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19:魚を捌こう

翌日、チュンコに突かれて目を覚ました。

起こしてくれるのはありがたいけど出来ればもう少し頭皮に優しくお願いしたい。


「かぁたん起きたニャ?」

「皆もぅ準備出来てるにゃよ」

「皆早いね、解かった。すぐ準備するね」


身支度を整えて宿を後にする。

宿の外では皆が待っていた。


「かぁたん手紙は出して来たのかにゃ?」

「うん、宿の人にお願いしてきたよ」

「じゃぁ後は買い出しにゃん」

「そうだね、何買っておけばいいかな。

 お肉は狩りすればいいだろうし、魚は釣ればいいだろうし。

 野菜は日持ちしなさそうだし」

「神様印の鞄に入れれば日持ちするニャ?」

「あ、そうだったね」


そう言われればそうだったよ。

まぁ店を見て廻って何か必要な物があれば買えばいいかな。


じぃーーーっ  ポタッ  ポタッ


皆の視線があるお店に集中している。

チビ助達なんて涎を垂らしている。

皆が何を見ているかと言えば、ヤギミルクを売っているお店。

どうやらミルクが飲みたいらしい。

私もミルクは好きだし、買っておこうかな。

皆を待たせて店の中に入って見れば、ミルク以外にチーズも売っていた。

ミルクは皮の水筒に入れられて売っていて、1つ(2ℓくらい)大銅貨1枚、500円くらい。

チーズは1ピース小銅貨3枚、300円くらいと安価だった。

ミルク3つとチーズ2ピースを買った。


「かぁたん」

「今じゃないからね?」

「うなぁ・・・」


飲んですぐ走ったらお腹がちゃっぽんちゃっぽん言いそうじゃないよ。

引き続き店を見て廻る。

スパイスを売っているお店があったので、スパイスも少量買っておいた。

別の店では塩と砂糖を買い足しておいた。

野菜類はニャーたんとちゃーちゃんに任せたし。

買う物はこのくらいでいいかな。


「他はいいのかにゃん?」

「うん、大丈夫だよ」

「じゃぁ出発するニャー」


今日はハチに乗せて貰った。

ハチには何度か乗せて貰っているので安心感がある。


スタタタタ ぴょぉーんっ ストトトトッ


所々に穴が開いているので皆器用に避けて走っている。

あんな穴にシカさんはハマったのだろうかと想像して笑いが込み上げてくる。


それにしても皆物凄いスピードなんだけども。

もしかして私が思っているよりも早くボルケーノに到着出来るんじゃ?


「ちょっと寄り道して海の方に行くにゃよ」

「海?」

「お魚獲るニャ」

「ムスペルはあんまりお魚手に入らないニャん」

「なるほど、じゃあいっぱい獲っておかないとだね」


確か砂漠なんだっけ?

あれ? でも温泉あるなら火山地帯?・・・

どっちにしろ魚は貴重になりそうだよね。

干物や燻製にしてもいいかもしれないし、小魚なんかは塩漬けでもいいかも。


「かぁたん、魚捌けるのかにゃ?」

「まぁ一応は捌けるよ?」

「あたち出来ないからかぁたんよろちくにゃん」

「へ? ちゃーちゃん捌けないの?」

「だってあたちたちは丸かじりでもいいニャ」

「あー・・・ なるほど。解ったよ、頑張って捌くね」


どうやらやっと私も仕事にありつけるようだ。

海に寄ると言うから北上するのかと思ったのに、違ったよ。

北上した海は近いから遠くの海に行くって南下して行ったよ・・・

まぁ南の方が魚の種類は多そうだし?


途中にある山の中で1泊して次の日には海に到着した。

ねぇ、聞いてもいいかな?

これ新幹線並みじゃなくて飛行機並みの移動速度なんじゃないかな・・・


『 いや、新幹線並みだな。

  地球に比べて小惑星なのでな、1つ1つの大陸も地球よりは小さいのだよ 』


なるほど?・・・

いやそれにしても新幹線並みの移動速度が出る猫って・・・

しかもそれについて来れる鳥達って・・・

もぉ皆怪獣だったとかの間違いじゃないのかな。


『 怪獣ではないぞ。まぁ細かい事は気にするでない 』


確かに気にしない方がいいのかも。

気にしてたらキリが無さそうだよね。


という事で?

