13:農場で大はしゃぎ
結局【シカちゃん観察日記】を読むのに夢中で夕飯を食べ損ねたら、アンコたんとニャーたんとちゃーちゃんに怒られた。
「かぁたん! いい歳した大人が本に夢中でご飯食べないとか駄目だニャ!」
「子供じゃないんだからしっかりして欲しいのにゃ!」
「そんなんじゃ次から本読ませないにゃよ!」
ごもっともで・・・
以後気を付けます・・・
でもおもしろかったんだもの。
フィンドゥリルさん達の気苦労は大変だったろうけど。
そしてこのシカさんて、言動がゲーム仲間のきょんちゃんにそっくりなんだけど。
ボブさんは名前まで同じゲーム仲間のボブに似てるし・・・
まぁ他人の空似ってのもあるし、気にしないでおこう。
世の中自分に似てる人が3人居るとかって言うしね!
さて今日はソニア農場でヌーラット狩り!
初めての依頼だし頑張らないとね。
勿論皆で行くし、どの位時間が掛かるかも解らないからお弁当も用意した。
ちゃーちゃんがだけども。
私も一応は料理出来るからね?
ただちゃーちゃんが任せろって言うのでお任せしている。
農場は東門のすぐ傍にどどんっとあった。
思ったよりも大きい・・・
作業小屋っぽい場所で人影を見つけたので声を掛けてみる。
「こんにちは!ギルドの依頼掲示板から来ました!」
「ああ、聞いてますよ。
ベルクカッツェの皆さんですね。本日は宜しくお願いします」
「宜しくお願いします。
範囲は農場の敷地内全体でよいですか?」
「そうお願いできれば助かりますが、結構広いですよ?
大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。では早速作業開始しますね」
と、言う事で。
猫モードでもビーストモードでも獣人のままでも皆好きにヌーラットやっちゃってぇー!
音符マークのオーラでも出ているんじゃないかっていうくらい、皆はウキウキと散らばっていった。
私はと言うと、タロが追いかけるヌーラットを倒す事にした。
扱う武器はロードアックスと言う両刃の大斧だ。
何故これかって?
持ってるのがこれだったから・・・
いやね?確かにね?
ゲームでは会心特化型の斧キャラ使ってたけども、それはゲームだからであってでね?
リアルなら剣とか弓の方がよかったー!
まぁ使うけども・・・
ドッゴォーンッ! ブォンッ!
結果大斧で良かったかも。
思ったよりもヌーラットがデカかったんだよね。
顔はまぁ鼠?
体格はまさにカピバラ!
いやこれ噛まれたら絶対痛いよね、怖い怖い。
安全に確実に、タロと一緒に1匹ずつ倒して行く。
皆はと言うと・・・
「うっにょぉーんっ」
「ウケケケケケケケッ」
「あにょぉーんっ」
「にゅほぉーんっ」
なんかよく解らない歓喜の雄叫びあげながら狩っていた。
楽しそうなので気にしないでおく。
暫く狩り続けていると日も高くなったので昼食を食べる事にした。
それぞれが適当に座って、サンドウィッチをモグモグと食べる。
器用に猫組も食べている。
そこへ農場主のソニアさんがやって来て、ヌーラットのドロップ品である肉と種を半分買い取りたいと言った。
買い取りたいって、全部ソニアさんの物になるかと思っていたんだけど違ったらしい。
ドロップ品は依頼を受けたハンターの物になるのだそうだ。
午前中だけでも40匹は倒していると思うので、午後からの分も考えればかなりの数になりそうだ。
1匹当たりが中銀貨1枚、かなりの額になりそうだよね。
買取では無く差し上げますよと言ったのだが、それだと申し訳ないと言われてしまい
「でしたらドロップの買取金額込で
1人当たり大銀貨1枚の日当でいかがでしょう?」
そう提案したのだけど驚かれてしまった。
だってさぁ、それでも大銀貨15枚になる訳だよね?
