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16:ドッゴーンッからの急展開

竜人の子供達とタロ・コキ・ビビが一緒に遊んでいた。

そこへ人族の旅人が通りかかり子供達を攫おうとしたので、アンコとマロが守ろうとして戦闘になった。

騒ぎを聞きつけて大人たちがやって来た時にはすでにアンコは満身創痍の状態で玄関に立ちふさがっていたのだとか。

マロは子供達を連れて家の中に入っていたらしい。

その人族の旅人、人攫いを取り押さえる時に大人達も怪我をしたのだとか。


「そう、ですか・・・

 で、その人攫いは何処です?」


連れて来られた人攫いは縄でグルグル巻きにされていたけど、生きていた。

なんでコイツが生きているのにアンコたんは死ななきゃならないんだろう。

ムカついてムカついて、1発くらい殴ってもいいよね?

グッと拳に力を込めた。


『 アンコォォォォォォォォ!

  儂のアンコたんに何してくれてんだ、このドグサレヤロウがぁ!! 』


ドッコォーンッ!


人攫いの上に黒い塊が降って来た。

な、な、な、なに?

ユラユラと黒いオーラを漂わせて、ゆっくりと立ち上がった姿は・・・

魔王?!

えぇ? 魔王がなんでアンコたんを知ってるの?

というか「儂のアンコたん」って言った?

振り返った魔王は軽くパニックな私に向かってすこぶるいい笑顔だった。


『 やぁ初めまして、儂はグレン。なるほど、もう1人の儂か。

  詳しい話はまた後日って事で。

  取り敢えずこのドグサレ、適当に処分しておく。

  アンコたんは、儂が連れて帰ってもいいかな? 』

「連れて帰るって?・・・」

『 ちゃんと弔った後に儂のサモンとして蘇るからさ・・・ 』

「アンコたんにまた会えるって事?」

『 勿論 』


ちょっとまだ状況が理解出来てないけど、アンコたんとまた会えるのであればと魔王に預ける事にした。


『 儂まだ本格的に目覚めた訳じゃないんだよね。

  今は・・・解かり易く言えば幽体離脱?生霊?なんかそこらへん。

  アンコたんの声が聞こえて来てみたらこれだよ。

  相変わらず人間もガルドも阿呆だな、守ってやる意味ないんじゃないかこれ。

  取り敢えずもう1人の儂。完全に目が覚めたらまた会おう! 』

「よく解らないけど、アンコたんを宜しくね?」


任せろと言って人攫いを蹴りながら魔王は消えた。


突然の出来事でというよりは、急展開で頭が追いつかない。


「かぁたん! 皆の怪我治ってるニャ!」

「へ?」

「おぉ、俺達の怪我も治っているぞ・・・」

「今のは・・・黒の世界樹の・・・」

「グレンと名乗ってらっしゃったな、こうしてはおれん。

 祖国に戻って報告せねば!」

「私達も祖国へ戻らねば!」


ご近所さんもてんやわんやな状態になってしまった。

取り敢えず家の中に入ってビビの状態を確認する。

ビビの上にはメモ書きが置いてあった。


【ごめん、先天性の異常は治せなかったぁ シカ】


はい?・・・

えーっと、これは?

あの救世主の1人、天然娘のシカさんって事でいいのかな?

いや確かにヒーラーだとは本に書いてあったけども。

でも天寿まっとうして現世には居ないんだよね?・・・

え?  ええ?  えええ?

こういう時こそ・・・


トト様、アヌビス様、バステト様~~~!!!

説明をお願いしたく存じます~~~!


『 うむ、では我が説明をいたそう 』


グレンさんは私とは違う世界の地球の私で・・・つまりパラレルワールドでの私?

そこでもマロやアンコ、今ここに居る子達と暮らしていたらしく。

グレンさんと私との差は、結婚していたかいないかで?

