6:てんやわんや② ~シカ~
結局寝たんだか寝てないんだかよく解らないまま朝を迎えた訳なんだけど。
うん、森林の香りに包まれてた様な気がする。タブン。
隣を見ればすでにボブは居なかったので、もぉ起きてるんだと思う。
私も起きてご飯の用意するかなぁ。
おっとその前にトイレトイレっと。
きっとまだ寝ぼけてたんだと思う・・・
本当に何気なくぽちっと押しちゃったのよ、ウォシュレットボタン・・・
つるんっとひんやり?
違うね人肌?・・・
お尻が・・・お尻を・・・いやぁぁぁぁぁぁぁ
言葉にならない変な声が出ちゃった・・・
ボブ「シカァァァァァァ! 大丈夫?!」
勢いよくトイレノ扉を開けて駆けつけてくれたボブだったけど
私はまだトイレで座ったままスライムにお尻をベロベロされている状態のままだったりする。
ボブ「シカ?どうしたの?
シカ「み・・・見ないでぇぇぇぇぇぇ」
ボブ「え? あぁ!シカ、押しちゃったの?」
シカ「いいから、出て行ってボブ!」
ボブ「わかった! でもシカ、止め方わかる?
ちゃんとボタン押すんだよ?」
シカ「わかった、わかったから早く出て行って!」
なんとかボブを押し出してホッとした。
うん、そうよね。落ち着け私。
ボタン押して止めればいいのよ。
あのままボブが居座って騒いでたらなんの羞恥プレイよ!的な状態になってたじゃないよ。
私は何事も無かったかのように 澄ました顔をしてリビングに向かった。
「「「 ぶぅぅっ 」」」
ズラ「ぐぇっほぐぇっほ・・・ おめぇ・・・なにやってんだよ・・・」
シカ「え?何が?」
イザ「さすがシカ?・・・」
シカ「え? え? 何?」
ボブ「シカ、僕ちゃんとボタン押すんだよって言ったよね?」
シカ「うん、押し・・・て・・ないかも?」(汗)
まさかと後ろを見てみれば・・・
あぁぁ・・・やっぱり。
スライムが紐の様に細長く・・・トイレへと伸びていた。
そっかぁ・・・
パンツにスライム挟んだまま来ちゃったかぁ・・・
トイレットペーパーならまだしも・・・そっかぁスライムかぁ。
このまま気を失って無かった事にしたいと現実逃避をしてみたけど無理よねぇ。
そのまま何事も無かったかのように(本日2回目)トイレへと戻り
今度はちゃんとストップボタンを押して、スライムの有無を確認した。
見てOK 触ってOK 今度は大丈夫!
って、最初に確認しろって話よねぇ・・・ あはは(汗)
気を取り直して朝食の準備をした。
簡単にカフェオレとフレンチトースト!
食後はさっそくポートリオの町に買い出しへ行く事になった。
結局食料品は私じゃないと解らないかもって事になって全員で行く事になった。
但し、私とボブはフードを被ってなるべく目立たないように気を付ける・・・
ボブ「僕がずっと抱っこしてればいいよね!」
イザ「念の為ハーネスも付けておくか?」
シカ「え?」
なんでか前世?で使っていたシカさん迷子防止ハーネスがあったらしい。
えーっと、それはスットコ神にも不安に思われてるって事なのかな?
そんな気遣いはいらないんですけども?・・・
シカ「さすがにだいじょ・・・」
カチャッ
カズラが無言で私にハーネスを装着していた・・・
まぁ結果としてこれが功を成したんだけど、なんか納得いかない。
ズラ「ところで俺達金持ってるのかな?」
皆で慌てて鞄の中を確認してみる。
買い出しに行ってお金がありませんでしたとか洒落にならないよね。
皆で一斉に鞄の中を探る。
お財布あったぁ! ってなんでがま口財布?
中には10000レン入っていた。
シカ「10000レン持ってたぁ!」
ボブ「僕も15000レンあったよ!」
ズラ「俺も15000レンあった」
イザ「俺20000レン入ってるな」
皆お金持ってた!
って、待って?皆普通に皮の巾着だよね?
なんで私だけがま口?・・・
ズラ「巾着だとシカは落としそうだからじゃね?」
イザ「あー、確かに」
シカ「えー、そんな事・・・」
ボブ「あるね!」
否定できないかも。
落とす以前に財布持って行くのを忘れる事も多かったしね?
姐さんに毎回言われたもんなぁ
財布は? 持ったぁ!
免許は? 持ったぁ!