15万だよ?
1日で15万とか十分じゃない?
それでもソニアさんは悩んで悩んで悩んだあげく、1人につきミルク1本と小麦1袋を追加でならと言ってくれた。
こちらとしては有難いけど、いいのだろうか。
ソニアさんは他の冒険者だとこの量は処理できないから助かるのだと笑っていた。
まぁね?
私達はほぼ猫のパーティな訳だし。
と言う事で、午後からも皆で張り切った。
「かぁたんそっち行ったニャァァァァ!」
ズドドドドドドッ
へ?と思ったら巨大なヌーラットが突進して来ている。
なにこれ、ボス鼠?!
「かぁたん、それクィーンだニョ!それ倒せばしばらく安心ニャん」
なるほど。
んでは迎え撃つとしますか。
と言うかデカイね本当に。
象くらいあるんじゃないかな。
ロードアックスを構えて、はいドッコイショ!
ゴンッ
硬い・・・
まるで岩を叩いているように手が痺れた。
キナ、ニャー、ハチ、チロがビーストモードになってとびかかっている。
こっちもこっちでデカいね・・・
なんだか怪獣大戦争を見ている気分だ。
「かぁたん、こいつの脳天かち割って!」
見てる場合じゃなかった。
かち割ってって簡単に言いますけどね、硬いのよコイツ。
『 斧スキル:ヘビースラッシュを使うべし 』
へ? 確かゲームのスキルよね、必殺技的な・・・
使うってどうやって?
叫ぶとか嫌だよ?・・・
『 頭の中で叫べばよい 』
なるほど、では!
(ヘビースラッシュ!)
ドッゴーンッ パカッ
おぉぉ、見事にカチ割れてるよ。グロいけど・・・
そしてシュワシュワと消えてドロップ品が現れる。
「ちょ・・・」
「ウニャッ」 ボンッ
猫達のシッポがボンッとタヌキになった。
ヌーラットクィーンから出て来たのは可愛いフカフカの子羊。
勿論生きている。
ドロップ品が生きた子羊ってどういう事?・・・
いやゲームでもペットの卵とかはドロップしてたけども!
でもそれはゲームだからであってね?・・・
もしかして・・・この世界の神様ってゲーム好き?
考えるのは後にしよう。
クィーンを倒したのならこれ以上の繁殖もないだろうし、しばらくは残党狩りだけでよさそうよね。
とは言え、今日でほぼ狩りつくしそうだけども。
あ、でも気を付けないと他の個体が新クィーンになったりする可能性もあるよね。
「かぁたん、1週間後くらいにもう1回来ればいいのニャ」
「そうそう、アフターサービスニャよ」
「確かに、そうだね。じゃあソニアさんに相談しよう」
夕方まで狩り続けたけど、最後の方は見つけるのに苦労した。
そしてソニアさんに1週間後にアフターフォローで様子を見に来たいと伝えた所、別料金をと言われた。
でもそれはアフターフォローも含めての依頼ですからとお断りさせて貰った。
猫達の運動ついでだと思って欲しいと言えば笑って頷いてくれたのでよかった。
ついでに子羊も引き取ってもらった。
可愛いけど、そこまで面倒見切れない・・・
依頼票に署名を貰って完了!
報酬は買い取り込みで小金貨2枚、20万なり!
ギルドに依頼票提出するときに入金もしておかないとだね。
ついでにギルドタグの更新してみよう。
皆には先に帰って貰ったけど、やっぱりハチはついて来ると言った。
可愛いなハチ。
テクテク歩いてギルドで依頼終了手続きをして、入金もして。
ついでにギルドタグの更新を・・・
ペカーッ
やった!個人ランクもパーティーランクもEに上がってた。
明日皆を連れて来て皆のタグも更新しておかないとね。
ふふふっ
読んで下さりありがとうございます