気持ちを切り替えて魚を獲るぞぉー!

え? 釣るんじゃないのかって?

うん、私もそう思っていたんだけどね。

そりゃもぉザブザブ わっさわっさと熊の如くね?

皆海に飛び込んで魚の摑み取りやってる訳ですよ・・・

まぁ他に人がいる訳じゃなし、貸し切り状態だからいいんだけどさ。

皆後でシャワーだからね?


「「「 !!! 」」」

「別にシャワーしなくても・・・」

「舐めておけば・・・」

「海水だからベトベトになるし、塩水だから舐めると体に悪いね」

「ぅなぁ~・・・」


シャワーなら生活魔法の応用で出せるしね!


今日はこのままこの海辺で1泊すると言うのでテントを張って野営の準備をした。

南とは言え冬なので寒いから焚火も起こしておく。

流木が沢山転がっているので薪には困らないのがありがたい。


私は皆が捕まえた魚をサクサクと捌いて行く。

捌き終わった魚は海水で洗って干しておけば一夜干しになる。

燻製用の焚火にハーブを投げ入れれば香り付けも出来るし。

コイワシモドキは内臓を抜いた後に塩とオイルで漬け込めばオイルサーディンもどきが出来るし。

烏賊や蛸もまぁ捌く事は出来る。

けどウツボっぽいのはパス!

触った事もなければ捌いた事もないわよ!

海に戻してらっしゃい!


「かぁたんこれは?」

「これって、どれ」


・・・

アメフラシ・・・

うん、それは海に帰してさしあげて。

某韓国バラエティでも『純粋な子』として可愛がられて海に帰されてたしね。

一応は高級食材らしいのだけど、茹でると体積が減ってちみっとしてしまう。

出演者の反応にも笑ったけど、私も驚いて爆笑したもんなぁ。


「つつくとおもしろいのににゃ」

「つつかないでさしあげて!」


ちょことクロは渋々と海に帰していた。

まったく好奇心旺盛なのも良し悪しだな。


「かぁたんこれならいい?」

「今度は何よ」


ぐぇっ・・・

ナマコじゃないよ・・・

いや食べれば美味しいよ、ナマコ酢とかね?

でもさ、丸っとそのまんまの状態はグロいから触りたくない・・・


「帰してらっしゃい・・・」

「えー、これも駄目なのにゃ・・・」

「えー、じゃありません。ポイしてらっしゃい!」


なんでそう変な物に興味持つかな。

あ、変な物だから興味を持つのか・・・

ともあれ、2時間もすればこれでもかってくらいの魚が獲れた。

なので後はひたすら捌いて干したり燻製したり。

せっかくなので今日は串に刺して丸焼きで食べようと思う。

皆は生のまま丸かじりすると言うので、一応寄生虫対策で生活魔法クリーンを掛けさせて貰った。

異世界だし知らない寄生虫居ても嫌だからね・・・

あ、エジプト神達も魚食べるかな?

一応串焼きを作ってお供えしておこう。


ひたすら捌いて夕暮れまでにはなんとか捌き終わったのだけど、私の腰がやられた。


「かぁたん、焼くのはやっておくからマロにぃにのマッサージして貰うといいにゃ」

「そうだね、そうさせてもらう。マロ頼める?」

「任せるのにゃ~」


テントに寝転がってマロにマッサージをして貰う。

ふみふみふみふみ   スヤァ・・・


「かぁたん魚焼けたのニャ」


はっ、気持ち良くて寝ちゃってたよ・・・

腰は随分と楽になっていた。ありがたや~。


神々の分はお供えして、いただきます。

適度に脂がのっていて、鯵みたいな味がして美味しい。

鯵に似ているのなら干物もきっと美味しいだろう。

食後は皆でシャワーを浴びる。

海に浸かって無くても潮風に当たってベトついてる気がしたんだよね。

皆も渋々だけどシャワーを浴びてスッキリ。

気が付けばお供えは消えていたから食べてくれたのかな。


今夜の見張りはマロ・ハチ・ナオでやってくれるらしいので、任せてテントで眠る事にする。

明日の予定はどうなるのだろうかと考えていたら、いつの間にか寝ていた。

読んで下さりありがとうございます。

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