お互い不運にもこの世界の出来事に巻き込まれたと・・・

いや待って。

なんで私だけ2人も巻き込まれてるのかな・・・

そんなの聞いてな・・・ああ、別れ間際に「もう1人の私が頑張った」とかなんとか言ってたような・・・

それならそれでもう少し詳しい説明が欲しかったぁぁぁぁ。

本来なら私が転移せずに黒の世界樹になるハズだったって、なにそれ。

私の意思は無視? えぇぇ・・・

グレンさんが怒って代わりに黒の世界樹になったって・・・

長い眠りに就くだけだからって、私を平和な時代に送り出すようにって。

ゆっくり眠ってたはずなのに、アンコたんの声が聞こえたの?

それで駆けつけてくれたの?

皆の怪我直すために眠っていたシカさんを叩き起こしてって・・・

えぇぇぇ、なんだかシカさん申し訳ない、ごめんね。

シカさん達もVCでアンコたんと会話をした事があるから大丈夫?

アンコたん?・・・

そっちの世界のアンコたん? VC参加とか何してるの・・・

本来なら後2~300年は眠ったままのはずだけど?

あの様子なら早々に目を覚ますかもしれない?

それって大丈夫なの?・・・


『 ともかくだな、これから神域は会議だ・・・ 』


会議・・・

なんだか大変そうな気がする、頑張れバステト様。

私は・・・どうしよう、どうしたらいいのだろう。


『 しばらくはゆっくりと休むがよい、頭も心もまだ落ち着かぬであろう 』


そうだね、なんだかほんのちょっとの間に色々あり過ぎて頭も感情も追いつかないや・・・

バステト様の温かい手に頭をポンポンと撫でられて、私はそのまま眠ってしまっていた。



アンコたんは多頭飼育崩壊の現場から救出し保護した子だった。

同時期に生まれた他の子達よりもかなり小さくて、育児放棄もされていたのかもしれない。

ちょっと頭というか顔の毛も薄かったし・・・

当時はまだマロしか居なくて、2匹いれば私が仕事中もお互いが寂しくないかなと思った。

アンコたんは体の割には気が強い子だった。

マロにシャーシャー威嚇するくせに、遊ぼうとちょっかいを出していた。

マロは穏やかな性格だったから、アンコたんに対してもいいお兄ちゃんだった。

食欲旺盛というよりも私が食べる物に何でも興味を持って、沢庵やキュウリも食べたのには驚いたなぁ。

マロと2人して私のホットミルクに顔突っ込んでたのには笑ったなぁ。

寝ていると布団に入れろって、私の鼻の穴を押えてたっけ。

いつのまにかマロも真似しはじめたんだよね、2匹で交互に私の鼻の穴を・・・

あれは苦しかったなぁ。

アンコたんが5歳の頃、生後2か月前後のキナを保護した。

アンコたんは母性に目覚めたのがキナをめちゃくちゃ可愛がった。

ベロベロ舐めてその勢いでキナが転がる事が多々あった。

でもキナはマロの乳に吸い付いたんだっけ、笑ったな。

マロもマロで成すがままで・・・

アンコたんは甲斐甲斐しくお世話してたよなぁ。

そのお陰でキナはアンコたん大好きっ子になった。

3匹の大運動会もよくしてたなぁ、私も巻き込まれたけど。

キーボードもよく踏まれたけども・・・

アンコたんが10歳の頃、チロを保護した。

アンコたんはやっぱりチロも可愛がった。

キナがチロに焼きもちをやいてチロにちょっかいを出すと、アンコの教育的指導が入った。

拗ねたキナはマロに慰めて貰っていた。

次第にキナとチロも仲良くなって、冬になると4匹がストーブ争奪戦を繰り広げ私はいつも寒い場所へと追いやられたっけ。

アンコたんはこの世界に来ても面倒見がよかった。

元外猫の子達とも仲が良くて、タロの毛繕いとかもやってて・・・

だからなのかな・・・

竜人の子供達やタロやコキやビビを守ろうと頑張ってくれたんだね・・・

ハチやナオ、ちゃーちゃんやニャー達は狩りで留守だったもんね。

また、会えるよね?

グレンさんが言ってたもんね。

かぁたんは待ってるからね。

読んで下さりありがとうございます。

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