車の鍵は? はっ・・・忘れてた。
うぉいっ! てへっ
懐かしいなぁ・・・
大丈夫、最近は落とさなかったよ!
いや正確に言うと、ボブがお財布持ってくれてたからね。
お金の確認もしたし、さぁ出発!
家は町から10分くらいの空き地にあったので、テクテクと皆で歩く。
くれぐれも余計な行動はとるなと念を押された。
ポートリオの町は凄く活気があふれていて 海の匂いに覆われた町だった。
少しだけ私が元の世界で住んでいた町に似た雰囲気がして懐かしく感じた。
さすが港町なだけあって新鮮な魚介類が安価で並んでいる。
お肉の種類も豊富だったし野菜の種類も豊富だった。
価格は他の町を知らないから適正なのかぼったくりなのか解らない。
だから最小限の購入だけにしようと思った。
ただ・・・なんと言うか。私は人目を引いていた。
ボブに抱っこされているからかなぁ。
うぅ・・・目立つし恥ずかしいしで穴があったら入りたい。
いやだめそれ。なんかフラグ建ちそうでいやだ!
余計な事を考えそうだったので必要な物を買ってさっさと帰る事にした。
塩と砂糖と小麦とライ麦と、あとなんだったっけ。
あ、卵もだ!コッコさんがいれば買うんだけどなぁ。
って居たよ!売ってたよ!1羽小銀貨1枚、500レンかぁ。
雌5羽で雄1羽オマケと書いてある。
よし5羽買おう!
あ、ちなみにね。コッコさんてのは鶏じゃないよ?
コカドリーユってゆう鶏の尻尾に蛇が生えてる感じ?の柴犬サイズの生き物。
性格は大人しくて人慣れもするんだけど、鳴き声が可愛くないんだよねぇ。
コケコッコー!とかじゃないんだよぉ。
ボォエェーー!って某ネコ型ロボットアニメのガキ大将の歌声みたいな・・・。
でも卵はすっごく美味しいから!
3匹くらいでよかったかも?と明日の朝後悔するのを今の私は知らなかった。
無事買い物も終えて帰ろうと思ったんだけど、町から出るまでに3回ほど攫われかけた。
ハーネスのお陰で大丈夫だったんだけど怖かった。
それにスリにも4回あった。
がま口の紐を首から下げていたから採られなかったけど、代わりに首が絞まったよね・・・
ボブがすぐ気付いてくれたからよかったけどさぁ。
なんでこんなに治安が悪いのよ。
治安が悪いのはガルドに近いから?
それとも港町だから?
やだなぁ・・・
家に戻ればすでにイザとカズラも戻っていた。
シカ「どうだったぁ?」
ズラ「ん~、時代の差なのか、それとも港町だからなのか。
治安はよろしくないな、6回も攫われかけた」
シカ「ぶっ」
イザ「得られた情報としては黒の世界樹とリヴァイアサン海域が消滅。
ガルドが戦争起こすんじゃないかって噂が出てたな」
ズラ「俺達の石像もガルド国王がぶっ壊したらしくて、
ガルドは救世主の怒りに触れて滅ぶんじゃないかって噂も出てたな」
ボブ「ん~、とにかくこのポートリオって町は長居しない方がいいよね」
カズラが地図を広げて考え込んでいる。
ズラ「南の海岸沿いを進むか、北の海岸沿いを進むか。
それとも真ん中を横断して王都を突っ切るか。
どうする?」
シカ「王都は避けたいかなぁ。嫌な予感がするんだよね」
ボブ「僕は北のルートがいいかも、なんとなくだけど」
イザ「俺はどっちでもいいかな」
ズラ「じゃぁ北の海岸沿いって事で、今から出発しよう」
シカ「今から?!」
ズラ「俺とシカは何回か誘拐されかけただろ?
夜押し込まれたらどうする」
シカ「さすがに家までこないんじゃ・・・」
ボブ「シカ、もう少し警戒心持って?
僕達が来た600年前みたいに
今回も周囲の人に恵まれるとは限らないんだからね」
シカ「そっか、解かった。気を付けるね」
と言う事で急いで出発する事になった。
この家どうするんだろうと思ったら、カズラが玄関の紐を引っ張ると手の平サイズになったので驚いた。
カズラはそのままパンダでイザは狼に変化して、私はボブに抱えられて移動を開始。
速度はどのくらいだろう、体感的に・・・車の法定速度?
そのくらいの感じで移動したんだけど、ちょっと酔ったなんて言えない・・・
読んで下さりありがとうございます。




