿り着いて、そこに大きなスライム?みたいなのを見つけた。
でも・・・スライムとは微妙に違うような?・・・
ナメクジとスライムが融合したような?・・・
ヘドロが進化してカビ饅頭になったような?
スター〇〇ーズのジャバを腐敗させたような?・・・
なんか臭くて不気味なスライム?!
それが体をぶるんと揺らせばカビ鼠だのカビスライムだのがワラワラと生まれ出て来てる。
シカ「うぇぇ、これが原因なのかな?・・・」
ボブ「うん、そう見えるよね!」
ズラ「えぇー・・・これ倒すのぉ?やだなぁ」
イザ「やだなぁつっても、やんなきゃだめだ・・・あ」
シカ「あ?」
イザ「これさ、使うなら今じゃね?」
ボブ「なにを?」
イザ「カズラのスキル:駄々っ子」ニヤッ
ボブシカ「「ぶぅっ」」
ズラ「あれやんの?・・・」
イザ「人目も無いし?威力確かめるのにもちょうどいいじゃん」
ズラ「そうかもしれないけど・・・えぇー・・・」
イザ「いやならそのまま突っ込んでも」
ズラ「やるよやる!やりゃぁいいんだろー」
カズラは深いため息をついた後に目を閉じて・・・
ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ ジタバタジタバタ ゴロンゴロン
カズラが駄々をこね地面が揺れひび割れる。
(パンダがゴロゴロしてるだけに見える)
不気味なスライムが変な声をあげ、アチコチのひび割れにカビ鼠やカビスライムが飲み込まれていく。
やがてカズラが力尽き揺れも収まった。
ズラ「ゼェゼェハァハァ・・ひぃー、ひぃー。きつい・・・」
イザ「カズラは体力作くりも必須だな・・・」
ボブ「でも凄いよ!後はあの変なのだけだよ!」
シカ「お疲れさまぁ、確かに人前だと恥ずかしいかも」
ズラ「だから言ったじゃねぇかよ!」
シカ「でも威力は凄かったよね!さすがカズラだね!」
ズラ「お、おぅ・・・」
残るは親玉? 巨大スライムだけなので、ヘロヘロになったカズラを残して3人で斬りかかって行った。
読んで下さりありがとうございます。




